表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/45

異世界での反撃1


治安局崩壊で王城周辺があわただしくなるのを、デュラはじっくりと眺めていた。


住民の避難と、崩壊により起こった火災を消火する作業が入り混じる。

警備隊が周囲を封鎖し、注意は完全に治安局へ向いていた。



その時、待っていた動きが起こった。



「中に!中に夫がいるんです!」


一人の女性が警備員に縋り付く。

「危ないから離れて!取り残された人員の確認は市民局で行います!」

デュラはそっと女性に近づいた。


「奥様、私がお連れします」

「あああ!助けて!お願い!」


女性は叫び続ける。

デュラは女性の肩を抱き、市民局へ歩き始めた。


市民局は問い合わせに殺到する市民で混乱していた。

怒号も飛び交う。


「奥様、ここで少し待ちましょう」

嗚咽を漏らす女性を市民局の1階フロアの片隅に座らせ、自身は人の波を縫いカウンターに近づいた。


「すみません、処理を手伝うように言われてきました」


カウンター内にいた職員は、はっきりとデュラの顔も見ずに


「あっちの従業員通路!」


と手に持った入力端末で方向を指し示す。


「わかりました」


デュラは示された従業員通路へ滑り込む。

混乱のせいか、往来が多くて煩わしくなったのか、そこには何のセキュリティもかかっていなかった。



市民局の内部に侵入したデュラは、そのまま地下へ降りる。

財政が思わしくないせいか、ところどころ壁がはがれている。



地下最深部に到達したところで、デュラは一つの扉に手をかけた。







:::::::::::::::::::



「次の行動予測はできているのか?」


ユーキの問いかけに、アヅマはテーブルに広げた王城の見取り図をなぞった。


「なぜ、ムルヒは治安局を破壊したのか?」


アヅマはそうつぶやき、王城の外部を囲む公的施設を見渡す。

「今、事故処理はどこでやっている?普通治安局が管理するべき事案だが、今の現場はあそこだ」

「おそらく市民局だろう。あそこは現場にも近いし、収容スペースもある」

「……そこだな」

「今度は市民局を襲うのか?」

「いや、おそらく市民局には一般市民が詰めかけているだろう。普段ならば警備も厳重だろうが、今日はそうもいっていられない」

「まさか、市民に紛れて侵入する気か」

ラフテルが声を上げた。

「もし警備がいきていても、混乱のさなかだ。内部への侵入はたやすいだろう」

「そこから侵入できたとして、どうする?」

ユーキも図面を見下ろす。


「……外部局と王城内を結ぶもの……」

「避難用地下貯水路か」

「お約束だな……」

三人は何とも言えない苦い表情を互いに見合わせた。


「仮に地下貯水路を通ってきたとしても、出るのは王城の庭先だ」

「塞ぐか?」

ユーキが短く進言する。

「大地属性にそれは効かない」

「では水攻めか?」

「水攻めって、今避難用水路に水なんてないだろう」

「ではどうする」

そこでアヅマはユーキとラフテルを見た。


「モグラたたきって、知ってる?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ