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colorful!!  作者: 未来
1章 巻き込まれる、僕
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私だッ!お前だったのかッ!

あの涙の理由は何だったんだろう。あれから放課後も、家に帰ってからも、寝る直前も、朝起きてからも考え倒したが、結局理由は分からなかった。まさにこれこそ“答えのない問題”というやつなのだろうか。


ぼうっとそのことを考えながら歩く。


「おめー何してんだ?」


はっと気づけば教室の前で突っ立ったままだったらしい。後ろからハルが僕の顔を覗き込んでいた。


「早く入れよ。もうホームルーム始まんぞ」

「お前今日早いな」


いつもはホームルームの時間に教室にいた試しがない。さすがに学年きっての問題児である。


「まあ、色々あるんだよ、俺にもさ」

「ふーん…」


ハルと教室に入り、自分の席に向かう。すると隣の席が空いていた。今日は早見はお休みらしい。あいつが学校を休むなんて初めてだな。


すっきりした隣の席を見ても、心の中はすっきりどころかあれやこれやと物が溢れかえっていくだけだった。



「早見さん、休みかあ」

「みたいだな」

「何だよ、そのそっけない返事。イッキが最近は早見さんにべったりで俺には構ってくんねーからさみしかったんだぞー」

「変な言い方やめろよ。別にべったりじゃねえし」


確かに最近は早見に付き合わされてばっかりだった。だけどそれだって昼休みも勉強会をさせられてただけだ。


「まさかイッキが早見さんとあんなに仲良くなるなんてなあ。超意外だったぞ」

「そんなにか?」

「そらそうだろ。お前が好きな女の子と仲良くなれたことなんて一度だってあるか?」

「は?別にあいつのこと好きではないけど」

「今は、だろ?」

「は?前からだよ」

「ふーん…あんなにいつも見てたのに?」

「いや、それは…」

「あんだけ熱い視線を送っときながら好きではないとか、よく言えたもんだな」

「別に言葉で言ったわけじゃねえんだし、憶測で話を進めんなよな」

「いや、いってたじゃんww」

「は?いつだよ?」


そんなこと言った記憶がない。


「ツイッターで」


…は?


僕は本アカでそんなこと言わない。ハルに裏アカを教えたこともない。そんな発言を僕がしていると知ってるのは早見ぐらいのはずだ。多分これはハルがカマをかけているんだろう。そんな古典的な方法に騙されると思わないでほしい。


「いや、何言ってんの?そんなことツイートしてなかっただろ。冗談にしてもタチが悪い」

「お前、俺がカマをかけてるとでも思ってんだろ。確かに俺は暇さえありゃ、お前をあの手この手でだましてるけど、今回はちげーぞ」

「あの手この手使うなよ…」

「実際使ってるからなあ。今回に関してもあれやこれやした上で手に入れた情報なのに変わりはねえし」

「いや、だからそんなこといって…」

「まだ言うか?ほれ、見てみ」


ハルが見せてきたのは見慣れないツイッターのページ。


「俺の裏アカ」

「お前そんなんつくってたのか」


アイコンは何かの絵で、名前もIDもハルとは全く関係のない文言で作られている。


…これ見たことある。ハルに見せられたのは初めてのはずだけど絶対見たことある。アイコンにみおぼえがあった。


「お前の裏アカフォローしてあるから」

「おおおおおおい!なんで知ってんだよ!俺の裏アカ!教えてないし、誰にも言ってないんだぞ!」

「いや、IDがIttuki@うんたらってなってんじゃん…バレるだろ。少なくとも俺にはバレた」

「イツキなんて名前いくらでもあるだろ!」

「ツイート見てれば行動からいってお前だって俺にはわかる。毎日一緒にいんだから当たり前だろ」


た、たしかになあ…


「じゃ、じゃあもしかして早見にそれ教えたのも…」

「うん、おれ」

「ふざけんなてめえええええ!」

「うわっと、殴りかかってくんなよ」

「なんでそんな、友達を売るようなことを…!」

「面白そうだったから」

「ふざけんなてめえええええ!」


話を聞けばあの写真たちもハルが撮ったものだった。


結局、二日間の昼飯おごりで許すこととなった。



「マジでふざけんなあいつ…」


許しはしたが納得できない。あいつがあんなに薄情だったなんて。本当に売られた気分だ。


勉強会がお休みのおかげでいつもより早い下校時間。道には帰宅部の人がちらほらといる。


そういえば、なぜ早見はハルに頼んでその写真やら何やらを手に入れてまで俺に勉強させているんだろう。そこんとこをはっきりしてもらいたいが、あいにく今日あいつはお休みだ。


…保留にしていたが、昨日のあの涙の理由だってちゃんと聞けてない。逃げるようにして学校を休むなんて卑怯である。明日来たら問いただそうか。


だが、あいつが泣くなんて俺なんかじゃ抱えきれないぐらいの何かが原因なんではないか。そうしたらあまり詮索するのはよくないのではないか。


ぐるぐると考えていると、不意に真横に黒塗りの高級そうな車が止まった。ドアがガチャリと開いて中から若い女の人が出てきた。


「一色一樹さんですね。少しお時間いただけますか?」




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