村の窮地を救ってくれた勇者
とある村に迫る危機。
そこに偶然立ち寄った勇者との小話。
「村長! もう村を捨てて逃げる準備を始めないと、犠牲者が出てしまいます!」
「すまん! すまんがあと少し! あと少しだけ踏ん張ってくれ!」
「ですが村長っ!!」
村が窮地に立たされていた。
村から少し離れた場所にある深めの洞窟に、何かが起きたらしい。
確認は取れてないが、その洞窟を中心として、今まで見なかった強い魔物が少しずつ出現するようになったと村の狩人が言ったのだ。
その範囲が確かに広がってきていて、村の生活圏に迫ってきている。
そんな時だった。
「村長! 誰か来た!!」
村の子供がそう叫びながら、駆け寄ってきた。
それに反応して、村の出入り口に首を巡らせた村長と逃げようと言い出した村人。
そこには、そこらでは見かけないようなトンデモなく威圧感を放つ凄い物で完全武装した、いかにもなツワモノ感がする旅人達が村に入ってくる所だった。
「おお、アレは……」
村長には見覚えがあった。
どれくらい前だったか、わが国に旅する勇者達が立ち寄ったから、もし顔を見た時に困った事があったら頼るようにと似顔絵付きで領主から届いた書簡の通りだったからだ。
「これは、神の御慈悲に違いない」
勇者達を出迎えるために、村長は動き出した。
その勇者の名前は、たしか――――
〜〜〜〜〜〜
「――――勇者ああああ様方、助かりました。 まさかあんな怪物が洞窟に巣食い、強い魔物を生み出していたとは……」
「…………」
村長は、勇者達にお礼を言っていた。
言ってはいたが、勇者達を直視していなかった。
「これはお願いした事に見合わないと思いますが、それでも我が村で出来る精一杯のお礼になります」
村長の後ろに控えさせていた村人から、村の農作物の山を勇者達へ渡す。
その時も村長や村人は勇者達の顔を直視していない。
なおこの村人は村一番の狩人で、勇者達を洞窟に案内して、依頼をこなせたかの監視役もしていた。
「…………」
受け取る側の勇者は頷くだけで、なにも喋らない。
だけならまだ喋るのが苦手な人物、で済むのだが。
「…………」
勇者達はお礼を受け取ると、担いでいた大きな頭陀袋に農作物を全て放り込み、そのまま無言で村を去っていった。
それを見送った村長と村人だが、勇者達の姿が見えなくなった所でポツンと言葉を漏らす。
「恐かった」
無言で頷き同意する村人。
「あの方たちは、なぜ皆無表情で、無口で、ハイかイイエの返事か頷くか首を振るかしかなさらないのだろうか」
激しく同意する村人。
本当に恐いのだ。
何も言わず、無表情で、淡々と物事をこなす人形にしか見えないのだ。
いわゆる“不気味の谷”と呼ばれる、人間にかなり近いからこその人間と違う違和感が、気色悪さを強調するそれなのだ。
勇者達は一見すると人間達なのだが、だからこそ人間らしい反応が極めて薄く、感情も感じられないのが不気味で余計に恐いのだ。
「村が助かったのは本当に感謝するが、アレは本当に人間だったのか?」
村長のセリフに合わせて、自身の体を抱きしめながら激しく身震いする村人。
…………と、以前から口数の少ない男だったがなんか身振り手振りに目覚めたらしい。
その様子を見て、呆れる村長だった。
昔のRPGの主人公は無口が多くてねぇ。
データ容量の問題で喋らせられないとか、ゲームの主人公がプレイヤーの分身って設定なのが多かったりで、下手にキャラを出すわけに行かなかったってのもありますし。
主人公の名前は文字数制限で4文字までだったり、それで主人公の名前をつけるのが面倒で、ああああ と一番最初にカーソルが乗ってる文字を連打して文字数いっぱいになったら自動的に おわり の所までワープするから、そのまま入力をおわりにされたり。
で、それを表現したら、なぜかこうなったと。
うん。 マジで恐いっす。




