キャンプ
学校生活は順調に流れていった。
学校へ戻り2週間ぐらいで、私は体育にも参加できる体力は復活していた。まだ登下校意外に外へ出ようという気は起らない。登下校にはいつも周が一緒だったから、心強かったのだ。
周が彼氏宣言をしてくれたとで、登下校の一緒について誰も不信がる事はなかったが、「なんであの犬猿の仲がくっついた?」という七不思議は出来上がっていた。周も周りに散々聞かれていたみたいだが、全てを「シークレット」とブラックボックスにしていたことから、私は女子軍にちょこちょこ痛い視線を受けていたことは自覚している。
周は人気があったのだ。今はフリーなのは知っていたが、その前だって付き合っていたのは1ヶ月も経っていない頃だ。彼女には不自由していないことは知っていた。
だから余計に「申し訳なかった」自分が居る。
周は私のことが好きで付き合っているのではない……。
――心は私にはない。
それでも、私はこのチャンスに乗っかっていた。
ズルい女でも、今は隣に居たかった。
❖ ❖ ❖ ❖
「やっぱり俺も行くよ」
土曜日、朝食を食べながら周がそう言った。あの日以来、食事は周が作ってくれて一緒に食べていた。気が付いたらこの関係になっていたので、それが普通になっていたのだ。
「大丈夫だよ、久しぶりにキャンプ行くだけだし。大翔も一緒だから」
やっと、キャンプへ行ける心境になれたのだ。その前から大翔からは「体調大丈夫だったらキャンプいこーぜ」と言われていたのだ。普段なら私の方が誘っていたぐらいなのだが……私が外出ができなくて今に至る。
「それでも」
その言葉を私は遮る。
「インドア派の周がアウトドアなんて無謀だよ。大丈夫だって」
周は少し考え込んでいた。
「やっぱり俺も行く。それに……」
向かい合って食卓に着いていた周がほほ笑む。
「箏羽が思うようなインドア派でもないけどな」
そう言うと食べた皿をシンクへ運ぶ。そして、なんか鼻歌交じりに自分の家へ戻って行った。
「その前に……周はキャンプギア持ってるの? いや、その前に私たち各自原付で行くんだけど……」
キャンプって身一つで行くものではないのよ? 寝袋とか最低限1人一つ必要なものあるのよ? 周はどうやって行くの? 原付は2人乗りできないよ? その前に荷物満載で乗れませんよ?
私は心配になってきた。