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涼風の証言

 保健室へ向かうと、ちょうど箏羽の親友という涼風美咲が、心配そうに傍らで座っている。

 俺を見ると、「如月も来てくれたんだ」と椅子を引っ張り出して座るよう促された。


「昨日、箏羽に何か話したのか?」

 俺は単刀直入に切り込む。

 涼風はびっくりしたように俺を見ていた。

「うーん」

 涼風は考え込むように口を閉じる。

「私がどうこう言うことでもないし……それに如月は箏羽と付き合っているから別に問題ないと思うんだけどなぁ」

 その返答は核心が見えてこない。

「昨日から箏羽の様子がおかしかったんだ。俺には心当たりがない。どういうことなんだ」

 俺はガラにもなく感情論をぶつける。


 涼風は最初びっくりしていたが、直ぐにクスクス笑い始めていた。

「如月がそんな必死なんて珍しいじゃん。そんなに箏羽のことは特別なんだ?」


 その言い方にイラっとして、俺は彼女を睨みつける。

 彼女は「はいはい、ごちそうさまです」と言うと、宙を見た。


「如月は箏羽と付き合っているじゃん。それでこの問題は解決だと思うの。たぶん如月が聞きたいのはそこではない『第三者』的なことなのでしょ」

 俺はやはり話が見えてこないことにイライラしていたが、涼風の言うことは整理しながら聞いていた。


「如月が気にしているのって大翔のことでしょ?」


 その言葉で、俺の時は止まる。

 何故ここで朝霧のことが出てくる?


「すまん……整理が追い付かん」

 俺は改めて涼風に質問した。

「昨日箏羽と電話していた内容は朝霧のことなのか?」


 涼風は「そだよー」とやっと説明し始めた。

「今更二人に水を差す訳ではないけど、大翔の気持ちなんて見てバレバレじゃん。それをこの鈍感箏羽は全く気付かず『大翔がねー』って相談してくるから、私キミたちの三角関係について説明していたの」

 そう言いながら、慌てて「でも箏羽のベクトルは如月に向いているのは、分かっているよね」と釘を刺してくる。


 涼風とよく分からんが、三角関係の話をしていたのは確かなようだ。

 なんで今朝俺を置いて学校へ行ったんだ?

 なんで今朝学校で会ったら泣いていたんだ?

 なんで今更「俺に告白」をしてきたんだ?


 俺はその時、キャンプ時の朝霧の言動を思い出していた。

 朝霧がやはり関わっているのか……と。


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