魔力測定をする
俺は、ニコラ・アンドレとして異世界に転生した。
俺が生まれたアンドレ家は、中流階級の家であり、代々、国家魔術師を輩出しており、簡単に言えば、魔術師の公務員を代々輩出している家系だ。
俺は、現代からの癖なのか分からないが、自分の実力を平均のちょっと上にするのが得意だ。
「ニコラ、今日はお前の七歳の誕生日と同時に、生まれて始めての魔力測定だな?」
「はい、お父様」
この、赤髪でダンディな顔をしているのが俺の父親、ジャン・アンドレ今は、国の最高戦力と呼ばれているらしい。
息子としては、親ばか以外の父の顔を知らない。
「貴方、ニコラに圧をかけないであげて」
「俺の嫁マジ天使!」
大丈夫か?こいつ?
まぁ、大丈夫だろなんせ”国の最高戦力”なんだから。
俺と父親の間に入ったのが俺の母親、マリー・アンドレ、昔は一流の冒険者だったらしいが、妊娠と同時に、やめたらしい。
もちろん、親ばかである。
「お父様一つお聞きしたいのですか?」
「どうした、可愛い息子よ」
大人が大人に向かって言うとキモいな。
「この魔力測定は、家の平均を教えてください」
「この家の平均?そんなもんは知らん!」
知らねぇのかよ!大丈夫か?こいつが一家の大黒柱で。
「じゃあ、国家魔術師で生きていくための平均を教えてください!」
「なんだ、お父さんの仕事をしたいのか、ちょっとまってろ!今国に話を付けてくる!」
駄目だ、話が通じない、俺が呆れていると
「貴方、ストップ」
母親からストップが出た
「なんだい?可愛い嫁よ」
それ口癖なの?父親みたいなイケメンがいうから良いけど、俺の前世が言ったら終わりだな。
「ニコラは別になりたいとは言っていないわ」
やっと話の通じる人が出てきたか。
「まだ興味がある段階なのよ!」
駄目だ、こいつもアホだ。
「なるほど、つまり『興味があるけど、自分に向いてるのか分からない』という状態なんだな、可愛い嫁よ」
「その通りよ、貴方」
何が「その通りよ、貴方」だ全然違うわ、ただ平均の一個上くらいが良いから、聞いただけなのに。
「お父様、実際平均はどのくらい何でしょうか?」
「う〜ん、俺が五百だから、二百くらいじゃないかな?」
こいつは信用ならん。
「お母様もそう思いますか?」
「えぇ、私もそう思いますわ」
こいつは、信用できるか怪しいな、後でじいちゃんにも聞いとこ。
時間が近づくと、俺の祖父母、親戚、従兄弟などがやってきた。
「お祖父様、少し聞きたいことが」
「なんじゃ、ニコラ?」
この人は俺の祖父、親父が今の職に着いてから隠居したが、実力は父親の一歩下と物凄く強い。
「さっき、お父様にもお聞きしたのですが、国家魔術師の魔力量の平均はどのようになっておられるのですか?」
「百三十じゃよ」
やっぱり、信じるべきは、父親じゃなくて祖父だな。
「ありがとうございます」
「して、何故そのような質問をしてきたのじゃ?」
「実は、今日魔力測定で、生まれて初めてするものですから、この家なのだから平均を超えていたいと思ったからです。」
「では、もう一つ何故ジャンに訪ねなかったのじゃ?」
「お父様は二百と申しました、合ってるか不安なので、お祖父様にお聞きしました」
俺がそう言うとじいちゃんは笑い出した。
「ふぉふぉふぉ、正解じゃったなニコラ。わしのもとに来て正解じゃったよ」
俺はあの二人を信じなくて正解だったらしい。
「しかし、二百か」
「その数はそんなに多いのですか?」
「アイツは自分基準に物事を考えておる」
よくわかります。
「だから、『自分が五百あるから、みんな半分ぐらいはあるでしょ、でもこれを聞いて、ニコラが興味を失ったらどうしよ、それは嫌だ。なら、数を減らすだけ』と考えたんじゃろうな」
本当に考えてそう。
「では、我が息子ニコラ七歳の誕生日と、人生初の魔力測定を祝して、乾杯!」
《乾杯‼》
そこからは、凄まじいほど豪華な料理が続々運ばれてきた。
普段から裕福だと思っていたが、まさかここまでとは。
まだ、この時代には珍しい香辛料と肉をふんだんに使った料理は、漫画肉を見ているみたいだった。
そうして、楽しい時間が過ぎていった。
「みんなも飲んだことだし、早速魔力測定に行こうか」
「わかりました」
家から少し離れた場所には小さな家が立っていた。
「ここが?」
「あぁ、お前の魔力を測る所だ」
見た目は普通の一軒家だが、入ると体育館並の広さであった。
「これは?」
「驚いただろう」
「はい、驚きました」
魔法なのは分かるが、何の魔法までかは分からない。
「これは、空間増幅魔法でこの国で使える奴は、俺と親父くらいかな?」
俺、使えるわ今名前聞いて思い出した、そう言えばこんな魔法もあったな。
「この球体は?」
「そいつは、魔水晶と言って、これで体内にある魔力を測るんだ」
さ〜て、数値をどう誤魔化そうかな?普通にやったら壊れる、でもこの家の人間として、あまりにも低い数値は嫌だ。
「お父様はどのくらいだったんですか?」
「俺はずっと五百だ」
駄目だ、本当に参考にならない」
「言ったじゃろう、そいつは参考にならんと」
「お祖父様!」
「親父!何してんだ?」
「いや〜お前は生まれてからずっとその数値じゃからな、参考にならんじゃろうと思ってわしが来たのじゃ」
やはり信じるべきは祖父だな。
「お祖父様の数値はどんな感じだったんですか?」
「わしの数値は百じゃったよ」
少な!?
「少ないと思ったじゃろう」
「い、いえ決して」
「親父、少なかったんだな」
「普通の人間はこんな感じで、年齢と一緒に成長していくのじゃが」
その普通の常識破りがこいつか。
「どうして、俺を見るんだ?」
駄目だろうこいつは、ため息が出そうになるが、なんとか我慢した。
「だからな、ニコラ、最初が少なくても安心しろ。必ず伸びるから」
「ありがとうございました、お祖父様」
「おじいちゃんと呼んでくれ」
「わかったよ、おじいちゃん」
「孫、可愛い」
お前もそっち側かよ。
「俺のこともお父さんと呼んでくれ」
「わかったよ、父さん」
「息子、可愛い」
駄目だこいつら。
俺は魔水晶に近づき、手を伸ばした。
数値が浮かび上がる。
「これは、百十じゃの」
「凄いな〜ニコラ、まさかの親父よりも多いぞ」
俺はじいちゃんよりも少し多い百十に調整した。
これくらいがちょうどいいだろう。
そうして、魔力測定が終わった俺は、そのままパーティを楽しみ、寝た。
ニコラは魔力の大きさぐらい操れます。そして、本来の魔力をフルで使うと、家からでも魔水晶が割れます。