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僕は歳をとらず若返る君に恋をする。  作者: わたみ
√N 「勝たなきゃ、強くならない」
20/22

episodeN. 少女の記憶〜Girl's memory〜 I



私は、西園エリ。



年齢、16歳。

誕生日、7月19日。

血液型、B型。

身長、152.6センチ。

体重、秘密。

視力、双方2.0。

IQ指数、推定110〜125

利き手、右利き。

在学校名、なし。

趣味、なし。

特技、将棋。

好きな映画、なし。

好きなゲーム、なし。

好きな食べ物、なし。

尊敬する人、父。

座右の銘、勝たなきゃ、強くなれない。





家族構成─────空欄。





父母共に死亡。





【間隔】





私の母は、私を産んですぐに死んだ。

もともと体が強くなくて、私を産んで体力が尽きたらしい。


だから私は母と話したことも、会ったこともない。

なんならどんな名前で、どんな人だったのかさえも知らない。




私にとって家族が居たとするなら、ただ一人だけ。パパ……じゃない、父だ。



父は将棋のプロ棋士だった。

名前は、西園(にしぞの)(ひろし)


プロ棋士になれるのは、ほんのひと握りしか(くぐ)れない狭き門をくぐり抜けた天才・・にしかなれないとされる職業だ。


でも父は、その例外だった。

父は、天才では()()()()


父は23歳という、退会ギリギリでのプロ入りというかなりの遅咲きだった。

途中何度も何度も、昇段まであと少しというここぞという大事な勝負に、何故かポロッと負けて、そしてそれの繰り返し。

そんな不遇というのか、不運というのか、不幸というのか。もっとも、天才とは言い難い経歴だった。


父は将棋の天才では無かったものの、父を知る者は皆言う。

()()はあった、と。


そんなことがあってもめげず、繰り返し挑戦し、決して折れる事のない心が、諦めない心が、父を実らせた。

そんな、決して憧れることはないが、カッコいいと思える才能の持ち主だった。



やっとの思いでプロ入りしたその日に、母と父は結婚した。

実は父と母は幼馴染で、小中高二人はずっと一緒で、気がつけば二人は両思いになってる関係だった。

でも、二人が付き合う事はなかった。父がプロ入りするまでは絶対に告白も結婚もしないと、キッパリ断ったらしい。


そう誓ったから父は諦めなかったのだろう。天才では無い父が、プロになれた一番の原因なのだったと思う。

なんとも漫画や小説やフィクションを思わせるほど、熱く燃えそうな、いい話だと思う。



プロ入り後の父の勝率は、まあまあな高勝率を叩き出していた。


注目される程ではないものの、でも出だしこそ好調。

幸先の良い出だしだった。


…………だった。



……でも、徐々に黒星が増えた。



何故そうなったか、その理由は明白。

私だ。


母が私を生んで、母が死んだからに違いない。


それから父は私の面倒を、一人でするようになった。

そのせいで父は将棋の勉強する時間なんて、ほとんどなかった。


父は努力だけが取り柄だったのに

……その父の努力を、私が奪ったんだ……。





【間隔】





私が将棋に出会ったのは6歳の頃だった。



きっかけは、まあ、言うまで無いだろう。

きっかけは父だ。


しかし、更にもっと詳しく語ると、私は父とは違って天才だったからだ。

私は子供の時から天才だったのだ。

でも、私は一般的に言われる天才とは少し違う。


何故、私が天才だなんて言われているのか。

本当の理由は私と父くらいしか知らない。

これは多分、君達以外に話すことは、まずないだろう。




私の目は生まれつき、()()()()()()()()()()()()のだ。



でも、完全記憶能力や超記憶症候群とかと呼ばれてるモノとは少し違う。

私には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

忘れたい事をスッパリ忘れて、覚えたい事は写真のように覚えているのだ。


それにイチ早く気がついた父は、その私の才能に目をつけ、私に将棋を教えたのだ。


私はのめり込んだ。

暇さえ有れば父と将棋を指していたし、父が対局日なら将棋道場で指していた。

そしてこの能力を駆使してみるみる上達していく。


そして10歳という若さながら、私は奨励会員になったのだ。



私は天才だ。

でも、奨励会も天才揃いだ。

彼らは皆強い。簡単には勝てない相手だ。

ここから鰻登りで異例のスピードで勝ち抜ける、と言うことはなかった。

私の初めての挫折はここだったかもしれない。


でも、私は決して諦めなかったし、挫けなかった。

父がそうして来たように、諦めない、挫けない、私も頑張ると、強い気持ちがあったから。


私は徐々に昇段していった。






【間隔】







西園エリ、奨励会初段、14歳。


その時、父は死んだ。





事故死。

飛行機墜落に巻き込まれた。



当時の記憶はあまりない。

父の死を聞いて、何を思っていたのか、どんな状態だったのか、何をしていたのか、どこにいたのか。丸々記憶がない。

多分、たくさん泣いたんだろう。たくさん怒ったのだろう。たくさん叫んだんだろう。たくさん……たくさんのことを、ぐちゃぐちゃに混ぜたのだろう。

どちらにしろ、私に記憶がないということは、()()()ということは、()()()()と思ったということであって……まぁ、そうだな。相当辛い出来事だったのは間違いない。



……ははっ。


どうやら私は今では神の子なんて呼ばれたりしてるらしいけど……(わら)っちゃうよ。



私の大切なモノを奪った「神」の子供だなんて…………。





─────私は嫌だ。



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