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第4話「なんじゃこりゃああああああああっ!」

 元いた世界で恋愛と縁がなかったミコトに対し、恋愛させようとした女神の(めい)を受けた天使のアルティーは、ミコトに断られた上にキレられてしまった。


「そっそんな……興味がないと言われましても……私も女神さまより言いつけられた手前、ミコト様に恋愛していただかないと……」

「知らねーよ! そっちが勝手に話し進めてるだけじゃねーか! それと、さっきアタシの生涯をああだこうだ言ってたが……どうやらオマエ、大きな『勘違い』してるみてーだから教えてやるよ」

「えっ……かっかか勘違い?」


 それまで饒舌だったアルティーは、ミコトの迫力に震えあがってしまった。


「小学校の『えんがちょ』ってのはなぁ……学校の帰り道にアホ男子どもがアタシをからかいに来たから、道ばたにあった犬のウ●コをそいつらの顔面に塗りたくってやったんだよ!」

「えぇっ!?」

「中学の『罰ゲーム』はなぁ、負けたヤツがアタシに告白するとかそういう屈辱的なのじゃねぇよ! 単純にアタシに往復ビンタされるだけ! こっちもストレス解消できて気持ちよかったわ!」

「ええぇっ!?」

「高校はなぁ、アタシの体重聞いてくる無神経なヤツがいたから『じゃ体感してみろ』と言ってボディプレス(プロレス技)かけてやったんだよ! そしたらそいつ肋骨折れてやんの! それ以降アタシに体重聞くことは『禁忌(タブー)』になったんだよ」

「えええぇっ!?」


「それにだ! オマエ……アタシがショックで中退して引きこもったって言ったよなぁ? ちげーよ! ゲームがしたくて中退したんだよ!」

「ええええぇっ!? あっでも……結果的に引きこもりニート生活で1日中ゲームされてるんですよね?」


 すると「ニート」という言葉にミコトは〝ピクッ!〟と反応した。


「おいオマエ! アタシをあんな『親のスネかじり』と一緒にすんじゃねーよ」

「えっ? はっ……はひっ!?」


 ミコトの今にも()りそうな迫力にアルティーは涙目になっていた。


「アタシはなぁ、デイトレーダーなんだよ! ゲームやるのは取引終了後だ」

「でっ……!?」

「まぁ今日は500万ほど損しちまったけどな、でもまだ資産20億円くらいあるわ」

「にっ……!?」

「あぁ~、クソッ! こんなことになるならあの銘柄売っとけばよかったなぁ! 午後から絶対下がるハズなんだよ」

「めっ……!?」

「だからなぁ、アタシは……引きこもり()()()なんだよ!」

「ひっ……りっ……!?」


 アルティーは完全に言葉を失っていた。折旗ミコトは不幸キャラではなく、とんでもない無双キャラだったのだ。するとアルティーに対して不満を爆発させて溜飲が下がったミコトは、落ち着いた様子で話を続けた。


「ちゃんと収入で両親に生活費を払ってるよ! この間はお父さんに新車も買ってやったわ……あんなスネかじりの親不孝者(引きニート)と一緒にするな!」


 折旗ミコト……実はとても親孝行な娘であった。


「今さら学校も男も必要ない! アタシはパソコンとコンビニスイーツがあれば幸せなんだよ」

「コ……コンビニスイーツ?」

「おうよ! 実は今日も両親へ生活費渡すためにコンビニATM行ったんだよ……山梨みたいな田舎じゃキャッシュレスだけで生活するの難しいからな。そのついでにコンビニスイーツ買って帰るのがアタシのゲーム以外の生きがいだ! 今日は新作のロールケーキ買って家で食べようと楽しみにしてたのによぉ……ロールケーキ食いそびれるわ異世界行って『リアルRPG』で魔王倒せるのかと思ったらそれもできねぇって言われるし……あぁ、ツイてねぇなぁ」


 ミコトの無双すぎるキャラクターに圧倒されまくったアルティーであったが、ふと我に返った。そして、何としてでもミコトを恋愛脳にすべく反撃を開始した。


「……アナタに恋愛する気がないのはよくわかりました」

「そーだよー! わかったら早く魔王を出してオマエは帰れー! しっしっ!」

「でも誠に残念ですが……アナタがいくら拒否されたところで恋愛回避は不可能でございます」

「えっ、何でだよ?」

「アナタのその()()()()()()姿()を見た瞬間、王子たち……いえ、全ての男たちが恋に落ちます。アナタはこの国のどこにいても男たちから求愛されるのです」


「フッ……フフフ……フアッハッハッハ!」


 アルティーの言葉を聞いたミコトは突然大笑いをしてしまった。


「あのさぁ、いくらアタシでも自分の立場はわきまえてるわ! アタシはなぁ、世間から『デブス』って呼ばれてるんだぞ……まぁ気にしてねーけど。そんなアタシに求愛? 笑わせるぜ!」


 大笑いしているミコトをよそにアルティーは不敵な笑みを浮かべ、


「そうですよね、ミコト様……まだ今のお姿をご覧になっておられませんものね」

「ハハハッ……へっ!?」


 そう言うとアルティーは手鏡を取り出しミコトに渡した。そして手鏡に映った自分の顔を見て、ミコトは思わず絶叫した。




「なんじゃこりゃああああああああっ!」




続けたいと思います。

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