表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/251

244章

すぐに無重力状態むじゅうりょくじょうたいではなくなり、アンはロミーを()いたまま飛行船(ひこうせん)(ゆか)(たた)きつけられた。


下から()き上げるように()く風が、ホワイトファルコン号を押し上げている。


その風に()り、飛行船はゆったりと空中を下降(かこう)していく。


船内で(おどろ)いていたアン。


その全身に、どこか(なつ)かしい感覚(かんかく)(あじ)わっていた。


「これはまさか……?」


それは、風を(あやつ)反帝国組織(バイオ·ナンバー)の兵士――シックスだ。


奇跡(きせき)()こったのか、シックスを感じていたアンの乗ったホワイトファルコン号を、風が(はこ)び始める。


次に、突如(とつじょ)として、大地(だいち)()れる音が聞こえ始める。


そして、うごめく大地が山を作り、そこから水が(あふ)れ始めた。


「大地と水……もしかしてお前たちなのか……?」


アンはまた懐かしい感覚を(おぼ)えた。


この感覚は、帝国の女将軍だったキャス·デュ―バーグと、ガーベラドームの近くで住む鍛冶屋(かじや)の少年クロム·グラッドスト―ンのものだった。


山のような大地が飛行船を()き、その上を(なが)れる水がすくう。


このまま地面(じめん)激突(げきとつ)するかと思われたホワイトファルコン号は、坂道(さかみち)(くだ)るように、地上へと向かって行く。


大地の土台(どだい)を使い、まるでジェットコースターのように水の上を(すべ)っていった。


アンは自然(しぜん)と笑みを()かべていた。


自分はなんてバカなのだと。


ロンヘアの声が聞こえた時点(じてん)で何故気がつかなかったのだと。


「みんな……私の(そば)にいるんだ……」


そのことを思い出したアンは、顔を今まで以上にグシャグシャにし、泣きながら笑った。


大声で、そして大喜(おおよろこ)びして――。


彼女はもう、昔は無表情(むかんじょう)だったとは思えないほど、(ゆた)かな感情(かんじょう)をその表情に見せていた。


そして、ホワイトファルコン号は地上へと滑りながら着陸(ちゃくりく)


それと同時に飛行船の周りを、赤と(みどり)(ほのお)(あざ)やかに()い上がった。


その花火(はなび)のような炎の動きは、まるでアンたちの無事を祝福(しゅくふく)しているようだ。


「マナ、ラスグリーン……」


炎を操るダルオレンジ兄妹(きょうだい)


アンは、2人のこともしっかりと感じていた。


アンは、気を(うし)っているロミーを(ささ)えながら、飛行船の外へと出る。


すると、白い光がアンとロミーを包み込んだ。


「ああ……ルーザー……ルーザーなんだな……」


アンがそう言うと、白い光は穏やかに(かがや)き、そして、やがて消えていった。


「アン~!! 無事(ぶじ)だったのね!!!」


声がする方向(ほうこう)を見ると、1台のジープがこちらへと向かって来ていた。


銀髪(ぎんぱつ)反帝国組織(バイオ·ナンバー)の女兵士――エヌエーが大きく手を()って、ジープからその身を乗り出している。


運転席には、彼女と同じく反帝国組織(バイオ·ナンバー)の兵士2人――。


メディスンがハンドルを握っており、ブラッドは涙を流しながら咆哮(ほうこう)をあげていた。


「バイオナンバーのみんなも生きてたんだな……よかった……本当によかった……」


アンはそう(つぶや)くと、その場に倒れてしまった。


「アンッ!?」


それを見たエヌエーたちは、(いそ)いで彼女たちに()()っていく。


心配(しんぱい)そうに近寄(ちかよ)った3人がそこで見たのは――。


安心しきった顔をしたアンと、不機嫌(ふきげん)そうに(ねむ)っているロミーが(かさ)なって倒れている()だった。


アンは頭上(ずじょう)から聞こえる男女の笑い声を聞きながら――。


(うす)れていく意識の中で思う。


……みんな……ありがとう……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ