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世界の狭間で、貴女と永遠を。  作者: クレセント
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四章 カフェ

読もうと思てくれてありがとう。

友達と遊ぶのって、楽しいですよね。

俺は最近、付き合う友達を変えたらめちゃくちゃ外で遊ぶようになりました。これはこれで疲れる。

 彼女の、余命が近いことを知った。肺がん、長く持たない。その言葉が、私の脳裏をぐるぐると回る。

 一体、どれくらいの時間が過ぎたのだろう。私はからからに乾いた喉から、あう、という嗚咽を漏らした。なんて声をかければいいのだろう。同情もできなければ、悲しむこともできない。

 それに、私の脳梗塞なんか彼女にとってはゴミカスのような病気だ。ましてや、後遺症もなく、元気に学校に行っているなんて、彼女と比べ物にならない。

 「学校には行けてるんだけど、そろそろ行けなくなるかもなんだよね。」

 彼女は小さく、そう呟いた。彼女の瞳は潤んでおり、いつもの困り眉がさらに角度を増している。

 この子は、学校に行けないことがこんなにも悲しいのか。私には考えられない思考に、頭が追い付かない。私は爪痕が付くほど、自分の手を強く握っていた。思わず、涙があふれてきた。

 「な、なんで泣いてるの!?」

 「悲しく、て、辛、くてッ。」

 嗚咽交じりの声で、何とか彼女に伝えた。彼女はツチノコを見たような、驚いた顔をしていた。涙が止まらない。恥ずかしい。でも止まらない。いつぶりだろう、こんなに泣いたのは。多分、おばあちゃんが死んだぶりだ。小学二年生。

 人が死ぬのは、なんでこんなに辛いんだろう。飼っていたハムスターが死んだときは、こんなに辛くなかったはずなのに。胸がギューッと苦しくなる。心の底から泣くような、そんな感じ。

 しばらく泣いて、私はハンカチで涙をぬぐった。鼻を拭き、泣き疲れて痛くなった頭を冷やすように、ぬるくなったアイスティーを飲み干した。彼女は、そんな私の様子を同じ顔で見つめ続けた。

 「そんなに、悲しい、の?」

 彼女は、私の心の内を探るようにそう訊いた。私は大きく頷き、その衝撃で痛くなった頭を抱えた。彼女はクスリと笑い、私にアイスティーでいいか、ほかの質問を投げた。私は小さく頷き、彼女はアイスティーとアイスココアを頼んだ。

 「そんなに泣いても、私は死ぬよ?」

 なぜか嬉しそうに彼女はそう言った。私を試しているのか、蔑んでいるのか、生きていける私を羨ましがっているのか、どれが正解かわからないが、彼女は笑いながらそう言った。

 「まだ、徹にも言ってないんだよね。」

 徹、この子の彼氏の名前だ。そんな、彼氏にも言ってないことを、少し前に仲良くなった私に言うのはどうかと思うが、それは言わないことにした。

 そのあとは彼女と、彼氏の話や、クラスメートの話で盛り上がった。私がクラスの中心人物の悪口を言うと、彼女も「私もたまにそう思うよ。」と同情してくれた。彼女も、人のことを悪く思うのかと、少しだけ驚いた。

 クラスメートから見た私のことを、彼女が話してくれた。悪口ばかり言われているのだろうと思っていたが、彼女の口からはそのような言葉は出てこなかった。でもきっと、彼女が優しいから、私を傷つけないように言わなかっただけだろう。そう思って、一人で納得した。

 彼女からイラストを描いてくれと言われたので、私はクラスメートをアニメ化したようなイラストを描いた。徹さんをイケメンに描いてあげたら、彼女はとても喜んだ。実際、イケメンだし、あながち間違いではないだろう。彼女の友達と彼女の集合イラストを描いてあげたら、彼女はそれが欲しいと言った。私が手渡すと、彼女は前と同じように丁寧に、小さくたたんで小さいバッグの中に入れた。他にも、担任の先生や、校長先生を描いて、二人で笑いあった。合作をして、彼女の絵が意外とうまいことを知った。


 彼女とファミレスでご飯を食べてから別れて、家に帰宅した。久しぶりに夜遅くに帰ってきたから、お母さんに心配がられた。私は自慢するように、友達とご飯食べて帰ってきたと伝えると、お母さんは少し喜んでくれた。

 彼女と合作をした紙をべッドに横になりながら見つめる。今日は、とても楽しかったな。その紙をワークデスクに飾り、原稿に取り掛かった。今日はかなり進んだ。


 彼女と会えると思い、うきうき気分で足早に学校に向かった。校門をくぐり、階段をのぼり、教室に入る。彼女の姿は、なかった。まだ来ていないのだろうと楽観的に考え、私は彼女を探すように、校門の方を見つめた。

 あの子が来ないまま、先生がやってきた。ホームルームで、先生は彼女は風邪で休みと伝えた。昨日夜遅くまで遊んだからかな。私は責任を感じた。そのまま、今日は終わった。明後日には会えるだろう。

 この時の私は、まだ知らなかった。この日が、終わりの始まりだということに。


 彼女は、一週間がたってもやってこなかった。不安になった私は、ないコミュニケーションを絞り出して、彼女の友達に尋ねた。

 「ああ、風邪で入院してるみたいだよ。高熱が下がらないんだって。」

 「ああああありがと、うございまス…。」

 私は、とても不安になった。肺がんのことは、友達に伝えてないだけだろう。そう思うと、かなり不安になった。容態が悪化したのでは、もしかしたら、死んだのかも。ありもしない、いや、あってはならない心配事が、私の心を締め付ける。後ろから「なんであいつが心配してんの。」という蔑む声が聞こえてきたが、私は知らん顔して、お見舞いに向かうことを決意したのであった。

読んでくれてありがとう。

雲行きが怪しくなってきましたね。

ハッピーエンドか、バッドエンドか。はたまた、メリーバッドエンドか。お楽しみに。

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