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黒の手

作者: 野良犬

 あれは、私がまだ中学生の頃の話だ。セミは鳴き、日差しも熱い、熱帯夜も多い夏の日の話でもある。


 ある日の昼、私は友人の家にいった。なんのへんぴのない普通の家である。かれこれ、ゲームや雑談といった普通の学生同士の遊び…その最中友人からある携帯のデータをもらった。


 友人から貰ったデータの中には多数の画像やFLASH動画、着信音な多々(たた)あった。当時はまだスマホなどという言葉はなく、誰もがガラケーだけ持っている時代だ。


 だがこの時にこのデータが、あの夜の体験に繋がるとは誰も思わなかった。

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