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僕は歳をとらず若返る君に恋をする。  作者: わたみ
√N 「勝たなきゃ、強くならない」
17/22

episode16. 価値の聴取〜Listening to value〜【後編】

【前書】



事実。

それは凛が頑なに守り秘めている何かがある。


真実。

それは凛が頑なに守り秘めている理由と、秘めている内容。


事実と真実。

そこに明確に、本質的な大きな差はない。

しかし明確に、根本的な小さな差はある。


でも、そんなことは僕にはどうでもいい。

そんな差があったところで、僕はどうということはない。

たかがニュアンスの違いであって、ただ言葉が違うだけで、ただそれだけだ。


でも、こと凛のことに関しては、その小さな差にこそ求めるべき問題があるのだと、思って、言ったのだろう。





アキは席を立った。

彼女はゆったりと立ち上がり、纏う雰囲気はふわふわと、どこか軽かったが、辺りの空気は真剣であった。

でも、その理由は僕にあると思う。

何故なら僕は凛の事が好きだから。

重く想ってるから。


「ねぇ、キミは凛のことをどこまで知ってるのかな?」


その声は少し遠く、背中からの質問だった。

僕は前の誰もいない場所を見つめて、答える。


「いえ、特に何も。若返りの件以外はほとんど知りません」

「んまー、だろうね。

 あーあ、もうまったく。凛も中々に面倒くさいと言うのか、回りくどいことするもんだよねぇ」

「……」


「ふーん、まぁ分かった。なら僕の知る限りの全部話すよ。

 でもその代わりだけど、ボクも忙しい身だからね。そう長々と話す気はないよ。できるだけ簡単に話すからね」



そう言うと、コップが鳴る高く鋭い音、そして液体を注ぐ複雑な音。それがハッキリ聞こえて、アキさんが何をしているのか音でわかった。

そう、これは静寂だ。

この謎に空いた間であったが、それはなんとも言えなくて、いや、うん、本当になんとも言えない時間だった。


その無言の間の後、アキが口を開いた。



「……でも、そうだな。()()()()()なんて言ったけど、()()()()()()()んだ。

 そこでボクからは一つ、交渉だ。

 ボクから凛の事を話す上での交渉だ。いわば取引だよ」


「……取引、ですか」


「ははっ。まぁまぁ。そんな顔しないでくれよ。ちょっとした約束だよ。それも要求は一つ」


と、彼女はボクの顔を見てないハズなのに、僕の声から推測したのか、そう言ったのだった。


「あと、この件についてのキミの利益は相対的に見たら、多分キミが思ってるほどは無いよ。そんな焦ることでもないと思うけどねぇ」


ちょっとした間隔を空けて、続ける。



「……そう。焦る事はない。ボクを使わなくてもキミは凛の秘密は分かるハズだよ。あ、ボクが適当言ったように感じるかもだけど、実はこれには少し確証はあってね、何せ凛自身がそう言ってたし。

 それと取引って言っても凛の話をするにあたって、実はボクにとったら、かーなりリスキーなんだよ。ちょいと下手すると、ボク、お縄にかかっちゃうんだよね。だからアンフェアなんだよ。キミとボクとでは立場が違うんだよ。まぁ人生賭けてるんだからそれなりに利益が欲しいんだよね」


めちゃめちゃぶっちゃけたことをぶっちゃけたな。

そんなこと聞いてしまったら逆に気になってしまうんだが、しかし……。


どう言う事だ。

焦ることはない?

凛さんは何て言ったのだ?


いや、別に僕は焦ってるわけではない。でも、もちろんイチ早く秘密を知りたいという気持ちはある。

でもその程度だ。

確かに凛さんの秘密はいずれ分かる日は確かにに来るのだろう。凛さんがそう言ったのだとしたのなら、間違いなくそうなのだろう。凛さんは嘘をつかない。

でも、それを聞いて安心した訳ではなかった。

凛さんには考えがあって秘密にしてる……。その考えというものは検討もつけられない。謎が謎を呼ぶとは正に……



と、考えてるうちにガラスのコップにお茶の入った物がそっと出てきた。

そして、目の前にどっすり構えて座ったアキは、僕の目を見た。

どこか不思議な目だけど、どこが優しい目で、僕を見る。



「凛はね、言ったんだよ『もうすぐ私のこと、色々話さなきゃいけない』って。凛がそんな変な嘘を吐くわけないけどから。キミは直に知ることになると思うよ。さっきも言ったけど、そう焦ることないと思う」



「……では、アキさん、あなたは凛さんのことをどこまで知ってますか?」

「ん、どういう意味かい?」

「えっと、凛さんが秘密にしてる……」



「あー、それね。だったらなーんにも。全然だよ」



「っ!?」



なんだと……?

なら、それじゃあ、僕と同じじゃ……



「そう。キミもボクも同じだよ。なんだい。そんな驚くことじゃないよ。

 キミも、ボクも、凛とは数年暮らしできた。

 だけどもキミもボクも凛を知らない。それも全くだ。全くという強い否定形を使えるほど、ボク達は何も知らない。それが凛だよ。それが事実だよ。ははっ、笑っちゃうよね。

 ……もっとも、凛に関して言えば()()からは遠く隠され隠しているのが()()だけどね。」


「……事実、ですか」






「まあいいや、くだらない意味のない話はこれで終わり。僕からは真実は話せない。知らないからね。それでも僕の話を聞きたいかい?」



僕は、迷わなかった。




「はい、聞かせてください」





「ふーん、なら僕からのキミが守るべき用件は一つ。ボクの要求は……」







()()()()()()()()()()()()()









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