第4話 転生特典
早速依頼掲示板に向かってあるいていく。ランクごとに分けられていて意外と見やすい。討伐依頼などは魔物のランクと数によってギルド側でランク分けされる。一方護衛依頼は別に専用掲示板があり、上から順にランク分けされている。こちらは依頼主がBランク以上の冒険者にお願いしたいと場合は、ギルドにオプション料を払って掲示してもらう形となる。また、ランク指定をしなくても、護衛依頼はDランク以上でないと受けられない仕組みになっている。そのためしばらくは縁がなさそうである。
仕方がないのでさっさとFランクの掲示板の前に立つ。ここには、ゴブリン退治から薬草採集、庭の草刈りなどが掲載されている。中には街中のゴミ拾いまであり何でも屋である。FランクのFはフリーのFではないかと勘ぐっているが違うだろうか。
初依頼の王道はゴブリン退治である。が、とても人気のため街近くの依頼は争奪戦であり、遠くに行くのは面倒な私は選ばない。また薬草採集は鑑定スキル持ちか、ゴブリンが狩れない人がする内容である。なので、地味であるがそこそこ儲かる草刈りを受けようと思う。
というのも私は風魔法の使い手であり、次に光、土の順に得意である。草刈りは風魔法で簡単にできるのだから選ばない手はない。適当に目に入った依頼書を取りアイテムボックスにしまう。
実は転生特典でアイテムボックス持ちであるのだ。一見良さそうなのだが、この世界ではマジックバックがあふれており、旨味がない残念な特典だと後々分かってきた。
例えば貴族は服の内ポケットに拡張機能を付け足したジャケットを着ていたり、冒険者の服装も動きやすさを考えて何も持たないで動けるように鎧や服に拡張機能が付いている。値段によって大きさと時間停止機能に差があるものの、お金さえ出せば手に入るもので、Cランク以上の冒険者ならほぼ全員持っているレベルである。そのため、それほど珍しいものでもないので、ギルドの中で堂々とアイテムボックスを使うことができるのだ。
限界がないのではないかと思うほど広かったり時間停止機能がついているけれども誤差の範囲だろう。
もうひとつ転生時の特典として持っているものがある。もしかしたらこちらの方が重要かもしれない。それは、「豪運」、その名の通り幸運を呼び寄せるのだろう。具体的な効果の範囲はわからないが、男爵家に生まれ家族の仲もいい素敵な家庭で育ってきたことを考えると効果を発揮しているのだろう。違うかもしれないが、このスキルのおかげだと思っている。
そんなこんなで幸いにも激痛に耐えながら魔力量を増やし、一応全属性使えることになった。最初は風魔法よりも火魔法使いに憧れたが、ちょっと使えるとそこまで魅力を感じなくなり、今では風魔法の虜になっていることを考えると、豪運様様である。
この後の冒険者生活に夢を膨らませて受付に依頼書を持っていくのだった。