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遅刻、ダメ、絶対

昨日、お金を稼げたのを良いことに宿について調べてみた。結果わかったのは、当分宿屋ヨーホホイッからは抜け出せそうにないということだ。初心者に優しいヨーホホイッが一泊二食付、小銀貨二枚大銅貨一枚なのに対し、他の宿は朝食だけか朝食すらついてなくて小銀貨五枚とか、高い所だと食事はついていても銀貨数枚とか…考えるだけで恐ろしい。ベッドが固くて部屋が狭くて、パンが固くてしょっぱいスープでも、お財布への優しさは全てを補って余りある。日本でだって一泊二千五百円で二食ついてたら激安すぎて料理にも宿にも我が儘いうことはないはずだし。そういえば三日目にもなるのにヨーホホイッ以外でご飯を食べていないが、この世界の食事情はどうなんだろう?

胡椒や砂糖が超高級品だったり、ファンタジーな調味料が跋扈してたりするのだろうか?考えるとワクワクすると同時にお腹が空いてきた。


(買い物時に少し食料品買えるといいな…二食…辛いよ…)

お金に余裕はないが、お腹にも余裕がない。若くなって尚更お腹が空きやすくなった気もする。慣れ親しんだ日本食とはいわないから、3食しっかり食べられるようになりたい。

鍛冶スキルがあんな感じだからもしかして調理も!って期待してキャロッツやら米やら並べて調理!って叫んでみたけど残念ながら米が炊き上がることも新種の料理が出来る、ということもなかった。ただの羞恥プレイすぎて今日も桃色神を殴りたい。どうせなら調理スキルも器具なしでもふわっとしたのが出来るなら少しは見直したのに。ままならないものである。

町に行く前に今日も元気に調味料召喚。MPの自然回復の時間もあるし、ここはこまめに使ってストックしよう。

「何が出るかな、何が出るかな~」

頭上から頭に向かって一直線で落ちてくる箱も、慣れたもの。サイドステップで避けて怪我はなし。三日目にして多少は成長している…と信じたい。

輝く箱を開ければ中からでてきたのは本味醂様!!一升瓶入で、喜びの余り踊り出しそうになった。醤油、みりん…どちらも異世界で手には入りにくそうなもので、その上…!歳をとると煮物やら煎餅やらが無性に食べたくなるのだ。転生して体が若い娘だろうと中身は58、直ぐに心まで若くはなれないのは仕方ない。

あとは出汁をとれるものとか砂糖が手に入れば異世界煮物ライフのスタートである。ダンジョンどころじゃない!煮物を制するものはオババも制するのである。


っと、興奮しすぎてうっかり脱線してしまった。出掛ける準備をしないと遅刻をしてしまう。村娘ワンピースに着替えて最初の服は適当に洗濯し、髪を整えたところでふとあることに気付き手が止まる。

醤油や、本味醂やマヨネーズはアイテムボックスに入れられるし、出せるが、おたまとか計量カップは入らなかった。


(入れ物が入る条件がある…?)


手持ちで持つアイテムは少しでも少なくしたい。計量カップを再度試してみる。ダメ。

計量カップにおたまを突っ込んでみる。そもそも米の計量カップにおたまが入らない。ダメ。

……お米を一合いれてみる。…入った!?


(……もしかして、食べ物や飲み物が入ってればいいの?え、空になったらしまえなくなるやつ?)


まだ仮定にすぎないけど、ちょっと怖い。旅先で突然、空の瓶持ち出す女って怖い。


(はっ…!!)


もっと試そうと思ったところで鐘の音で我に返り、全力で駆け出す。八の鐘がなる頃宿屋の前でという約束だが、既に鐘は鳴り始めてる。


「ひぃい…!ちーこーくぅうぅう!!」


付き合ってもらう身で遅刻など言語道断である。既に宿屋前で待機していた銀髪イケメンにゼェハァゼェハァ肩で息しながら深く頭を下げたのは言うまでもない。


多少でも遅刻は遅刻。

遅刻、ダメ、絶対。


買い物に行く前にゼハゼハお化け…

泣きたい。

出掛ける前の実験にはくれぐれもお気をつけて。





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