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とある竜の恋の詩  作者: 桜寝子
第1章
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第12話 2人の距離 2

ドラゴンの姿に関しては、極自然と文中のイメージになりました。

けど、なんか見た事あるなぁ……と考えた所、DOD3のミハイルそのものでした。

完全にイメージが固まってしまってるのでこのままで行きます。


というか、個人的にドラゴンに関してはDODシリーズの影響を受けていると気付きました。

色々と印象が強すぎる名作なので仕方ない……という事にさせてください。

 背負ってあげようとしたら普通に断られ、特に何事も無く街の外――離れた森まで来た。


 ていうか、あの……弱ってるんだよね?

 結構な速さで歩いてきたし、なんで私の方が汗をかいてるの……?


「この森も不思議と懐かしく感じるな」


「そうだね。半年……あっという間だったなぁ」


 エルちゃんが足を止めて呟いた。

 そう、ここは私達が初めて出逢った場所。具体的にはもっと奥だけど。


「もうこの辺りでいいか。ちょっと離れててくれ」


 言われた通りに私が離れると、すぐにエルちゃんが光に包まれる。

 結局アレってどういう原理の魔法なんだろう……意味分かんない。



「わぁ……改めて見ると……綺麗」


 そして現れた、白銀のドラゴン。

 出逢った時とは全く違う意識で見れたからか、そんな感想が自然と漏れた。



 ドラゴンと一口に言っても姿は様々。

 大まかに種別されるのは……翼の有無と、二足か四足か。


 エルちゃんは二足。まるで腕と一体になった様な、爪の付いた大きな翼を地面に付けて支えてる。


 そして逞しい体と脚、太く長い尾。

 お腹側は灰色っぽくて、目は変わらず綺麗な青。

 そして鋭い爪と頭から後ろに流れる様な角は、くすんだ黄金の様で目立つ。


 全長は大体10メートルくらい……もうちょっとかな?

 他のドラゴンを見た事が無いけど、本だともっと大きかったような。


 でも、とんでもない存在なんだって肌で感じられる。

 いつもの緩い子供の姿を知っていても気圧される程だ。



「んぁああー……」


 そんな威厳たっぷりなドラゴンが啼いた。

 何その気の抜ける声……


「凄くスッキリした!」


 そういう事らしい。

 大きな体でどうにか伸びをする様に動いて満足気。


「それは良かった。でも――」


 たったこれだけで解決した事は喜べる。

 ただ……1つだけ良くない事が起きた。


「――服、どうすんの……?」


「あっ……」


 私はちゃんと見てたよ。服も靴も全部弾け飛んだのを。


「一応服だけは作れるんだっけ? でもまたノーパン裸足で帰るの?」


「いや、あの……」


「せっかく用意してあげたのを細切れにするなんて……」


 別にお金に困る様な生活でも無いし、団長から多少の支援はあった。

 でもだからって無駄にして良い訳じゃない。


「ちょ、ちょっと気晴らしに飛んでくるっ」


「あ、コラッ! 待っ……」


 一旦逃げるつもりだと察して、思わずエルちゃんの首に抱き着いた。

 なんでそんな事をしちゃったのか……考える間も無く突風と共に飛び上がる。


「馬鹿馬鹿っ! なんでしがみ付くんだ!?」


「ひぇぇぇえええっ!? 落ちる落ちる落ちるぅぅう!?」


 なんかもう、お互いに大慌て。

 必死によじ登ってなんとか首の上に跨った。



「はぁぁあ……し、死ぬかと思った……」


 跨るって言うか、全身でどうにか抱き着いてるだけ。

 余計に動いて落ちない様に大人しくしてるしかない。


「何してるんだ、全く……どうせならこのまま一緒に飛ぶか」


「それは良いかもだけどっ、すっごく怖い!」


 少しだけ落ち着くと何やら提案が。

 空を飛ぶなんてまず経験出来ないし、丁度夕陽が綺麗でなんだか良い感じ。


 でもとにかく怖い。楽しむ余裕があるのやら……


「頼むから私の上で漏らすなよ?」


「漏らすかっ!?」


 多分。急降下とかされなければ大丈夫だと思う……






 そのまま少しだけ、気ままに飛び続ける。


 何処までも行けそうな感覚。

 出来るだけ揺れない様に飛んでくれてるのか、なんだかんだ怖さはかなりマシになってた。


「空から見ると……世界って広いね」


 夕陽に目を細めて呟く。

 こんな景色を見られるなんて……


 そしてなんとも言えない不思議な感情が胸の奥で渦巻いた。

 私1人なんて、本当にちっぽけな存在なんだな。


「当然だ。人が住んでるのだってほんの一部さ」


「こんな世界を旅するんだ……ワクワクする」


 だけど同時に、この広い世界を旅する事が楽しみで仕方なくなった。

 今すぐにでも駆け出したいくらい。


「正直、こうして飛べば何処へだってあっという間に行ける……でもそれじゃ違うんだ。道無き道を歩き、沢山の物を見て経験してこそ――それが旅だ」


「そう……だね」


 表情は見えない。見ても今の顔じゃ分かんないけど。

 でも、色んな想いが籠った言葉だって分かった。


「ねぇ……エルちゃんは……どんな物を見てきたの?」


 こんな状況だからかな……少しだけ、踏み込んでみたくなった。

 ちぐはぐで誤魔化してばかりの、エルちゃんの過去を知りたかった。



「…………本当に色々だ。そうだな……今はまだ話す時じゃないと思ってたけど……でも、まぁ……いいか」


 長い間があったけど、そうしてゆっくりと語り始めてくれた。


「簡単に言えば、私は人間だった」


「……え?」


 それもいきなり衝撃的な事から。

 人間だったって一体どういう……?

 まさか――


「孤独に生きて、そして終わった。なのに気付けばこんな姿だ」


 私が予想してた事と合わせてみれば……つまり、そういう事?


「異常な力を持った人間はこうして生まれ変わる、らしい。私を殺してくれやがった同類が教えてくれた」


「同類……え? 待って、じゃあ……私って……」


「まぁ……そうだろうな。確実とまでは言えないけど」


 エルちゃんが彼なら、更に同類と呼ばれた私も?

 そう考えて思わず口を挟んじゃったけど、否定はされなかった。


「私が誰かはともかく、生まれ変わるだなんて……1人の人間として生きるには余計な情報だ」


 確かにとんでもない話だ。

 そんなの、価値観が大きく変わってしまいそうだもの。


 でもそっか……隠したかった訳じゃなくて、私が変に受け止めかねないから言えなかったんだ。

 過去を語るにはまず説明しなきゃならないから……


「驚くどころじゃないけど……でも、話してくれてありがとう」


「いや、いつ話すべきか悩んでたから丁度良かったよ。騙し続けるみたいでちょっと嫌だったしな」


 別に騙されてるとは感じないけどなぁ。

 当たり前だけど、エルちゃんだって色んな事を考えてるんだよね。

 いや、考えてくれてる……か。本当に有難いな。



「何度も言った事だけど、この話をした上で改めて伝えておく。――私はただ独り戦い続けただけの人生だったけど……お前はそうなるな」


 いつか垣間見た彼女の苦しみと寂しさは、彼の過去だった。

 だから同じ道を辿るなと私を導いてくれてるんだ。


 そんなにも優しいのに……何が化け物だよ……馬鹿。


「人もドラゴンも、独りじゃ生きられない。孤独は心を壊してしまう……だから私はここに来たんだ」


 孤独。一体どれ程の苦しみなのか……

 幸いにも私はそれを知らない。

 

「いいか、お前はお前らしく生きろ。どんな道だとしても、私が隣に居てやるから――生きてくれ」


「うん……」


 そしてなにより、そうはさせまいと隣に居ようとしてくれる。

 それはきっと、凄く幸せな事なんだろうな。


「そしていつか死んで、生まれ変われた時は……同じ存在として、共に生きよう」


 死んだ後の事を考えるのはまだちょっと難しい。

 絶対にそうなるとも言えないなら尚更に。


 なら、曖昧なまま軽く答えて良い事じゃない。

 だからせめて、精一杯抱き締める力を強くした。


 決して嫌なんかじゃないって気持ちだけは伝わってほしい。

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