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番外編  雛罌粟のお嬢様

私はニコラ君に見送られたまま、自宅へと足を進めていた。


「また明日か〜〜」


私は火照っている顔を抑えつつ、明日が楽しみになっていた。


「そろそろ家だし、冷やさないと」








「おかえりなさいませ、ジュリーお嬢様」

「ただいま」


私は出迎えてくれたメイド達に挨拶し、自室へと向かうため廊下を歩いていた。


「今日は早く寝て準備しないと」


私が明日を想像している時、会いたく無い人間と出会ってしまった。


「あら帰ってきてたの、出来損ないの無能」

「ただいま戻りました、お母様」


この世界では珍しい黒髪で青色のドレスを纏っている人で娘の私から見ても整った顔をしているし、よくナンパもされる程に美しい人だ。


「で、ギリギリ学校に受かったような出来損ないが、こんな時間まで何処に行っていたのかしら?」

「少し、友達の家に行っておりました」


誰とは言わない、言えない。


「そう、そんなに遊ぶ暇があるほど優秀だったかしら?貴方」

「いえ」


代々マリネ家は何かが頭飛び抜けている家系だからか、私のような器用貧乏タイプにとっては肩身が狭い。


「わかったらさっさと勉強しなさい」

「わかりました」


先程までの浮かれていた筈の気持ちは、この家の実質的な主人に遭遇したことで気落ちしていた。










私は剣を持って訓練上で訓練用の人形と相対していた。


「毎回毎回人の人生に土足で踏み込みやがって!」


渾身の一撃が人形に入る。

しかし、持っていた木刀の方が負荷に耐えられなかった。


「ふぅ〜〜良いストレス発散になったわ」


こうして、母親からのストレスを人形を使って私は発散している。


「今、凄い音がしましたが、大丈夫ですか!」


今さっきの音を聞いて、何人かのメイドが私の方に走ってきていた。


「大丈夫よ、力を入れすぎただけだから」

「大丈夫じゃないですよ、前を向いてください」


私の目の前には、亀裂の入った地面があった。


「いつものことじゃない、どうしたの?」

「直すこっちの身にもなってくださいよ!」

「オールラウンダーとか言ってますけど、圧倒的な力を持った人じゃないですか!」

「この事を血縁関係者に言えば評価は変わるでしょうに」


この事を言えば頭の飛び抜けたこの家系の仲間入りだけど。


「恥ずかしいじゃない、女の子が力が取り柄って」

「それはそうですが」

「でしょ!だから私はこの力は私が力を隠した状態でも必要としてくれる人にしか見せないことにしたんだ」


その時何故かニコラの顔が浮かんだ。


「?」

「どうしました?」

「いや、大丈夫よ」









あんなにストレスが発散できたのはいつぶりかな。


「今日は良く眠れそう」


明日はどんなふうに話しかけようかな?

しかし、そんな事を考えていても、先程の疲れが出たのか考える暇も無く意識を手放してしまった。







「おはよう」

「おはようございます」


私は廊下を歩きながら、すれ違っていくメイド達と挨拶を交わしていた。


「おはようございます、お母様」

「ッチ、出来損ないが」


いつものごとく母親から挨拶が帰ってくることは無かった。


私はメイドに出された朝食を平らげ、学校に行く準備を終わらせた。


「今日は早いですね?どうなされたのですか?」

「ちょっと用事があってね」

「あぁ、昨日遊んだ男の子のことですか」

「えぇそうよ……って何で知ってるのよ貴方!」

「メイドはみんな知ってますよ、寝言で『ニコラ君』って言ってましたので」


だから今日はやけに生暖かい目があったんだわ。


「ニコラ君って言うんですね、いつかこの家に呼んで上げてください」


あの母親とだけは会わせたくは無いけれど。


「分かったは」

「では言ってらっしゃいませ、ジュリーお嬢様」

「行ってくるわ」


あ〜〜恥ずかしいは、まさか寝言でニコラ君の事を言っていただなんて。


「落ち着きなさいジュリー、まだメイド達に聞かれただけなら問題が無いわ」


いや、やっぱり少し問題はあるような気がするけど。


「大丈夫、大丈夫」


そうして、十字路を曲がり目にしたものは……ニコラ君だった。


「あれ、おはよう」

「お、おはよう」

「どうしたのニコラ君、今日はやけに早いね」

「いや〜〜学校初日に遅刻するわけには行かないからさ」


そうして談笑をしながら私達は学校へと向かっていった。


気持ちは半々って所ですかね。若いって良いですね


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