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第1編 第1幕『科学帝国騒乱』①


序章『皇帝の苦難』


科学帝国ギルテナード 中央都市セレス


そこは皇帝が住む宮殿の一室

そこには1人の青年が公務に勤しんでいる


科学帝国は古い歴史を持つ大国の一つである

その歴史は数百年前まで遡る

『創世』を終えて…神の歴史が終わりを迎えたが、人間の歴史を導くものとして何名かの神が人間に知恵を与えた

その1柱が…『知識神』である

その加護を与えられたのは…当時の帝国の皇帝である

ラルカス=サントスであった

以降…代々その権能を継承し続けている


当代皇帝の名は『ヴォルグ=サントス』という

若くして父から皇帝の座を譲り受け…自身も前線に立つことで国民からの支持も強い

そんな青年は…悩みを抱えたままその座に着き続けている

『英雄』『救世主』

そんな風に呼ばれる度に…彼の心はすり減っていく


『知識神』の使徒…そう呼ばれる度に彼は罪悪感で心を埋める

何故なら


『知識神』の使徒など…もうこの世には存在していないのだから




本章①『波乱の幕開け』


???


1人の女が老人の前に跪いている

「…どういう意味じゃ?」

「『全能神』の脅威は貴方様の想像を遥かに超えています__」

老人は杖を強く地面に突き女を黙らせる

「『レヴィアタン』…儂はお主が思っている程老耄てはおらん…必要のない心配をする暇があるのなら…『貴様の傀儡(嫉妬の魔人)』に作戦通りに動くよう命じておくが良い」

その女は『大罪使徒』…『嫉妬』のレヴィアタン

そして、その老人は…

「『アストライオス』様…決して妄言ではありませんよ」

「知っておるわ…数千年前からのぉ」

レヴィアタンはため息をつく

「そうだといいですがね」

レヴィアタンはそう呟いて消える

アストライオスは…椅子を出現させて座る

「『全能』…これ程までに最適なタイミングで…『彼の方』の再臨に必要なものが集まるとはな…早々に『機神』を呼び出し…今一度…『神』による統治の時代を取り戻す」

彼は顔を顰める

「『ゼロ』…今度こそ貴様を…葬ってくれるわ」




_______



そこは…科学帝国へ行く為の街道

その道を、神秘的な純白の軍服を着ている女性が歩いている

その腰には大太刀を携えられている

「…ここか」

その人物は科学帝国の正門を見上げる




______



統一国家レギオン 『神樹の塔(ユグドラシルタワー)』零の部屋


零の仕事は多岐に渡る、統一国家のすべての都市の管理から治安管理の報告書の処理などだ


ドアがノックされ、外交官を務めている十六夜紗希が入ってくる

「零様…お取り込み中…申し訳ありません」

「構わないよ…何用かな?」

「はい、科学帝国ギルテナードの『元帥』神威美白様よりお手紙が届いています」

「神威か…わかった…置いておいてくれ」

「いえ、緊急とのことで」

僕は少し不審に思うが、手紙を手に取る

「わかった…ありがとう」

「失礼します」

紗希が出ていき、僕は手紙を開く


「なるほど、それは面白い」

僕がそう呟くと、近くに座って気配を絶っていたパンドラが聞いてくる

「どうされたのですか?」

「お前に頼みたい事がある」

「なんですか?」

「______」




_____



2日後


零はその馬車に乗り込む、それに続きシャイン…そして、統一国家レギオンの守護を任とする『執行人』の1人…『紅神優亜』が乗り込む

その馬車は『科学帝国』に向けて出発する


その様子を陰から見ている者がいた

その人物は人混みの中に消えていく



_____


本章②『平穏は二度壊れる』


統一国家レギオン 学園都市クリステラ


「__へぇ〜それで君の彼氏はしばらく此処を離れてるんだ」

天月美波は学校帰りに友人、紫乃と共にカフェでお茶をしていた

その友人は美波と同じクラスの涼宮澪だ

「寂しい?」

「ちょ…ちょっとぐらい…大丈夫…なはず」

「あはは…分かりやす〜」

「お姉ちゃん…見送りの時すっごい泣いてたよね」

「それは…」

「じゃあうち来る?私一人暮らしだし」

「え?」

「いいんじゃない?お兄ちゃんがいない間…館とは別の場所に行くように言われてるんだし」

「そうなの?」

「そうなんだよね…零が言うには前回みたいな危険があったらダメだからだって」

「過保護だよね〜お兄ちゃん『瞬間移動』が使えるはずなのにさ」

「まぁ…抜けられない用事があるんじゃない?」

「いや…お兄ちゃんなら何があっても抜けそうだけどね」

涼宮はコーヒーを飲み、美波を見る

「まぁ…私の部屋広いから2人来ても大丈夫だし…どうする?」

「じゃあ…お邪魔するね」

涼宮は満面の笑みで2人を見る



_____



馬車の中では、零は窓の外の景色を眺めている

「零…私はともかく優亜まで連れていく必要はあるの?」

「それはどういう意味かしら?太陽女」

「あはは…今謝れば許してあげるわよ?炎霊」

零は溜息を吐く

「君たちを連れていくのは…必要だからだ」

「…そう」

シャインは零を少し見つめて外の景色に目を移す



数時間の時を経て…馬車は『科学帝国』の領内に入り…神威美白の待つ軍事演習施設『五芒星(ペンタグラム)』へと向かう


零達が馬車を降りると、多くの兵士と神威が出迎える

「お久しぶりです…白神零君…」

「…あぁ、本題の件の話に移ろう…時間を浪費したくない」

「そうですね…では、中にどうぞ」

神威は3人を案内するように中に入っていく


_____



『五芒星』応接室


神威美白は、3人をこの部屋に案内し3人の前に座る

「今回の用件は手紙に記したとおり…我々が捕らえたある人物について貴方に相談したいからです」

事情を知らないシャインは疑問を口にする

「ある人物?」

「お連れの方に説明されていないのですね…あなたもご存知の人物です…『神の簒奪人(メイスシーフス)』の1人…柊翔也です」



『神の簒奪人』

それは…正体不明のテロリスト集団と呼称するのが正解と言えるだろう

中でも有名なのは『不死鳥』柊翔也と『支配者』エリゴスだろう

柊翔也は数年前に『アルギナ公国』を1日にして陥落させた狂人である

この事件を受け、『世界連盟』によって全域指名手配がかけられていた




「柊を捕らえたのなら『世界連盟』に引き渡せばいいのでは?」

シャインがそう言うと、美白は首を振る

「取り調べを担当したのは私なのですが…『聖魔全能神』を連れてこいと要求してきまして」

「僕を?」

「はい…あなただけに話さなければならない事があると…」

「そうか…」

「零様、相手は柊です…大丈夫なのでしょうか」

優亜が零に進言する

「…『柊翔也』の無力化は?」

「権能を封じる腕輪は着用させています…ですが、過信はできないと思います」

「君の取り調べ中の態度は?」

「私に攻撃してくる様子は無く、捕まっている状態を受け入れている様子でした」

「そうか…」

零は少し考え込む

「分かった…会おう」




______



科学帝国ギルテナード 『五芒星』付近


そこには…門を守る衛兵達が殺されており

少女が死にかけの衛兵の近くに立つ

「う〜ん…監獄の方向は?」

「あ…あ…」

「答えられないか〜」

近くにいる仮面を付けた紳士が少女に言う

「『祭り人』…侵入は慎重にとあれほど厳命されたではありませんか」

「え〜いいじゃん…君は真面目すぎ〜」

「はぁ…」

紳士は後ろから迫ってくる衛兵達を『魔糸』で拘束する

「邪魔なので…消えてください」

その瞬間…その衛兵達はバラバラになる

「行きましょう」

「は〜い」

2人は『五芒星』に向かって歩き出す





______



統一国家レギオン 白神零の邸宅


老人がその敷地内に侵入する

「人の気配…彼の方かのぉ」

老人が館に向かうと、2階の窓から少女がその様子を見ている

「…」




To be continued



_____



そこは…全てが白で埋め尽くされた部屋

その部屋の中心には…椅子に座った青年がいた

「やっと来たか…」

青年は持っていた本を閉じて目をあげる

その瞳は美しい紫紺色で…髪は純白だ

「…何ボーッとしているんだ…君に言ってるんだよ…この画面を見ている君だ」

青年は本を出現させたテーブルに置く

「僕が何者かと言う質問には答えないぞ…あぁ…でも呼び方に困るか…まぁ『語り手』とでも覚えてくれ…言っておくが僕は白神零じゃないし、この作品の作者でもないぞ」

青年は神器『天之瓊矛』を取り出し、それを純黒の羽ペンに変える

「今回はただの自己紹介のようなものだ…まぁ名前言ってないが」

すると、青年は空中に『羽筆』で『物語は終了する』と書く


そして、景色は暗転する





次回予告


僕が柊翔也の牢に近づくと、柊が僕の顔を見上げる

「また会ったな…『全能神』」

「…」

「…無駄話はなしというわけかい?」

「用件を話せ」

「…そうだね…僕を…守ってくれないか?」



同時刻


統一国家の零の邸宅に謎の人物が侵入していた

その魔の手は少女に忍び寄る



第1章 第1幕『科学帝国騒乱』②

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