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あの日の秘密

性的表現あり。


高校3年になり、学校生活に慣れてきた6月頃。学校に来ると下駄箱に手紙が入っていた。男子の下駄箱に女子から手紙を送られるのは、まだあるかもしれないが、私は女子だ。なぜかわからない。

白い封筒の表には私の名前。裏を見るが、差出人の名前はなかった。

なぜか嫌な予感がして、私はその封筒を鞄にそっと隠した。


1時間目、気になって気になって仕方なかった私は、机の下で封筒を開けた。

(写真……?)

中の写真をそっと出す。

「……っ」

心臓が鷲掴みにされた。

その写真には、先日、私が我慢出来ずにやってしまった姿が写っていた。

好きな男の子の机の角に、クリトリスを擦りつけ、角オナをしている姿。

私は気持ち良さそうな顔で必死に擦りつけているところだった。

(な…なんで……誰……)

冷や汗が止まらない。

一気にクラスメイト全員の目が怖くなった。

(この中に、私の姿を見た人がいるかもしれない)

震えが止まらない。

バラされたらどうしよう。

目の前がグラグラする。

私は目立たないように、必死に動悸を抑えた。


それからは、疑心暗鬼になって過ごした。いつも通りに振る舞わないと、関係ない人にまで気付かれてしまう。そう思って生活しようとするが、ぎこちなくなってしまう。

そんな時、事件が起こった。

音楽の時間にリコーダーを使うことになり、リコーダー入れを開けた。

すると、手にヌルっとした感触になった。

中を見てみると、白く白濁した粘度のある液体が、リコーダーの口部分にかかっていた。

(これって、もしかして……)

気付いた瞬間、叫びそうになった。

でも、これはあの封筒の差出人かもしれない。

一瞬頭をよぎり、冷静にカバンからタオルを出して手を拭く。

ネバネバとして糸を引いた。

リコーダーと手を見ていると、胃液が上がってきて吐きそうになる。

「すみません、体調悪いので保健室にいってきます」

私は何とか先生に言って、音楽室を出た。


それから、幾度となく性的嫌がらせを受けるようになった。

体操着に着替えようとすると、精液がかけられていた、水着が盗まれ、翌日ベタベタになって帰ってきた。

机の中にピンクローターが入れられている時もあった。

しかし、誰にも相談することは出来ない。犯人はきっと写真の送り主だ。特定すると、報復であの写真をばら撒かれるだろう。

日々憔悴していた時に、決定的な事件が起こった。

友達とお昼にお弁当を食べている時、何気なく喋りながら食べていると、ご飯が少しぬちゃっとしているように感じた。

不思議に思い、お弁当のご飯を見ると……精液かもしれない物が混ぜこまれていた。

私はその場で吐き出した。そのままうずくまって泣いてしまった。

口をゆすぐも、あの感触が忘れられず、再度吐く。

心配した友達が保健室に連れて行ってくれた。

保健室には誰もいないらしく、鍵がかかっていたので、友達が職員室に先生を呼びに行ってくれた。

担任の中河原先生が来てくれて、次の授業が始まるから、と友達を返した。

私は保健室のベッドに座って泣いていると、中河原先生がお水を持って来てくれた。

「あ、ありがとうございます」

泣きながら受け取ると、中河原先生が隣に座る。

「何かあったのか?大丈夫か?最近元気がないようだが」

一瞬言葉が詰まる。誰かに相談したい。でも、出来ない。

「大丈夫です。何ともないです」

私は俯いて答えた。

すると中河原先生は頭に手を回して自分の胸に引き寄せる。

「先生は、何でも知ってるぞ。吹奏楽部のエースで才能のおかげって言われているけど、毎日遅くまで練習して努力してエースでいることも。」

「体操服に、水着に精液をかけられても、無理して笑って頑張っているのも知っている。流石にリコーダーは拭いて使用出来なかったみたいだがな」

私の心臓の鼓動が激しくなる。

顔を上げることが出来ない私の前に、スマホを見せられた。

そこには、あの日の動画が映っていた。

私が固まっていると、両手を回されて抱きしめられる。

「あぁ、やっと手に入れた。君が高校入学した時からずっと好きだった。3年間、君を見てきたよ。だから、あの日、気持ちが高揚した。君のあんな姿が見れて、君を手に入れる方法を見つけて」

耳元に唇がよせられる。

「好きだよ、大好きだよ。明日からも、ちゃんと学校に来てね、笑顔見せてね。」

目の前で再度動画が再生される。

私は震えが止まらなくなった。

そんな私を先生はベッドに押し倒して、激しいキスをしてきた。


「僕がどれだけ君を愛しているのか、身体に刻ま付けてあげる」





愛されたあと、放心状態の私を置いて、先生は出ていった。

あの日の自分を本当に許せない。

でも……でも……

全身動けなくなるほど、激しく異常な愛を受けた。

多分口実でいつかこうなっていたのだろう、と思う。


私は涙も出ない程絶望して布団に包まって目を瞑った。

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