序章
西暦3000年
神様が実際に存在することが分かった
そして、生まれたときに、運命は決まっているということも分かった
そんな時代の話
5時間目
昼食を終え、多少腹が満たされていた僕は、うとうとしながら、板書を書き写していた
「え~、西暦2012年、マヤの予言のとおり、天変地異が起こりました。人々は混乱し、、、」
歴史の教科書は、300ページ近くあり、ものすごく分厚い
そして、重い
そんな教科書を持ちながら、板書を書くのは、60の先生にとっては厳しい重労働だろう
だから、先生は、教卓の上に教科書をおき、ときどき確認しながら板書をとる
「そこで、各国はいろいろな方法を考えましたね。それじゃあ、どんな方法があったか?田中、答えなさい。」
僕の隣の席の、田中道也が指名される
「はい、アメリカは、宇宙への移住を考えました。」
「そうだな。しかし、その方法には問題があった。その問題とは何か?照途、答えなさい。」
僕が、指名された
「アメリカ国民全員を移住させることは、技術的に不可能だったからです。」
「正解だ。では、どうしたか?桜、答えなさい。」
青山桜、僕の幼馴染だ
僕は、多分、桜のことが好きなんだと思う
もちろん、友達としてとかそういった意味ではなくだ
そういうのはよくわかんないけど
なぜなら、そういった、「恋愛」とかは、とっくの昔になくなったから
「えーっと、国民全員で神様に祈りをささげました。」
「そうなんだ。アメリカ以外にも、さまざまな国がいろいろな方法を考えたが、どれも不可能で、神様に祈るしかないという状態になった。それで、えーっと、教科書126ページを見てくれ。」
バサバサっとページを一気にめくる音が、教室中に響き渡る
「この写真を見れば分かってもらえると思うが、全世界の人が、祈りをささげた。すると、神様が本当に現れ、その、天変地異を沈めたんだ。それで、ここが重要だ。」
ガンガンと黒板に、赤いチョークをたたきつける
「神様が現れたことにより、この時代から、自分の運命が分かるようになったんだ。」
そう、この時代に、運命が分かるようになってしまったんだ
だから、自分の運命の人も分かるようになってしまった
恋愛なんてものはもう、なくなった
もちろん、恋愛小説もだ
もう、結婚する相手も決まっているのだから
キーンコーンと終わりの鐘が響く
「今日はここまで、ちゃんと復讐しておくように。」
教師が立ち去ると同時に、教室中のいたるところから、歓喜と披露の混ざった声が聞こえる
「やっと、授業おわったー。」
「まだ、1時間もあるよ。」
「だる~。」
「あっ、宿題見せて~。」
僕は、次の授業の準備に取り掛かる
「いや~悪いんだけどさ~照途。宿題見せてくんねえ?」
そういって、話しかけてきたのは、友達の、佐藤歩だった
「おう、いい、、、」
「サンキュー!」
言い終わる前にスパッと風のように、宿題を奪い取っていった
キエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアアアアアアアアア