表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/31

3

よろしくお願いしますm(*_ _)m

と、考えていた私は今年16歳になった。まあ、前世の記憶があるから精神年齢はもうだいぶ大人になってしまったんだけども。

ていうか、前世で私、なんで死んだんだろ?

まあ流石にこっちに来てから16年も経ってるんだし、今更目が覚めたら元の世界に戻ってるってことはないだろうから分からないままでもいいけど。


恋ものの舞台は16歳になったヒロインがアーノルド学園高等部の寮に入るところから始まる。この世界が恋ものの世界ならいよいよ今年、ヒロインのアンナが登場し、物語が始まる。


ちなみに予想していた通り、私の名前はティーナ・クロスロードだった。

クロスロード家の爵位は公爵。なので私はこの世界では公爵令嬢のティーナ・クロスロードだ。公爵令嬢はこの国では代々、王子と結婚し王家に嫁ぐのが恒例となっている。


もちろん私も、ゲーム通りに12歳の誕生日の私の為に開かれた舞踏会で、第2王子アレク・シュゲイザーの婚約者となった。


私はアレクと婚約した時点でこの世界が恋ものの世界であることを確信した。

ということは、アルフォンス・シュゲイザー様もこの世界のどこかで生きている。


そう結論づけた私は、生まれた時から緻密に練ってきた計画をついに実行に移すことに決めた。


私の立てた計画はこうだ。


第一に、この国の二番目に権力を持つ家の長女でこの国の王子であるアレクの婚約者でもある私が自由に行動し、アルフォンス様を探しに行けないことは確実だ。


そのため、王都を出て魔物が存在する外でも一人で暮らしていける力を身につける。


その一歩として、まずは魔物や盗賊に遭遇しても自分の身を自分で守れるようにするために魔法を極めることにした。


これは達成でいいだろう。

私はまだ歩けない赤ちゃんの頃から密かに、自分のどこに眠っているのかもわからない魔力を根性で探し出し、魔力を身体の外へと放出し続けた。


最初は少し放出しただけで気絶した。が、そんなことで諦める私ではないので、その後も何度も気絶を繰り返しながら魔力を放出しつづけた。(私の世話をしてくれていたメイドさんはよく気絶していた私をよく寝る子ぐらいにしか思っていなかったらしく、怪しまれることはなかった)

魔力の放出を続ければ、魔力量は増えるというラノベ小説で学んだ知識に間違いはなかった。


放出しては気絶して、起きたらまた放出する、そんな生活を5歳まで続けた私は、気絶することもなくなり、ついに全く疲れなくなった。

その後はメイドの目を盗んでは公爵家当主の父の書斎に忍び込み、大量にしまい込んで放置されていた埃の被った魔法書を読み漁った。

そして10歳になる頃には書斎にあった本は読み尽くし、本に記載されていた魔法は全て使えるようになった。


私は次に武術を極めることにした。

これも自分の身を守るためだ。まあ、魔法は無事極めることが出来たので、武術の方はやらなくてもいいかもと少し思ったが、いつ魔法の効かない敵に出会うかもわからないと思い直し、当初の計画通り武術も極めることにした。


武術に関しては、歩けもしない赤ちゃんのうちは無理だったのと、魔法と違っていくら本を読んでも動きがわからないので学びようがなく、独学で学ぶことは不可能だと考えた私は、魔法を極めた次の年の11歳の誕生日に武術を学ぶために家庭教師をつけて欲しいと父に頼んだ。


父は私のお願いは大抵は聞いてくれる。


ゲームの時はティーナが父親になにかをねだる場面は一つも出てこなかったので私も知らなかったのだが、どうやらティーナの親、つまり今の私の父であるティス・クロスロード公爵は結構娘に甘かった。しかしそれがイコール娘の私を溺愛しているかといえば全く違う。


クロスロード家は生粋の政略結婚の家庭で、父は治めている領地に立てられた家に籠りっぱなしで、王都にある私の住む家にはたまにしか帰ってこない。帰ってきても私の成績をメイドに確認すると、また領地へ戻ってしまう。


そのため私はほとんどの日がメイドさんや執事さんなどの使用人の皆と暮らしていた。


そこで、母親は?と思うだろう。

私がティーナとなって以来、母の姿は一度も見た事がなかった。

気になってある時、滅多に会話のしない父に勇気を出して尋ねると、お前の母親は愛人の家に住んでいる、と感情の感じられない声色で答えられた。


こんな家で育った私だったが、今まで寂しさや親に対する苛立ちなどを感じたことは一切なかった。

それが私の精神年齢が高いからなのか、アルフォンスに会いたい、という想いが心の根底にあるからなのか、はっきりとした理由はわからないがとにかく私のような人ならともかく、ただの少女だったティーナにはつらい現実だったことは間違いないだろう。


こんな環境で育てば誰だってストレスは溜まる。ティーナは誰かを指摘することで密かに抱えきれなくなったストレスを発散させていたのかもしれない。


ティーナの父親、まあ今は私の親なんだけど、父親のティスもそんな家庭環境で育った実の娘であるティーナを不憫に思い、私の願いを聞き入れてくれたのかもしれない。



まあゲームのティーナはなにかを父にねだったりはしなかったんだけど。

しかし私は違う。このチャンスを有効に活用しないてはない。


ここでさっきの話に戻るが、こういう家なので私の成績さえ良ければ、大半の願いは叶う。

流石に武術を学びたいと言った時は色々と勘ぐられたりもしたが当時11歳の純粋無垢な少女の私が、いざってときは私が王子様を守りたいの!と満面の笑みで言ったら、納得してくれた。


そんなこんなで魔法と武術を極めた私は目標の一つであった自分の身を守る手段を手に入れた。



そうなると、一人で生きていくために次に必要なのはお金だ。


いくら力があってもお金がなければ、一人で生きてはいけない。


私は13歳から遂に、第2王子の婚約者そしてクロスロード公爵家の公爵令嬢として、貴族と選ばれた平民だけが通えるアーノルド学園の中等部の寮に入る。


寮は一人部屋で、夜だけはメイドさんも使用人専用の部屋で寝泊まりするので、そこからようやく誰にも見られない一人の自由な時間が手に入るようになった(夜だけだが)。


私はこの時間を使って、魔法で夜な夜な学園を抜け出した。

幸いといっていいのか、私の魔法属性は悪役令嬢らしく闇魔法だったので究極魔法の一つ、ダークホールを使えば、抜け出すのは簡単だった。

もちろん、学園の先生達に魔力の放出を気づかれないように、ダークホールを使うと同時に放出され魔法発動に消費されなかった微かに空気中に広がる魔力の微粒子を隠蔽魔法で隠す。


そうして夜な夜な抜け出しては、薄い布で出来たフード付きの服に着替え、フードを深く被り顔を隠して商業ギルドへ行く。そして錬金術で生成した物を売り、お金を稼ぐ。


生成する物は地球に存在していたマヨネーズや綿菓子など、この世界にはない食べ物だ。

地球のものを私の名で売ってお金を貰うのは少し罪悪感もあったが、これもアルフォンス様に会うためなので仕方がない。


そんな生活を毎日続けた為、成長途中の私の身体はいつも寝不足だった。


それでも眠気に耐えてこつこつお金を貯め続け、見事学年首席の成績で中等部を卒業した16歳になった私は、今では普通に暮らせば一生働かなくていいほどのお金を持っていた。

そんな大金をどうやってバレないようにしていたかというと、ダークホールを使って亜空間の中に仕舞っていた。この方法ならば盗まれる心配も、誰かにお金を見られる心配もないので安心できる。


そんな私、ティーナ・クロスロードは明日から学園の高等部に入学し、いよいよ恋ものの舞台へと突入する。

読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ