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終末的日常論  作者: 杉下 徹
四章  類
40/54

4-1

 もしも自分が消えたら、と話す彼方が、意外だった。

【無】が世界を終わらせると信じるようになって以降、いずれその時が来るであろう事は考える間でもなくわかりきっている。だが、その時がいつか来る事と、それについて話す必要、考える必要があるという事は等号で結ばれはしない。

 主観で考えれば、自分が消える事と世界が終わる事は同じだ。消えた後の俺はその後の世界を認識する事はできず、すなわちそれは世界が終わるのと同じ。

 だから、自分が消えた後、世界が終わった後の事など考える意味はない。【無】が終わらせた後の世界の状態について興味本位で語るならまだしも、自分の認識できない世界での出来事について建設的な観点で考えるなんてのは徒労でしかない。

 彼方自身も、いつか語っていた。死と【無】は、世界の終わりは同じだと。そうでありながら、彼方は自分が消えた後の世界に意味があるかのように語ったのだ。

 彼方のいない世界で、可乃が、遥香が、俺が、そして白羽が、どう感じてどう行動するのか、そういった事に彼方は興味を持ち、憂慮してすらいた。

 もしも俺が消えたら、白羽は志保に任せるよ。

 そんな言葉は、あまりにありきたりで。俺の知る下ノ瀬彼方には似合わなさすぎて、俺は呆けた顔と抜けた声を晒してしまっていた。

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