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図書館は宝箱

「……なぁ」

「ん?どうかしたの?」

「なんでお前ついてきているんだ?」

「えへへーーなんとなくかな?」

どうやら俺はマリンに好かれているのか、はたまたあまりにも弱すぎて舐められているのか分からないが、急に懐かれて一緒に町を歩いている。現に敬語じゃなくなってるし……

「……帰らなくていいのか?」

「うん、今日は家に誰もいないし暇だから」

「知らないお兄さんについて行かないって習わなかったのか?」

「えーー、でも先生が、名前とステータスを知った人はもう他人じゃなくて友達だよーーって言ってたよ」

無理やり帰らそうとしても下手すりゃ喧嘩になってしかも負けるかもしれないしな……

「……はぁ、じゃあこの町に図書館てあるか?そこに行きたいんだ「あるよ!案内してあげる!!」が……」

言い切る前にマリンはまた俺の手を引いて走り出す。

「こっちこっち!!」

「ま、待て!俺そんなに早く走れないから!!」

……我ながらなんとも情けないお兄さんである



「ここだよーーて、大丈夫?」

「ゼェ、ゼェ、うぷ、はぁ、あ、ああ、大丈夫だ、問題ない」

「……ユウマ体力なさすぎ。もっと運動しないとダメだよ!」

「はぁ、はぁ、はい、すみません……」

息を整えてマリンが指差す方を見ると、そこそこ大きな建物が建っていた。ギルドより少し小さいが十分な量の本が置いてあるとわかる。

「ふぅ、じゃあ入るか」

「えーーもっといろいろなとこ行こうよーー」

時刻は午後4時といったところだった。宿を探すにはまだ少し早いだろう。

「軽く見るだけだ。どんな本があるか見て見たいんだよ」

俺はマリンを無視して中に入る。

「……結局来るのか」

「……うん、ダメ、かな?」

「いや、一緒に行こうか」

そういうとマリンは笑顔を浮かべて付いてくる。

「うん!ありがと!!」



「おーー!!こりゃ立派だ!」

中に入ると外側とはうって違って本がぎっしりと並べてある。

「うーー文字がいっぱいでクラクラするーー」

「ははは!マリンは勉強が苦手か!」

「うーー、うるさい!貧弱のくせに!!」

「なんとでもいえ!俺は自分の国では成績ではトップ以外とったことがないんだよ!」

「な、と、トップですか?なるほど、その無駄に高い知力も納得ですね」

「無駄とか言うな!!MPが少なすぎて攻撃力があっても武器がない剣士みたいに言うな!!」

「そ、そこまで言ってないよ!」

この世界では魔法はMPを使い、知力が高いほどその攻撃力は増す。

ただ俺は魔力が少なすぎてそもそもの魔法が撃てない。

結果、宝の持ち腐れということになっている。

「いいんだよ!レベルが上がればきっとMPも上がってくれる……はず」

ギルドカードには自分のステータスの他にレベルやスキルの欄もある。

レベルはモンスターを倒すことで上がる。レベルが上がると伸びしろは人それぞれだが、ステータスも上がる。

スキルはギルドに行かないと得られないらしい。

「まあ、未来のことなんて言ってもしょうがないし、さっさと本を見て帰ろう」

と、俺はなんとなく目についた本をみる。

「ん?おいマリン、これなんて書いてあるんだ?なんかめちゃくちゃな字なんだが」

「え、まさかユウマさん、そんなに私にバカにされたことがショックだったんですか?ごめんなさい!ちょっと軽い冗談で……」

「いやいや平常だから!!」

「じゃあなんで……幼児向けの本の題名を読めないんですか?」

「…………は?」





「あっはははは!!!!バカだ!!バカがここにいる!!あはははは!!!!!」

……うっかりしていた

まさか異世界の文字が日本語や英語なわけないよな……

言葉が通じているのはたまたま読み方が日本語と同じだけだということだったのか…………

「ははははは!!『俺には知力がある(マーブル文字が読めるとは言っていない)』ですか!あははは!」

「うるせーー!!お前は笑いすぎだ!!」

「だ、だってマーブル文字の幼児でも読めるところすら読めなとか、もう、バカ以外なんて言っていいんですか!!」

くっ!ムカつくがどうやら間違っていないらしい。周りにはマリンより小さい子供が本を見ている。

「……はぁもう疲れた、やめだやめだーー早く宿探しに行こう」

「へ?もう帰るんですか?」

「ああ、こう見えて俺はめちゃくちゃ疲れて今にもぶっ倒れそうなんだ」

急に冷静になって思い出したが、今日俺は死んだ。

正直いろいろなことがありすぎて頭が追いつかなくなっている。早く休んでとりあえず寝たい。

「……あの、ごめんなさい」

「?なんで謝るんだよ?」

「え?だって私が馬鹿にしすぎて機嫌を悪くされたのかと……」

ああそういうことか。

よし、ちょっと仕返しをしよう。

「ああ、もう俺はもうダメだだ。ステータスがゴミなのに文字すら読めないときた……もう生きる価値なんてないんだよ……」

あれ?言っててだんだん悲しくなってきたぞ?

「う、本当にごめんなさい!よ、よければ私が文字を教えてあげますからその、許してくれませんか?」

……そんな上目づかいで言われたらいじめられなくなるだろう。

「……悪い、ちょっとかrsかっただけだ」

「え?」

「別にお前に怒ったわけじゃないし、ただ本当に疲れているだけなんだ」

「でも、図書館に行くの結構楽しみにしていたじゃないですか!」

「そうだが、読めなきゃ話にならないだろ?だから今日は休んで明日から文字を覚え始めるさ」

流石の俺ももう頭に何も入らない。今から文字を覚えるほど余裕もないからな

「……本当に怒ってないんですか?」

「ああ、ただ」

「ただ?」

「俺はまた明日ここに来るつもりなんだが……その、俺に教えてくれるとありがたいんだが……」

そういうとマリンは暗くなっていた顔が明るくなる。

本当に嫌われてなくて安心したようだ。

「う、うん!わかった!じゃ明日ここにあっ集合ね!!遅れてこないでね!!」

「当たり前だ、ほら、だいぶ暗くなってきたしそろそろ帰ったほうがいいぞーーオバケが出てくるぞ!」

「そ、そんなのいないもん!で、でももう暗いから家に帰るね……」

「あれあれ?もしかして怖いのか?」

「こ、怖くないもん!!」

そんなやり取りをして俺たちは図書館から出た。





「じゃ明日朝絶対来てね!約束だよ!」

「おう!じゃ、また明日なーー」「うん!!ばいばーーい!」

と、一つ約束をして俺たちは別れた。

……はぁ、宿、見つかるかな……

鍵がないと宝箱は開かない。


まだまだ幼女は続いていきますよー

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