ローマ字
教育庁の文化審議会でこれまでのローマ字綴りを是正する方向で審議が進むようです。
現状のローマ字綴りは教育上は「訓令式」で、慣行では「ヘボン式」を用いる二重基準でした。
主な変更点としては「た行」が訓令式では「ta ti tu te to」、ヘボン式では「ta chi tsu te to」になります。
私の記憶では小学校の時にヘボン式の綴りで習ったはずなので、「訓令式」には馴染みがありません。
それよりも「だ行」の表記を改善して欲しいと思います。
現行では「だ行」の表記は「da ji zu de do」になっておりますので例えば「宝塚」をローマ字表記にすると「takarazuka」となり、これをひらがなに直すと「たからずか」という誤った表記になる可能性があります。
また「chikarazuku」と表記した場合に「力ずく」なのか「力づく」なのかが不明で、意味が全く異なる語句となります。
こうした表記揺れを減らすにも、「ざ行」と「だ行」の区別が明確になるよう、ローマ字表記を見直すのが課題となるでしょう。
ですので「ぢ・づ」は「di du」とすることで誤用のない改訂が必要です。
国語教育では「ざ行」と「だ行」の区別を明確につけるようになっております。
これはローマ字の綴りにも反映させなければ、社会的な混乱は避けられません。
それから「おう」などの表記が「o」或いは「oh」とされますが、これも「ou」と是正して欲しいです。
これも「ohyoh」と表記した場合に「おひょう」なのか、「おうよう」なのか迷うことに繋がります。
また「sogo」と表記した場合に「そご」、「そうご」、「そごう」、「そうごう」と選択肢が増えます。
「hohoh」も「ほほう」なのか「ほうおう」なのか判然としません。
未だに私が読み方の分からない地名に「大音」があります。
現地の表記看板に付随しているローマ字綴りは「oto」なので、「おおおと」なのではないかと類推しているのですが、知らない人からすれば全く分からないのが実情です。
国語教育では「とおい」と「とうい」の区別、「こおり」と「こうり」の区別などのように徹底的に教え込まれるはずなのですが、ローマ字表記はそうした区別対象から除外されて仲間はずれにされているように感じます。
これを人名で考えると「遠山」と「東山」の違い、「大野」と「小野」の違いがローマ字表記では曖昧で、欠陥を抱えていることに繋がります。
「Yuki」と表記される人名は「ゆき」と「ゆうき」を含みます。
「Ono Yuki」と表記された場合の人名予測は「おの・ゆき」「おおの・ゆき」「おの・ゆうき」「おおの・ゆうき」の四種類になります。これでは個人の特定が難しく、取り違えが発生するでしょう。
ローマ字表記の規則は意外と複雑です。
拗音の表記は原則として「ya yu yo」の前に行の子音を付随させますが、例外的に「じゃじゅじょ」は「j」のみで表記します。また「しゃしゅしょ」は「sh」、「ちゃちゅちょ」は「ch」の表記です。
促音は子音を重ねて表記しますが、「m」は別の規則があり、これも例外的な扱いとなります。同じく例外的な表記としては「まっちゃ」のように「ch」の子音の前は「matcha」と「t」を付随させます。
「ん」については「bmp」の前では「m」を使います。「ほんまち」の表記は「hommachi」となります。
「さんぽ」は「sampo」、「せんべい」は「sembei」となります。
ローマ字表記の規則を元に幾つか単語や人名を並べますが、果たしてまともに読めるかは知識量に依拠します。
試しに幾つか羅列しますので、感想欄で答え合わせをしてみましょう。
・一般名詞
rennyu
goho
korigashi
nammon
・固有名詞、地名
Kentoshi
Kodokanjudo
Banyuinryoku
Daikanyama
Itoshiro
・人名
Shotokutaishi
Hojo Masako
Otomo Sorin
Mori Rammaru
Mori Motonari
Sakamoto Ryoma
Saigo Takamori
Togo Heihachiro
Ito Shiro
・故事成句
gishinankioshozu
gojippohyappo
chosamboshi
banryokusochukoitten
このように日本語をローマ字で表記すると、分かりづらくなります。
政府の定めた方式では不具合が多くありますので、そこも改善に繋がると良いと思いました。
長音表記の改善は、喫緊の課題でしょう。
後書きにヘボン式ローマ字の綴り方を参考として掲示しておきます。
政府が推奨するローマ字表記の規則(ヘボン式)
あ a い i う u え e お o
かka きki くku けke こko きゃkya きゅkyu きょkyo
がga ぎgi ぐgu げge ごgo ぎゃgya ぎゅgyu ぎょgyo
さsa しshi すsu せse そso しゃsha しゅshu しょsho
ざza じji ずzu ぜze ぞzo じゃja じゅju じょjo
たta ちchi つtsu てte とto ちゃcha ちゅchu ちょcho
だda ぢji づzu でde どdo
なna にni ぬnu ねne のno にゃnya にゅnyu にょnyo
はha ひhi ふfu へhe ほho ひゃhya ひゅhyu ひょhyo
ばba びbi ぶbu べbe ぼbo びゃbya びゅbyu びょbyo
ぱpa ぴpi ぷpu ぺpe ぽpo ぴゃpya ぴゅpyu ぴょpyo
まma みmi むmu めme もmo みゃmya みゅmyu みょmyo
やya ゆyu よyo
らra りri るru れre ろro りゃrya りゅryu りょryo
わwa をo
んn(m)
・撥音「bmp」の前の「ん」は「m」で表記する。
・促音は子音を重ねて表記する。ただし「ち、ちゃ、ちゅ、ちょ」の前の子音は「t」を用いる。
・長音の「う・お」は表記しない。ただし末尾が「お」でふりがなが「お」の場合は「oo」と表記する。
・「ヴ」の表記でも「v」は用いない。