後悔
俺は居ても立っても居られなかった。
なんだ? 何があった?
俺は必死で考えていた。箏羽の……こんな言動の理由が分からなかった。
今は、とりあえず箏羽に会わないと!
それだけだった。箏羽の家から飛び出すと、慌てて自分の部屋に飛び込んでいった。
普段俺は整理整頓している方だと思う。
かけてあった制服を掴むと、荒っぽくハンガーから捥ぎ取るような感じで手にする。
俺は頭の中で色々なことを考えながら、無意識で制服に着替えていた。
学校までは普段箏羽とは徒歩で行く。別にそこまで遠い距離でもなかった。
箏羽と行く前は……自転車で登校していた。久しぶりに自転車を使うことを思い出し、玄関の下駄箱の上に置いてあるはずを鍵を探す。
だから、俺は整理整頓はしている方だ!
――だが、鍵が見当たらない。
俺は自分に怒りを覚えて、八当たったのは下駄箱に、だった。
マンションの下駄箱は備え付けで動くこともなく……しかし振動からか引っかかっていたモノが落ちる。微かに音がしたのを俺は見逃さなかった。
下駄箱の横のスペースに目を遣り、物を退けていく。
久しぶりに見た自転車の鍵。
なんかちょっと感動もしながら、自分自身に対して「よしっ」と呟く。
(俺こんな一喜一憂するキャラでもなかったんだけどな)
不思議に思いながら鍵を掴むと、慌ててエントランスホールへダッシュで降りた。
自転車に乗りながら俺の頭の中は不安だった。
もしかしたら俺は箏羽に辛い事を強いていたのかもしれない。
箏羽は他に好きな人がいるのかもしれないし、または朝霧のことを……。
俺は今更ながら初手を誤ったのかと後悔もしていた。
俺は自転車のペダルを漕ぎながら、急いでいるのに深呼吸していた。落ち着いた方がいい。
学校に着いたら……箏羽に聞いてみよう。
箏羽はどうしたいのか。
俺は冷静になりながら、覚悟を決めていた。




