ライバルに認定される
「お前、せめて箏羽の前ではなんとかできないか……」
ため息交じりに俺を責める。
「別に俺は普段と変わりないが」
その言葉を気にしないかのように俺は返答する。
朝霧は、一瞬考えていたようだったが、俺に対して、口を開く。
「オレに対して別にその態度は気にしない。しかし、それを箏羽にするのなら……お前には『彼氏』という地位は返上してもらいたいんだけどな」
それが……お前の出した結論でもあるんだな。
「言った通り、箏羽と俺の関係は『箏羽も』了承済みだ。今更お前の入る場所はない」
俺は現実を突きつける。
そう朝霧、お前の場所はもう「空いていない」んだよ。少なくとも今は俺は迷いはあるが、それは箏羽の気持ちに対してであって、朝霧に対してではない。
お前が外堀から埋めていった関係は……俺が全部撤去させてもらう。
「まぁ、先の事なんてわかんないしなぁ~」
朝霧がニヤリと微笑む。
今までは「良い親友」という立場で箏羽の一番近い地位に胡坐をかいていたのが、俺がぶん盗ったことで……焦っていたようだ。それが昨日今日の「宣戦布告」で吹っ切れた様子である。
俺からしたらめんどくさいことこの上ない。
しかし、避けて通れないことも初めから分かっていた。
一通り洗面も終わらせて……我に返る。
朝から何バトルしているんだ……俺ら。
苦笑するしかなかった。
撤収作業も手際よく終わらせることができた。
箏羽も朝霧もやはり慣れているな、と感心してしまった。俺は問題なく撤収終わらせている。
やはり二人にとって俺という存在は「インドアインテリ周」として定着しているらしい。この結果にびっくりしている様子だった。
「ホントに如月ってアウトドアもできるとか完璧が許せん」
朝霧は箏羽を連れて恨めしそうに俺を睨む。
「ホントよね、私も知らなかったもん」
二人して俺を何だと思っているやら……。
やれやれ、と思いながら荷物を要領よく車に積む。箏羽の場所を少しでも広くするためでもある。俺はパズルのように考えて行きよりは広いスペースを提供できたことに満足していた。
でもやはり箏羽が後ろになってしまう……箏羽は助手席だ! と思っていたのだが……あっさり朝霧が乗り込んでしまった。
帰り際に、キャンプ場の受付でチェックアウトして、二人を車に乗せると帰途に就いた。




