異世界での反撃3
「抜け出して、あなたも怒られるんじゃないですか」
サラへの申し出に、キクカは一拍身を置いた。
それに、彼女がそう申し入れる理由もわからない。
「あら、私の父とこちらの若様は地位にすれば父のほうが上ですわ。お嬢様に叱責されたからといって、痛くもかゆくもない」
「でも……」
「そうですわね。例えこの家から放逐されても、ただの行儀見習いですもの。多少嫁入りが遅れるだけですわ」
彼女はまるでティエラ家を恐れていないようだった。
「それに、あなたがここに居座られて、またシンクーが襲われでもしたらどうします」
なるほど。それが理由か。
よく聞けば、声に覚えがある。
廊下でキクカを事の元凶だと話していた女性だ。
「……わかりました。お願いできますか」
キクカは深く一礼した。
「かしこまりました。ではまず昼食を召し上がって。終わったころを見計らってお迎えに参りますわ」
サラへはにっこりとほほ笑んだ。
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デュラは薄暗い地下水路を、なんの迷いもなく進んだ。
大地の元素が行く先を教えてくれる。
世界には、大地の庇護者たる王家の他に5つの主軸たる大地属の貴族家があった。
王家の血脈を支える為にあるといっても過言ではないその貴族の一角が、デュラの生まれたムルヒ家である。
ムルヒ家は代々王家に娘を嫁がせており、先代の王の妃もムルヒの出だった。
が、現王はムルヒ家から妃を娶っていない。
というのも、ここ50年ほどムルヒ家に女性が生まれなかったのだ。
ムルヒ家の権威は低下した。
現当主にも、デュラとビュラ、二人の息子しか生まれなかった。
ムルヒ家は、王家に次ぐ権威と歴史のある一族。
王家にもしもの時あらば、代理の王権がある由緒ある大地の一門。
権威の低下したムルヒ家が、反王党派の先鋒となるのに時間はかからなかった。
デュラは一旦足を止めた。
大地の元素が上を指し示す。
だが、そこに上に続く道はない。
意識を集中させると、上に王子の気配があった。
「……待ち構えているということか」
独白。
にやりと笑った。
一族に男しか生まれなくなったのは、王権を奪取せよとの宣託なのだと。
いつからかそう信じるようになった。
王家が連綿とその血統を長らえることができているのも、ムルヒの血あってこそ。
「王子よ、俺に屠られるがいい……」




