第2夜
「私はこれからどうなるの?」
目の前が真っ白になったような感覚。
「美月さんには3つの道があります。」
え?道?
「はい。
一つ目 このまま此処で消滅を待つ。
この場合、此処で私のお手伝い、つまり世界の管理をしながら魂のエネルギーが消費され存在が消滅する時を待つことになります。
二つ目 別の世界へ移転する。
こちらは、第二の人生を異世界で過す事になります。比較的美月さんの体に合った世界を選びますが、最悪の場合移転した瞬間に体がバラバラに弾け飛びます。そうはならない様に特別な能力、いわゆる【スキル】を与えますが、可能性は0にはなりません。
三つ目 別の世界へ転生する。
転生とは言いますが、美月さんの体をその世界に合ったものに作り替えるだけですので、赤ちゃんからやり直すことはありませんし、親もおりません。さらに、年齢も場所もランダムで転生しますし、【スキル】は転生した場所によって変わります。」
「二つ目と三つ目は私の記憶は残るの?」
「……二つ目の場合体がその世界に合わせようとするので徐々にですが思い出せなくなっていきます。三つ目の場合は記憶を残して体を作ることも可能ですが、統計的に言えば無理に情報を固定するために今の年齢よりも大幅に上下する事がわかっています。」
「三つ目で。」
「もっと悩んでもいいんですよ?」
「元の世界に戻ることは出来ないけど、だからって17年生きてきたことを忘れるなんてイヤだから。それに…。異世界見てみたいしね!」
「そうですか。そう言えば美月さんのご両親は…。
」
「うん。だから忘れたくないの。」
「分かりました。記憶を残したまま体を作り替えますが、何分ランダムですのでその姿が受け入れることが出来なくても自殺とかはやめてくださいね?過去に何人かおりましたので。」
「りょ、了解。」
神様…それ、笑って言うことじゃないと思うよ…。
「では新しい世界へ送りますので、こちらの魔法陣に乗ってください。」
足元に細かい模様がびっしり書かれた魔法陣が光ってる。いつの間に…。
「あの!」
「何かございましたか?」
「その人、その後ろでピクピクしてる人が私を連れてきたんだよね?」
「えぇ、そうなります。本当にごめんなさいね?」
「いえ、起きたらでいいので『助けてくれてありがとうございました』って伝えといてくれませんか?」
「……。分かりました。それでは送りますね。」
そうして私が乗った魔法陣は目も開けられないほどに輝き---
「あっ。ヤバイ…。」
神様の不穏な言葉が聞こえた気がする。