八話
ミレイユが教材と思われる本を抱えた軍服を着た男性を引き連れて教室にやってくる。
ミレイユは友和の前で止まり話しかけてくる。
「友和、お前の教材だ」
「ありがとうございます」
「運ばせてすまなかったな。もう持ち場に戻っていいぞ」
「失礼します」
そういって教材を運んでくれた男性は去っていった。
「講義は始まっているが通常通りに行う。わからない箇所は後で聞きに来るように」
それだけ告げてミレイユは教壇と思われる少し高くなっている場所に歩いていく。
友和は運ばれてきた教材の中から戦術機のものと思われる物を探して準備する。
「それでは戦術機に関する講義を行う。諸君が最初に乗ることになるシュードラについてだ。そこのお前シュードラについて語ってみろ」
「量産を目的とした機体であり、他の機体のパーツを流用することで効率の良い整備が可能です」
「よろしい。最大の特徴は他の機体のパーツを使えるということだ。部隊によって積極的に他の機体のパーツを使うことで性能に差がかなりある。それ故に全ての機体の基礎を学ぶこともできるわけだ」
ゲーム時代の初期では機体を買い替えることが出来ずカスタマイズパーツとして他の機体のパーツを装備していたことを思い出す。
あの頃はどのパーツが最強だとか板で盛り上がったものだった。
しかし、初期機体であるが故に出力や耐久値はかなり低く後継機が現れるとあっという間に見なくなった機体でもある。
「さて、シュードラの基礎戦術を言ってみろ」
「数を揃えられる利点を生かし集団戦術を心がけることです」
「その通り。1機では非常に非力な機体であるためそれをカバーする為に集団行動をすることでそれを補う必要がある」
その後も講義は続き友和は真剣に講義内容に耳を傾けた。
「それでは戦術機の講義はここまでだ。休憩を挟んだ後、戦史を行う」
ミレイユはそれだけいって部屋を出ていった。
ズススが話しかけてくる。
「友和、内容は理解できたかい」
「あぁ。何とか理解できたが俺達はシュードラしか操縦できないのか」
「そうだね。他の機体は実践で戦果をあげたりして認められないと与えられない」
シュードラもそうであるが他の初期機体も耐久値で揶揄された言葉がある。
動く棺桶。
それぐらい後継機と比べれば耐久値が心もとないのである。
そんな機体しか操縦できないとなるとかなり工夫しなければ戦場で生き残れないだろう。
最近ではシヴァの自己再生能力を頼った戦い方しかしてこなかった。
シュードラに合わせた戦い方を必死に思い出すのだった。