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ぱんつがない

作者: 橙

「パンツがない」


起き抜けに彼女はそう言った。その声には、どうにも間抜けな語感を呑み込んだ、真剣な響きがあった。


網膜の裏に微かに残る、夢の残影はとうに色を失い現実の意識と融け合っていたが、それでもまだ三分の一ほどしか眼が覚めていなかった。普段の生活においても、他人が伝えようとしている趣旨を察する能力に乏しい僕は、寝ぼけた状態だったこともあり、突然の彼女の発言が意図する所がすぐには飲み込めなかった。


はっきりしない頭ではあったが、寧ろそのために、昼間の頭が覚めきっている状態よりも、意識の深い層からむんむんと好奇心と疑念が湧いてきていた。昨夜から早朝の間の何時からか、寝相で上体に押さえつけられていたために血が十分に回っておらず、自分のものとは思えなくなった右手を無理やり動かし、のろりと自分の下半身の方に持っていく。彼女の発言の真偽を確かめる。手には化学繊維の感触、そこにはちゃんとパンツがあった。


「あれパンツ、あるよ」

と、僕は拍子抜けしたように言った。我ながら、間抜けな響きだった。


「え、ほんとに」

「うん、履いてる」

「違うって、わたしの」


その声にこもっていた落胆と、微かな苛立ちと焦りを聞き取った僕は、ようやく何らか彼女の危機を知った。事の詳細は依然として不明だったが、少なくとも支援の態度を彼女に示す必要を感じて、僕は出来る限り素早く上体を起こした。半分ほど開いた目で、自分が寝ているベッド、次いで部屋の中を用心深く見回す。すると、上半身にニットのセーターを着た彼女の露になった下半身と、陰毛が目に飛び込んできた。


「あ、ほんとだ」

と、僕はさっきと寸分違わぬ間抜けな調子で言った。


彼女はベットの側を歩き回りながら、その発言ともども、僕のことをまるでシンクの隅にへばりつく野菜のヘタみたいに無視した。パンツがまるで彼女にとってこの世で一番大事なものなのだと思わせるほど、真面目に探している最中だったのだ。そんな彼女の真っ直ぐにパンツに没頭した態度は、その身にパンツを着けていないことに対する恥ずかしさや、極めて私的で羞恥的な部位を、無防備に他人にさらけ出している人間の脆さを毛ほども感じさせなかった。どんなに服を着て防御し、装飾で身を飾っていようと、他人からの視線に心を絶えまなく動揺させている僕にとって、その頑丈な気骨は羨ましく映った。


パンツを探す間、カーテンの隙間から差し込む朝日の光線上に彼女がその身を置く度に、陰毛は澄んだ陽光により漂白され、銀色に輝いた。陰毛は、丁寧に切り揃えられていて、外敵から身を守る小魚の群れみたいに、慎み深く身を寄せ合っている。僕はしばらくその様子を眺めていて、人の陰毛をちゃんと見るのはこれが初めてだと思った。後ろめたい気持ちは案外無かった。


「昨日どこに脱いだんだっけ」

と、彼女は僕に投げかける風でもなく、何度かひとりごちた。


「どっかに投げた訳はないし、絶対この辺にあるはずだけど」

と、僕は彼女に声援を送りながら、自分の下半身を包んでいた毛布と羽毛布団を剥ぎ取り、その間にパンツが身を紛らしていないかを確かめた。伴侶を失った片方だけの靴下と、紙製の粗末なしおりが幾つか出てきたが、肝心のパンツは見つからない。壁に寄ってベットと壁の隙間を覗き込み、不幸な転落者が救助を待ちわびていないか、身を縮めて目を凝らした。寝しなに読んで落下したであろう数冊の文庫本が、薄暗く埃っぽい空間に静かに身を納めているばかりで、お目当ての失踪者の姿はやはり確認できない。


「どうしよう、そろそろ出ないと、遅刻かも」

彼女の声は、少し悲哀の色を帯びてきた。その時僕は自分勝手にも、今日は仕事が休みで、このまま惰眠に任せられる自分の身の上を喜んだ。まして、幸運にも、僕のパンツは寝る前と変わらずそこにいてくれた。


ぶるっと下半身に寒気を感じて、先程体から剥がした毛布と掛け布団を引き寄せ、ふたたび自分のつま先から尾てい骨の辺りまでを庇う。再び彼女に眼をやる。無防備に外の世界に晒され、せわしなく動くその両足は質の悪い動物の脂から作られたロウソクに見えた。


しばらくして彼女の足が動きを止めた時、右脚のふとももの内側に、大きな痣があるのが見えた。濃い紫色で、火傷の痕らしかった。それを目にした瞬間、外気から過剰なほどに保護された自分の下半身から昇ってくる温もりは、いささか彼女に対する同情の念を僕にもよおさせた。不憫な子だ、と僕は無責任に思った。


少し思案した後、「俺のパンツ履いてく?」と、僕は彼女に持ちかけた。「んー」と、彼女は曖昧に、それでいて幾分不満の色濃くうめきながら、捜索の手を休めなかった。でもやっぱり、どこかにあるはずだし、もうちょっと、とつぶやいて、扉の閉まっていたクローゼットにまで捜索網を広げ始めた。


その滑稽なほど実直な態度にやはり感心した僕は、どうにか彼女の捜索の一助となろうと、どういった経緯と理由で、パンツが彼女の身を離れたのか、淀みの残る頭で思い返してみることにした。


***


昨晩は会社の同期四人での飲み会で、僕と彼女はその一員だった。夜の七時頃から神楽坂の和食居酒屋で飲み始め、二時間ほどそこで飲んだ後、近くの小ぢんまりとした海鮮居酒屋に移動した。日曜日だったので、あまり深酒はしないようにとの全員の了解があり、一杯で切り上げるつもりだった。ところが、案外二軒目での会話が盛り上がってしまい、終電までカラオケで飲もう、という流れになった。


カラオケに行く案を、一番強く主張したのは、その後不憫に見舞われる彼女だった。他の二人は、明日は月曜日だし、もう今日は帰ろうと主張したが、彼女は半ば強引にカラオケ行きを全員に了解させた。僕は、明日は休みだからと思い、どっちでもいいよと中立的な、悪く言えば優柔な立場を取った。日本酒を主に飲んでいたので、全員それなりに酔っていた。


二軒目近くのカラオケに移動する間、冬の底冷えする寒さが、コートとセーター、おまけに防寒機能付きの安っぽい下着をお構い無く突破してきて、肌を刺激した。日曜日の遅い時間だったので、人の影はまばらだった。彼女は率先して小走りで緩やかな坂を駆け上がり、二階から最上階までチェーンのカラオケ店が入っているビルの麓に立って、皆の到着を待っていた。


僕は彼女の待つビルを目掛けて歩いた。ぽつんと立つ彼女の口から白く吐かれる息が、ほんの少しの間だけ白い色を保って、霧散する。絶えず吐かれる息が、街灯の青白い光を浴びて彼女の輪郭をぼんやり曇らせる。三十秒ほどで彼女の元にたどり着く。間近で見た顔は少し上気していて、思ったよりも赤らんでいた。


カラオケには結局、二時間ほど滞在した。その間、僕らはロクに歌いもせず、流す音楽に合わせて、一気飲みのコールをずっと互いに投げあっていた。途中から、誰も彼も止め処なく酔っ払い始めた。微睡んだ意識の中で、二回目の三〇分の延長を酒気に充ちた息で電話機に吹き込んだ時には、その場にいた全員の終電は無くなっていた。


彼女の家は僕の家と反対方向だったのだが、お互いの混濁した意識のために、なぜか僕と彼女は同じタクシーに乗り込むことになった。どういった話し合いを経て、そんな不可解な帰宅の陣容を採るに至ったのかは、そこから先に何が起きたかということと同様に、全く覚えていなかった。唯一覚えていたのは、乗り込んだタクシーの後部座席において、満月が照り返す澄んだ白光を窓越しに浴びながら握っていた、彼女の左手の感触だけだった。


***


「俺のパンツ履いていったら」

と、僕はもう一度彼女に投げかけた。彼女は一通り捜索の済んだクローゼットのドアに手を掛け、何か硝子細工でも扱うかの様に慎重に、丁寧にドアを閉めた。返事はない。彼女が僕の家に泊まったのも、僕と同じベッドで眠ったのも、これが初めてだった。優しい子だな。僕は無責任に思った。


しばらくの沈黙の後、「それか、もういっそ何も履かないか」と僕は二の句を継いだ。この発言は、彼女の決断を促そうとして、つい僕の口をついたでまかせだったのだが、自分の頭で反芻するうちに、どうもこれが名案であるかのように思えてきた。この突飛な考えは、眠りこけていた僕の軟弱な想像力を叩き起こし、人類が初めてパンツを履いた、史上大変に重要な一日のことを思い描かせた。


思わず自分で吹き出しそうになったが、途端にスマホからアラームの音が鳴り出し、慌ててそれを止めると、一挙に平静で現実的な気分に引き戻された。


彼女は僕の提案に対し、「んー」と煮え切らない様子だった。僕はちょっと捨鉢な気分になって、ベッドから上半身を乗り出し、ベットの底部に備わっている収納棚の引き出しを開けると、中からパンツを無差別かつ無造作にひとつ取り出した。白地に紺と黒のチェック柄の、ボクサーブリーフ型のものだった。持っているパンツの中では比較的女性が履くに適当なものの様に思えたので、逡巡していた彼女に、助け舟の乗船券の如く差し出した。


彼女は差し出されたパンツを数秒見つめると、少しため息を吐きながら視線を外に向け、事態ここに至ってはやむなし、と心の中で観念している風だった。パンツを受け取ると、素早くきびきびとした動作で、長らく外界に露わになっていた恥部を覆い隠した。その後、ズボンを履き、洗面台の前で簡単な化粧や寝癖直しといった一通りの身支度を済ませた彼女は、足速に僕の家を去っていった。


彼女が家を出るまでの身支度の最中、僕らはまともに口を聞かなかった。出発の直前、玄関のドアに手を掛けた折、僕が再び睡眠の姿勢を取ったところで、彼女は烏のように高く少し掠れた声で、泊めてくれてありがとうと一宿の謝意を述べてくれた。そして、続けざまに次のように僕に問い正した。

「私たち、昨日したっけ?」


この質問は、本来であれば僕の意表を突き、多くの男性同様、返答に大いに窮する類のものであった。が、目を覚まして以来ずっと淀みに苛まれていた脳の中の、不思議と冴えていた何処か一部分が、彼女からのその質問の出題を予め察知してくれていたために、僕は質問の答えの準備をすることが出来ていた。僕は、少し悩んだふりをして、数秒の間を置いてから、「してないと思う」と、努めて真剣な調子で応答した。「だってコンドームの袋が...」と言いかけた所で、玄関のドアが乱暴に閉まる音が響いた。


***


その後、彼女とは一週間ほど連絡を取らなかった。その間も、彼女のパンツは出てこなかった。


ある晩、彼女から、借りたパンツを返したいので来週会える日を教えて欲しい、とのメッセージがあった。僕は、彼女に貸したパンツが、ずいぶん長い間ローテーションから外れていて戦力外通告に近いモノだった、という事情もあったが、おそらくもっと卑しく無責任な、あまり感心できない男性的な情動の問題を理由に、「返す必要は無いので、捨ててもらって大丈夫」という返信をした。そして重ねて、「パンツはまだ見つかりません」とメッセージを送信した。既読はすぐについたが、夜が深く沈み日付が変わっても彼女からの返事は無かった。


大人しくスマホを充電器に繋いで布団に入ると、僕は彼女が陰毛を露わにしながらパンツを探していたあの日のことを、ぼんやりと思い出した。そして、おもむろにベットと壁の隙間に手を伸ばすと、そこに固く柔らかい二つの手応えがあった。指先を釣り針みたいに器用に使って、獲物を引き上げる。ベットの上に陸揚げされた一冊は石原慎太郎の「太陽の季節」で、もう一冊はスコット・フィッツジェラルドの「華麗なるギャッツビー」だった。「太陽の季節」のブックカバーは、どこかにいってしまっていて、表紙や頁がところどころひしゃげている。「華麗なるギャッツビー」不自然なほど綺麗なままだった。僕は一瞬迷った後、「太陽の季節」を枕元に投げ出して、「華麗なるギャッツビー」をパラパラと捲り始めた。しかし、5分ほど目を通しても、最後に読み進めていた部分をはっきりと思い出せなかった。諦めて本を閉じると「太陽の季節」の上に重ねるようにして寝かせ、読書灯を消して目を閉じた。


***


それから一ヶ月ほど経ったある日の深夜、僕は彼女のパンツと再会を遂げた。彼女のパンツはベッドの脇に備えていた、脱いだ衣服を投げ入れるための洗濯カゴの底で草臥れていた。おそらく、パンツが彼女の身を離れた際にベッドからカゴの上に滑り落ち、その後に僕が寝巻きのTシャツを取り出そうと、カゴの中を引っ掻き回した拍子の天変地異に巻き込まれ、奥深くに沈んでいったものらしかった。


この一ヶ月間仕事がずいぶん忙しく、僕の生活はほとんど自宅と会社を往復するだけの極めて無味乾燥なものだった。当然、生活上必要となる料理や掃除といった家事一般はまったく疎かになり、日常的に使用している下着とシャツを除いては一切洗濯をしていなかったために、パンツはこの一ヶ月カゴごと放置されていた。そのために、発見がこれほどまで遅れてしまったのだった。


僕は一ヶ月ぶりの救出となった、その哀れなパンツを手にとった。女性のパンツをじっと眺めるのはこれが初めてだった。黒色の、特に飾り気のない、詳しくはないが恐らくはごく一般的な女性用下着と呼べる代物だった。他の衣服に埋もれていたためか、皺くちゃになっている。なんとなく気になって内側を覗いてみると、ちょうど女性器を覆う辺りに、汗を吸った衣服を放置した時のような、白っぽい染みがあった。染みは、三〇〇〇ケルビン付近の黄色っぽい蛍光灯の明かりを吸って、少し黄ばんで見えた。僅かばかり生理的な吐き気と罪悪感をもよおすと、さっさと眼を外し、部屋を出て空の洗濯機に彼女のパンツを投げ入れた。


20分ほどして洗濯機が回り終わり、蓋を開けると、プラスチック製の洗濯槽の底で、水を吸って木耳のようになった彼女のパンツが身を縮めている。張り巡らされた金属製の側板は、万華鏡のように黒い物体の影を乱反射させていて、どことなく不安な印象を湛えている。僕は左手でパンツを掴んで取り出すと、小さく丸めて拳の中に握りしめ、玄関を出て近所のコインランドリーに向かった。


***


冬の寒さは続いていたが、空気の中に微かな温かみが混じっていた。空を見上げると、雲の切れ間に、月が周囲にたゆたう暗雲にその白光を滲ませながら、見事な半円を描いている。学校で習ったように、月が地球の影に身を隠しているために生じた形象なんかじゃなく、元から月とはこういう形の天体だったんじゃないかと疑ってしまう程に、完璧な半円だった。


コインランドリーまでの道は、裏路地ということもあり、車も人の通行もほとんど無かった。風が塀と建物の隙間を抜け、枯れ葉を垂れ下げる木立を揺するうら寂しい音以外には、何も聞こえなかった。僕は久しぶりに平穏な、静謐な週末の夜の空気に浸った。閑静な住宅街の一画に、一際眩しい光を放つ看板を見つけ、中に誰もいないのを確認すると、逃げ込むように中に入った。


三台の乾燥機が、物々しい機械音と排気音を轟かせながら、勢いよく回転している。入って正面の乾燥機が空いていたので、まっすぐ歩いて扉を開けると、パンツを中に放り込む。乾燥機の硝子蓋越しに、乳幼児が十人は入りそうな巨大な横向きのドラムの中で、ぽつんと身を横たえる黒色の縮れた布切れが見える。財布から百円玉を一枚取り出すと、電気椅子のスイッチに手を掛ける刑務所の看守の気持ちをふと想像しながら、投入口に投げ込んだ。


乾燥機が回っている間、手持ち無沙汰になった僕は、ぼうっとしながら回転する黒い布切れをなんの気無しに眺めていた。規則的に回転するドラムの動きに従う、身を縮めた黒い布の動きは、僕の頭蓋骨の周りを旋回する天体を眺めているようだった。しばらく眺めていると、最初は卑屈で惨めな感じのしていたパンツも、乾いていくにつれて、その身を大きく広げて、次第に衣服としての自信と機能を回復し始めていった。そうすると、最初は布切れ一枚に対して余りに仰々しいと感じていた乾燥機のけたたましい鳴き声も、段々と気にならなくなってきた。


不意に、乾燥機の脇に設置されている残り時間のデジタル表示を見やると、4分と表示されていた。4分。百円で10分だから、6分も眺めていたのか、と気づいた。その瞬間、残りの4分間、ドラムの中を覗く資格がどうも自分には無いような、神仏の宝具の拝観に夢中になる余り時間切れに気づかず警備員にでも咎められたような、そんな後ろめたい感じがして、自動ドアを潜ってふらりと外に出た。


それほど時間は経っていないのに、さっきよりも大気が随分冷えた感じがした。透明な冷たい空気が、息を吸う度に水のように体の中を浸す。街灯の白い光が、夜の底となった黒い道を照らしている。辺りには誰もいない。周辺の人家も明かりを点けておらず、皆すでに寝静まっているようだった。硝子の自動扉ごしに背後から聞こえる乾燥機の規則的な回転音以外に、耳立った音はない。


ふと足元に眼を見やると、コインランドリーの明かりに誘われた大小さまざまな羽虫の死骸が、白い蛍光灯の光を浴びて夜空の星のように散らばっている。空を見上げると、月はすっかり雲に覆われ、先程目にした完璧なまでの半円も、その姿を消していた。あまりに寂しい夜だった。すっかり世の中に見捨てられたような気分になった僕は、パンツが姿を消したあの日以来、初めて彼女に会いたいと思った。


僕はポケットからスマホを取り出すと、メッセージアプリを開いて、

「パンツ、見つかりました。来週会いましょう。」

と彼女に一ヶ月ぶりのメッセージを送信した。夜の海に冷やされた下半身に向かって、熱っぽい血の潮が流れていくのが分かる。この一ヶ月間、僕の右手は他の誰の手も握っていなかった。


後ろを振り返ると、さっきまで彼女のパンツを高速で回転させていた乾燥機はすっかり静止しており、数秒の沈黙の後、烏の声にも似た甲高いブザー音を発した。

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