はじめは肝心
桜が舞い、そよ風が吹くこの清々しい朝。
この陽明過高校では
入学式終わりにクラスで自己紹介が行われていた。
その中でも1年1組にただ一人、5徹ぐらいしたんですか?(笑)、と言わんばかりのひどい顔をした者がいた。
男の名は「常夜 久郎」
男はいま、とてつもない不安に駆られていた。
中学までは順調に過ごしていたものの、高校は親の仕事の都合上、県外へ進学
数少ない友達とも別れ、知らない地で1から友達を作らなければならない。
人見知りだが高校生活はいいものにしたい彼は、はじめが肝心だと考え、
自己紹介を1週間前から考えていた。
しかし、ギャグセンスが無いにもかかわらず彼は渾身のボケを考え続けた。
故に寝る間も惜しんだ結果
この男、3徹である。
目は血走り顔色は悪く、髪もぼさぼさ。
自己紹介にすべてを詰め込みすぎ、見た目にまでは気が回らなかったのだ。
クラスで自己紹介が進む、と同時に男の緊張は最高潮へと上っていく。
そしてそのときは来た。
男は声を大にして言った。
「常夜久郎です!
夢はこの学校の頂点に立つことでし!
よらしくおねぎゃいします!」
噛んだ
面白くないボケにプラスα
噛むという行為
静まりかえる教室
あまりに冷たすぎる目
「じゃ、じゃあ次、いこうか...!」
触れられることはなく、ただスルーされる始末
男は皆の凍りついた目の上で
盛大に、滑ったのである。
しかし、当の本人は言い終わった安心から
深い眠りについてしまった。
幸先はあまり良くない
これからの高校生活はうまくいくのか
不安である
お遊びで書いただけなので気にとめないでください。