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箏羽の反応

 箏羽はそわそわしているようだったが、知らない顔をして……。


 俺は手際よく必要なキャンプ用品を積み込み終える。とりあえずソロで必要なものだけでいいか……と、そう思いながら手際よく積んでいった。

 それだけならリストなど必要ない。

 共用で何か必要かな? と思ったりしていたが、今回はあくまで箏羽に変な虫が付かないための防護策としての要員である。もちろん変な虫なんて一人しかいないが……。

 いや、アウトドアって流行っているから、他にも寄ってくるかもしれない。

 それでなくても、今は箏羽にとって異性はいろいろな意味でタブーである。


 俺はどうしても何かあった時に動ける場所に……箏羽の傍に居たかったのだ。


 その前に初めての箏羽とのキャンプも楽しみだった。


 さっさと準備を終えると、箏羽の家の玄関を開けた。

「箏羽、行くぞー」

 とりあえず、俺は行く気満々で箏羽を呼んだ。


 箏羽の玄関にはキャンプ用品が準備されている。

 内容をサラッと見るだけでも、そこそこキャンプは熟知しているような内容の荷物だった。

 そして、携帯を手に出できた箏羽は不安そうだった。


 あれ、何かあったのかな?


 俺は少し動揺してしまう。

 準備が不備があったのか……やはり急に出かけることが怖くなったのか……。


「あの……周、キャンプってギアないと……ギアって言うのは用品のことなんだけど……その前に私たちいつも原付で行くの知ってるよね……」

 それが箏羽の不安要素だった。


 あ、そうか……こいつらいつもキャンプは原付で出かけていたっけ。

 そりゃ荷物もコンパクトだわ。


 妙に感心してしまった。でも、俺のこと心配してくれていたということと捉えていいのだろうか。

 箏羽が俺のことを考えて入れるだけでも、俺自身はかなり嬉しい。ちょっと顔が嬉しさでほほ笑んでしまう。


「キャンプ用品? あ、それもう乗せた。早く乗れ」

 俺は問題などないという風に、箏羽を促した。

 箏羽は「え?」って顔をしている。


 あーそう言えば、まだ言ってなかったっけ。

 俺はそのことを思い出し、箏羽を玄関外へ促す。箏羽に「ちょっと下見てろ」と促すと、自分の持っていたクルマのキーで開錠してみせた。


 下にあるオレのSUV車が音と光で開錠を知らせている。


「え? それなに? どーいうこと?」

 箏羽は軽くパニックになっていた。


 可愛い。

 本当にそのびっくりした表情も可愛い。

 俺はクルマのことよりも、箏羽の反応が愛おしかった。


「実は免許取ったし、たまにドライブするんだよ」


 種明かしをする。

 箏羽とどこか行きたかったから、即効免許を取りに行ったことは秘密にしておこう。その後どれだけ運転の練習もしてきたのかも秘密にしておこう。


「ホントに! 嬉しい! やったぁーっ!」

 箏羽は嬉しそうに俺に抱き着いた。


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