第3話 冒険者登録
いつも通り朝の鍛錬を終えると、簡単に汗を流して、冒険者ギルドに向かった。
この町のギルドは大きな扉を開けて中に入る。
朝夕は混みあうが昼間のこの時間は空いている。朝依頼書を手に入れ、夕方から夜にかけて報告するからだ。昼にいるのはダンジョン帰りで休みだったり、単に寝坊したりする者など多くないのだ。
今長兄リオンと冒険者ギルドにいる。登録に保護者が必要だからだ。
冒険者になるのに年齢制限はなかったのだが、貴族であるのに冒険者を目指して早死にするものが多発したため、貴族たちから勝手に了承するなとクレームが来たのだ。冒険者はギルドに所属しているが基本自営業と同じである。その責任は本人にあるが、貴族の場合このようなこともある為、ギルド側も自衛のために年齢制限を設けたのだ。“貴族にだけ“
そして、こうして保護者としてリオンに来てもらったという訳だ。
「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか」
「弟ローグ・ストラウスが12歳になったので、冒険者登録をしたい。」
「貴族の方の登録ですね。保護者欄にお兄様のお名前もお書きください。」
「分かった」
「冒険者ギルドの説明はいかがいたしますか?」
「よろしくお願いします」
と元気よく答えた。嫌われたくないからね。
冒険者ギルドはまとめると、F級からS級まであり、最初はF級で幾つか依頼をこなし、信用を得ていくとE級に上がることができる。
また、ギルドカードは貴族用のだけ少し派手な加工がされている。要らぬトラブルを生まないための工夫である。また、冒険者同士でのトラブルは基本的にギルドが入ることをしないが、仲裁を依頼することは可能だそうだ。そのため、貴族だからと平民に偉そうにしていると仲裁に入ったギルドによって潰されることもあるから気を付けるように、とのことだろう。まぁ、私には基本関係無いが、上位の貴族に絡まれた時には活用しようと思う。
最後多額の寄付をして帰った。それがならわしだからだ。貴族としての対面もある。
そのお金で冒険者ギルドは貧困層の救済事業のような依頼も常時掲示することができるのである。一種の福祉サービスである。
さて、そんなこんなで冒険者になった。保護者の名前に兄リオンが、また、男爵であるから、なんでもかんでも自由とはいかないが、貴族の社会に比べれば天と地ほどの差である。
兄に礼を言って早速依頼書の確認をしにいこう。