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婚約解消お断りします

作者: 徒然草

 婚約破棄騒動の物語ですが、主人公が結構キツイ性格をしてます。あっさりと終わります。もし宜しければどうぞ。


「ラフェーネ、すまないが君との婚約を解消したい。」


「お断りします。」


 ラフェーネ・メルカラント侯爵令嬢は、婚約者であるダニエル・リクト侯爵令息の申し出をすぐに断った。


「…ラフェーネ、俺はメリーを愛してしまったんだ。だから、分かって欲しい。」


「ごめんなさいね、ラフェーネ!」


 ダニエルの隣いるメリー・ハラサス侯爵令嬢はラフェーネの幼馴染だ。苦笑いしながら謝罪するメリーを見るとラフェーネは、


「お断りします。」


 また同じ言葉で婚約解消を拒否した。そんなラフェーネの様子にメリーは目を丸くしたが、両手を合わせて頭を下げた。


「ねぇラフェーネ、お願い! 私とダニエル様は愛し合っているの。貴女だって自分を愛してくれないダニエル様の傍に居るのは辛いでしょう? 分かって欲しいの!」


「お断りします。」


 ラフェーネは微動せず譲る気配を全く出さない。


「ラフェーネ、君の俺を想う気持ちは嬉しいよ。君に何か不満があった訳じゃないのも認める。でも、俺は君を愛する事はもう出来ない。だから分かってくれ、頼む!!」


「お断りします。」


 必死に頼み込むダニエルの言葉も届かない。ラフェーネは冷たい表情のまま2人を見ているだけだ。


「っ…ラフェーネ、本当にごめんなさい! 貴方を傷付けるつもりはなかったの…でも、でも気持ちを抑えきれないの!!」


「お断りします。」


 メリーは焦ったように表情を強張らせて謝罪するが、ラフェーネは同じ対応をするだけだ。


「お断りします。」


 ダニエルとメリーがまだ何も言っていないのに、ラフェーネは言った。


「っ…、ラフェーネ。俺達が悪いのは分かっている。でも、“お断りします”だけじゃなくて話してもらえないか?」


「ラ、ラフェーネお願い! 何か話してよ。も、勿論私達が悪いわ。でも何時もみたいに普通に話してよ!」


「お断りします。」


 まるで機械のように“お断りします”と繰り返すラフェーネに、ダニエルとメリーは困惑する。その後も謝罪と婚約解消の願いをするが、“お断りします”とだけ言って拒否をするラフェーネに、自分達が悪いと分かっていてもダニエルとメリーは次第に苛立ちを感じ始めてしまった。


「ラフェーネいい加減にしてくれ、ちゃんと話をしてくれ!」


「お断りします。」


「ラフェーネ、いい加減意地を張るのはやめてよ!」


「お断りします。」


「俺はメリーを愛しているんだっ! ラフェーネ、君の事を悪く言いたくないがこれ以上態度を変えないなら俺は君を嫌いになってしまうぞ!」


「ラフェーネ分かってよ! ラフェーネがこんなに頑固だなんて初めて知ったわ。そんな態度ばかり取るなら私、貴方の事嫌いになるからね!!」


「それは良かった。私はとっくに2人の事が嫌いです。」


 ダニエルとメリーは固まった。ラフェーネがようやく“お断りします”以外の言葉を話したと思えば、2人が嫌いだという言葉だった。


「当然ですよね。家同士が決めただけで愛情がないとは言え、婚約者がいるのに浮気をするダニエル様。幼馴染の婚約者に手を出すメリー。2人を許せる訳がないでしょう? 」


「そ、それは…。」


 ラフェーネの言葉にダニエルは勢いをなくし気不味そうに黙る。


「私が2人の関係に気づいてないとでも? とっくの昔に2人が想い合っていた事なんて知ってましたよ。それなのに今日まで知らぬふりして婚約者面、幼馴染面をして私の傍にいる事に何度吐き気を催した事か。」


「ラ、ラフェーネ…。」


 鋭く睨みつけてくるラフェーネに、メリーは顔を青褪めさせて震えてしまう。


「政略結婚だから自分の意思だけではどうにもなりそうにない。だからダニエル様は私を説得しようと思ったのですよね? 私が同意したところで婚約解消出来るかは分かりませんが、私の両親は私の幸せを蔑ろにする人達ではないので解消を考えてくれるでしょうね。でも婚約解消出来たら、2人は結婚するつもりなのでしょう? そう、私の大嫌いな貴方達2人が…ふふっ。」


 ラフェーネの最後の笑いに、ダニエルとメリーは不気味さを感じて息を呑んだ。


「そんなの、許せる訳がないでしょうがっ!!!」


 ラフェーネの物凄い剣幕で怒鳴り上げる。2人はビクッと身体を震わせた。


「このまま貴方達に従い、婚約解消に同意するなんて絶対に嫌です! それなら2人が結婚出来ないように、幸せになれないようにこれからも邪魔をしてやりますよ。絶対に、貴方達の思い通りになんてさせませんから。」


「そ、そんな…。で、でもラフェーネ、そんなんじゃ貴女だって幸せになれないわよっ!! わ、私はラフェーネにはちゃんと、ラフェーネの事を愛してくれる人と結婚して欲しいのよ!」


「黙れクズ。」


 冷たく、鋭くラフェーネはメリーの言葉を切り捨てた。


「メリー、貴女は私にとって偽善者ですらないわ。どの口で私の幸せについてほざいているのよ。それにね、個人的に私はダニエル様よりも貴女の方が何倍も嫌いなのよ。」


「っ、…ラ、ラフェーネ…う、うぅ…。」


 汚物でも見るような目線と怒りの声に、メリーは恐怖とショックで涙を流し始めた。ダニエルはメリーの肩を抱き寄せてラフェーネを見た。


「ラ、ラフェーネっ! いくら何でもそんな言い方をするのは…。」


「ダニエル様、私はメリーの事が昔からずっと嫌いなんです。甘ったれで泣き虫で、幼馴染だからと言う理由で私はメリーに厄介事を押し付けられてきました。考えてみて下さいよ。幼馴染の婚約者に手を出す時点でまともじゃないのに、申し訳無さそうではなく笑いながら婚約者を譲れと言ってきたのですよ。内心は兎も角、普通は申し訳無さそうに悲しそうにするべきですよね? 彼女は幼馴染の私に甘えている、もしくは見下して舐めているから平気でそんな事が出来たんですよ。」


「!? …ち、違うわ! 私はラフェーネの事そんな風に思ってないわよ!!」


「あら、それなら無自覚だったのかしら? 貴女の行きたい場所に嫌嫌つき合わされた。私が友人と遊びに行こうとすると割り込んで邪魔してくる。宿題もつき合わされて時間は潰されるし最悪だったわ。でも、ハラサス侯爵はメリーに甘くて全く注意しなかった…本当に迷惑よ。」


「っ…!」


 ラフェーネは積もりに積もった本心をぶち撒ける。メリーはラフェーネの言葉にショックを受けて何も言えずに放心していく。


「侯爵家同士の付き合いはとても大事よ。だから、メリーが嫌いだという理由だけで避けたり攻撃するなんて出来ない。だからずっーと我慢してました。でもこれで、我慢しなくて良くなりました。私の婚約者の浮気相手にこれまで通り親切にしろだなんて、おかしいですもんね? 浮気されるなんて最悪ですけど、不幸中の幸いってやつですね。」


 嬉しそうに、嘲笑うようにダニエルとメリーを見るラフェーネを、2人は怯えたように見つめるしか出来ない。


「嫌いな貴方達を幸せにさせない為に婚約解消を認めないのは勿論ですが、それだけではありません。もしこのまま婚約解消に私が同意してしまうと、メリーは私に赦して貰えたと勘違いをすると思います。また幼馴染の私にベタついてきたでしょうね。そして私が嫌がり拒否すれば、まるで自分が被害者のように泣き出すんですよ。今この状況みたいにね。」


「う、うぅ…。」


「…そ、そこまで言わなくてもいいだろう。」


 俯いて泣き出すメリーの背中を擦りながら、ダニエルは怯えた様子を見せながらもラフェーネを批難した。しかしラフェーネはダニエルの言葉を無視して話を続ける。


「メリーが泣き出しても私の友人は私を庇ってくれるでしょう。周囲にも私の味方をしてくれる方達はいると思います。でも、私を批難してくる輩もいるでしょうね。“幼馴染なんだからそれくらい許してやれ”、“浮気される私が悪い”とも言われるかもしれません。」


「…そ、それは。」


 ダニエルは否定出来ずに口籠る。どんなにラフェーネが傷付いても幼馴染だから赦してやれ、ラフェーネにも非があったかもしれないという空気を利用してラフェーネとメリーに仲直りして貰い、あわよくばダニエルも友人関係としてラフェーネと付き合っていけると心の何処かで思っていたのだ。だが、そんなのはラフェーネからすれば迷惑でしかない。


「まぁ、それは婚約解消に同意しなくてもあり得るかもしれませんね。でもメリーとの縁の切りやすさはこちらの方が上です。」


「ラ、ラフェーネ…うぅっ。」


 ラフェーネは泣きながらラフェーネを見るメリーに少し視線を移すが、すぐにダニエルを見た。


「あぁ、私は別にダニエル様と婚約解消する事自体は全然構いません。浮気男は願い下げですもの。でも、メリーと貴方が絶対に結婚出来ない環境になる事が条件です。メリーに拒否出来ない婚約者が出来る…いえ、結婚した後にしましょうか。それなら婚約解消に同意します。ダニエル様がメリー以外の他の誰かと結婚するなら応援してもいいですよ? メリーと縁を切る機会を作ってくださったせめてもの慈悲です。」


 ラフェーネのメリーに対する徹底とした悪意と、絶対にメリーとダニエルの結婚を邪魔するという絶対的な意志にダニエルは愕然とし、メリーは顔を青褪めさせながらも口を開いた。


「酷い…酷いわラフェーネッ!! 酷い酷いっ!」


「うるさい。そもそも私の婚約者と浮気する方が悪いんでしょ。被害者は私の方よ、それくらい頭が悪くても分かるでしょう?」


 メリーが泣きながら喚くが、ラフェーネはただ冷たくあしらうだけだ。


「…君が、そんな性格だなんて知らなかったよ。」


「私の性格が悪い事と浮気、どう考えても浮気に問題がありますよね? それに私の性格の悪さは今露見しました。貴方達の浮気が先です。もしかしたら、2人のせいで私の性格が悪くなったのしれませんよ?」


 ダニエルはメリーを傷付ける言葉を吐き続けるラフェーネに怒りを感じたのか睨みつけるも、ラフェーネの主張に気不味そうに俯いてしまう。


「メリー、自分を愛してくれないダニエル様と結婚しても幸せになれないって言ったわよね? 確かにそうかも知れないけど意味はあるわ。嫌いな人を不幸に出来るのだもの。」


「あ、あぁ…、お、お願いラフェーネ、赦してよぉ…。」


 メリーが悲痛な声で謝罪をするが、ラフェーネはメリーを嘲笑いながら冷たく睨みつけるだけだ。


「ラ、ラフェーネ頼む! 婚約解消してくれたら俺は君に話しかけないし悪口も言わない。メリーも、君に近づかないようにするから!」


「えっ…そ、そんな…。」


 ダニエルの言葉にメリーはショックを受けたようにダニエルを見た。


「メリー、ラフェーネは君と縁を切りたいと言っている。君がもうラフェーネと関わらないと誓えば赦してくれるかもしれない。だから、ね?」


「そんなっ…う、うぅ…わ、私は…。」


「お断りします。」


 メリーが口籠り返事をする前に、ラフェーネはダニエルの提案を断った。


「そんな口約束を信用するわけないでしょう。それに私はメリーが一番嫌いですが、浮気野郎のダニエル様の事も嫌いだと言いましたよね? 自分が何かを提案出来る立場だなんて思わないで下さい。」


 ラフェーネはダニエルを睨みつけ、ダニエルは顔色を悪くさせた。


「…万が一、このまま婚約解消に成功してダニエル様がメリーと結婚するような事になったら、私は両親と相談をしてリクト侯爵家と敵対している家に協力します。情報提供や政略結婚、あらゆる手段を用いて貴方達を潰します。」


「っ! な、なんて事をっ!?」


 ダニエルは震え上がる。ダニエルとメリーの幸せを邪魔をする為だけにそこまで考えるラフェーネに、怒りよりも恐怖が支配していく。


「婚約解消はお断りします。」


 ダニエルとメリーはもう何も言えず、背を向けて去っていくラフェーネを見つめるしかなかった。


 その後、ダニエルはメリーと結婚したいとリクト侯爵に伝えるがラフェーネが拒否し、政略の為に浮気した事は水に流す姿勢を見せた。そんなラフェーネにリクト侯爵は心から感謝してダニエルを叱責した。ラフェーネのダニエル達に対する悪意の事をリクト侯爵に話しても、浮気をしたダニエル達が悪いと言われ、リクト侯爵は全面的にラフェーネの味方をした。ハラサス侯爵はメリーの話を聞き、ラフェーネに謝罪をしに来たがラフェーネはメリーを許さないと言って譲らなかった。メルカラント侯爵もラフェーネの気持ちを考えろと娘の味方をしてハラサス侯爵とメリーを批難した。立場が弱い事を理解していたハラサス侯爵はすぐに諦めてメルカラント家に慰謝料を払った。そして、メルカラント家とハラサス家は互いの縁を切る事になった。今回の事でハラサス侯爵はメリーを叱責するも、根本的に娘に甘い侯爵はこの国にいては悪い噂ばかりが目立ってしまうと考え、メリーを隣国に留学させる事にしたようだ。メリーが渋ったのかは分からないが、婚約者のいる相手に手を出したのだから拒否は出来ないだろう。


「…ラフェーネ、頼む。メリーはもう遠くに行ってしまうんだ。それに父上は絶対に俺とメリーの婚約は認めない。だから、婚約解消を考えて欲しい…。」


「メリーが誰かと結婚したら、と言いましたよね?」


 弱々しく頼んでくるダニエルの言葉を、ラフェーネはバッサリと切り捨てた。


「お断りします。」


 自分の今後の幸せよりも、嫌いな人達を苦しめる選択をした主人公の話でした。ここぞとばかりにずっと嫌いだった幼馴染に攻撃するという賛否両論別れそうな性格です。この主人公が今後幸せになれるかは分かりませんが、浮気をした方が悪いのは間違いないです。あっさり読めるように纏めたので設定も薄いですが楽しんでくれたら嬉しいです。


ここまで読んで下さりありがとうございました!! もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
読みやすいし面白い!シリーズ読みしたいです!
なんだかんだと加害者が赦されるナーロッパ世界で、なんとしても赦さない強火具合にほっこり。いいぞもっとやれ。
くれくれ幼なじみと浮気男から逃げたいでなく、知力と人生掛けて嫌がらせしていくスタイルは斬新だなと思いました。 周囲に根回しして認めてもらった上でラフィーネが幸せになれそうな相手を紹介するとか筋を通し…
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