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唯一無二

作者: 藤崎 慈恩

小説でもなく、詩でもない中途半端な作品ができてしまいました。

宜しかったら見ていって下さい。

 “アンタなんか産まなきゃよかった”



 冷たく放たれたこの言葉は

 僕の周りに流れる時を恐ろしいほどの速さで凍りつかせた。

 音が消え、視界が狭まり、思考が停止した。

 まるで、脳の節々から悲鳴が聞こえて来る様だった。


 この言葉が、僕の心へどれ程の悲しみを僕に与えたことか___

 この言葉が、あなたへのどれ程の憎しみを僕に植え付けたことか___


 あなたにはわかりますか?


 確かに僕は、あなたの元に産まれてくるべき存在では無かったかもしれません。

 あなたが欲していた理想の存在では無かったかもしれません。


 でも僕はあなたを大切な存在として、

 僕という存在を産んでくれたことに対して感謝していた。

 なによりこの世界で大切な愛するべき存在だと思っていました。


 僕が今、どれ程苦しいか

 あなたには想像できますか?


 あなたのこの言葉を最後に僕の記憶は歪な音をたて

 自分では修正が不可能な程までに捻じ曲がってしまった。

 

 楽しかった記憶が 

 嬉しかった記憶が

 あなたの笑顔が、喜びが


 全くとして思い出せない。


 あるのは

 毎晩帰って来る度に僕に当り散らしていたあなたと

 何もせず黙って仕事だけを見ているあの人。


 そんな記憶を抱えて僕は、あなたを憎み続けた。


 それが間違っていることだときずくあの日まで、

 あなたの涙が僕の心に届いたあの日まで、僕は本当の悲しみを

 解っていなかったのかも知れない。


 

 “     。ごめん・・・本当にごめん”



 だから、この言葉をあなたのから聞いた時

 たぶん僕は酷く後悔したんだと思う。


 直ぐには解らなかったけど、今ならわかる。


 その時のあなたは正真正銘、僕の母親だっだから。




 あなたはどのくらい、泣いただろうか。

 僕の肩にかかるあなたの息遣いと、たくさんの涙は

 今まで僕が憎み続けたあなたとは思えない程に

 とても優しく、温かく、心から安心できる

 本来僕が求めていた愛を全て注ぎ込んでくれた気がした。


 それと共にあなたの苦しみもやっとわかった気がした。


 僕が今まで泣けなかった分まであの人は

 体のどこにあれだけの水分が含まれているんだろうと驚くほどに

 子供のような大きな声をあげて、泣き続けた。


 あなたの声と共に僕に流れこんで来る

 僕の消えた記憶達。


 楽しかった記憶が

 嬉しかった記憶が

 あなたの笑顔が、喜びが


 いっぺんに僕の心へ、体へと流れ込んで来て

 どうしていいか、あなたに何を伝えればいいのか

 全く働かない思考の中、只確かに思ったことは



 “離れたくない”



 今までみたいに当たり散らしても何をされてもいい。

 僕の側にいて欲しい。

 そう思った。

 

 今更気づいても、もう手遅れなことはわかっていたけど

 僕はあなたと

 この家族と一緒に


 

“過ごしたい”



 でも、その言葉を寸でのところでの見込み

 


 「母さん。幸せになってね。」



 そう一言いいあなたを笑顔で送った僕は

 正しかったのだろうかとそんな疑問が何度も僕の

 脳に、記憶に、心に過ぎったが

 僕は心からあなたの幸せを願おう。

 

 そう決めたんだ。



 

  

 


 

 

ここまで読んで頂いた方々、有難う御座いました。

残り少ないですが、これからも宜しくお願いします。

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