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番外編 黒猫 壱

ฅ(º ロ º ฅ)《いつか書きたいと言っていた番外編!やっと書けた…。

暗い。

苦しい。

何も見えない。

何も聞こえない。

存在するのは苦痛と寂しさ。

自由にならないこの体で、いくら必死にもがいてもそこに広がるのは闇。

自分のあかすら黒に染めるかのような闇。


オレは1人だった。


オレは魔族の中でも魔力が元々多く、強い者が上に立つ魔族の中ではそこそこの地位を確立していた。

ただ、オレには決定的に足りないものがあった。

それは


血に対する欲望


魔族は獣とは違い体に魔力器官がある。ただ、人間とも違い、自然からは取り込めない。

だから魔族は人を喰らう。

それは生きるため。

だから魔族は魔族をも喰らう。

それは生き残るため。

だからこそ魔族は人間の天敵とされている。


魔族は多かれ少なかれ血に対する欲望を持っている。

たがオレにはそれが無い。

ヒトを食べたいとも思わないし、かと言って魔族を食べたいとも思わない。


周りはそれを許してはくれなかった。

人里近くに行けばヒトに襲われ。

魔族の里に行けば変わり者と笑われた。


居場所なんかない。

そう思って山に篭った。


それでもヒトはやって来た。

手に武器を持ち、オレを殺しに。

オレは何もしないと言うのも途中で諦めた。


気がつけば100年近くを生きていた。

山から動かないのに。

ヒトが来なければ3ヶ月もすれば死んでしまう体なのに。


ある時白いローブの男が来た。

オレは早く死にたかった。

終わらせてほしかった。

男は言った。

ここは王都に近い森だと。

お前がいるとヒトは怯えて暮らさねばならないと。

だから自分はここに来たのだと。

たとえ殺せなくても。

たとえ自分が死んでも。

オレをここにつなぎ止めることが出来ればいいと。


オレはその男を

オレの全力を持ってしても殺せなかった。

それほどまでに強かった。

ただ、男も無事では無かった。

男の右腕はオレがもらった。


そしてオレはこの地に封印された。








どれだけ年が過ぎただろう。

オレの上にはオレの魔力を吸い上げる木が植えられた。

オレの周りでヒトが生活を始めた。

オレが溜め込んだ魔力も底がみえてきた。

このままオレは木の栄養として死んでいくのだと思った。


苦しい。

辛い。

暗い。

寒い。


寂しい。



そんな時

何年ぶりだろうか。

ヒトの気配がする。

もうオレは虫の息だった。

それでも血が欲しいとは思わなかった。

最後は独りで逝くのだと思っていた。

誰かが近くにいる。

それだけでどこか暖かかった。



不意に流れ込んできたのは黒い魔力。

闇に覆われたオレの世界でもそれと分かる異質さ。

そして初めて欲しいと思った。

この魔力が欲しいと。



“呑み込め

 喰らえ

 混ざり

 力となれ”


頭に響くその声は

オレに道を示してくれた。

主につき従えること。

それがオレの、私の命であると。



「お呼び頂き有り難うございます----主。」


一生この御方を支えよう。

私を闇から救ってくれたこの御方に。

この世の誰よりも美しいこの御方に。

私が必要とされなくなるその日まで。






私は欲しいのです。

貴方が。

貴方の全てが。

ฅ(º ロ º ฅ)《2週間ほど更新が出来なくなるので、2話投稿してみました。もうちょっと書ければ良いのだが……。

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