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地味な高校生


  

俺は県立高校に通う一般人だ。名前は鈴木裕太。 

いたって平凡で地味な16歳。  

趣味はラノベ小説を読むこと。 

友達は…少ない。   

これは俺が未知の世界を冒険して人と出会う物語りだ。 

知識ではある程度知ってたけどね。


  


  

思春期を迎えた俺は、今日も持て余した性欲をラノベ小説の嫌らしいページを読み、部屋で右手を駆使して解消していた。 

「なんて淫らな王女だよ…ハァハァっぐっ!」

そのページでは敵国に捕まった王女が裸に剥かれ、兵士に乳を吸われるというページだった。  

が、至福の時もつかのま、我が家の暴君がドアをこじ開け入ってきた。

「お兄ちゃんなんか隣のおばあちゃんの遺品整理してたらお兄ちゃん宛の手紙あったみたいでさ、はい」  

裕太は心臓が飛び出す程驚き、驚いた弾みで自分で出したモノが顔に掛かり、あまつさえ口に入ってしまった。

 下卑た顔で妹が嘲笑し、手紙を寄越してきた。  

「お前…真依!急に入って来るのやめろって言ってるだろ!」 

「お兄ちゃんが忙しかったって事は分かったわwwホモ兄貴w草www」  

汚いものを見る目で真依はみつめ、去った。 

裕太は一人心を落ちつかせ、手と口、頭をシャワーで入念に洗ってから読む事にした。 


  

小さな頃はお兄ちゃんお兄ちゃんって寄って来たくせに、最近じゃ真衣は裕太に暴言を吐いたりわざと扉をノックせず入ってくる。  

反抗期の女の子はこれだから… 

真依は頭は良いが性格が捻くれていて、裕太に恥をかかせる事ばかりする。 

「さんざんな目にあったよーたくっ。ゴロゴロ…ぺっ。喉がイガイガする…」  


 

 



隣のおばあちゃんは、家族が居らず、歳は70と老齢に入り始めたばかりだった。 

裕太が時折話し相手になったり(というかラノベ小説の話を一方的に喋る)おばあちゃんの作った料理を一緒に食べたりしていた。 

死因は心筋梗塞だった。 

普通心筋梗塞と聞くと苦しいイメージがあるが、おばあちゃんの場合無痛性の心筋梗塞で、苦悶の表情を浮かべていなかった。 


葬儀は裕太の父が仕切り、あっというまにお通夜を済ませた。

おばあちゃんが無くった時はしんみりと寂しかったが、一週間、二週間と時間がたつにつれ、感傷は冷めてゆき、おばあちゃんあとの良い思い出だけが残った。  


 裕太はまだベトベトのベットにそのまま座り、手紙を読む。

「おばあちゃん…あの世で寂しくしてないかな?どれどれ?」 

拝啓裕太君。これを読まれてるとゆうことは私はこの世界では消滅したということね。 

裕太くん、おばあちゃんとうんと良くしてくれてありがとうね。じつはおばあちゃんは異世界から来たの。 

「おばあちゃんラノベの話ばっかり聞きすぎてボケちゃってたのかな?…」 

おばあちゃんは、いわゆる有能な冒険者のスカウトを目的にこちらの世界に来てたの。裕太くんと一緒に過ごして思ったけど、君の知識なら向こうでもやっていけるわ!   

 

 


すると突然魔法陣が地面に浮かび上がり、空気がピリピリと振動する。 

「えっ?」

俺は動悸を抑えられなかった。

異世界?スカウト?嫌な予感しかしない…やめろババア!この流れは…

「ババア!辞め」 

部屋からこつ然と男子高校生が姿を消した。


  

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