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脳筋だもん  作者: 妖狐♂
169/169

#165 いざ鬼退治へ? ティアシナリオ8/8

 ティア視点


『クスクス。今日も一人で、見に行ってたようだね。ティア』


『なんのことよ』


『クスクス。なんのって、今日のダーリンだよ。こないだは勇者アイミとのお茶ちゃアツアツデートの覗き見だったが。今日はどんな様子だった?』


『ああ、ダーリンって、雄一のこと? あいつなら今日は、顔面イガ栗男に血だるまにされてたわ』


『なんだぁ、野郎絡みは、つまらんからええわ。それにしてもティア。一人でダーリンに会えるようになって随分経つな』


『動揺しなくなったのは、まだ最近だけどね。それよりディアーナ。雄一を、ダーリンって呼ぶのは、やめてくれない?』


『クスクスクス。なんだ悟りに近づいたと思ったのに。この呼び名に恥じらいを感じるようでは、まだまだじゃわい』


『違うわよ。そうやって、あんたが、はしゃいでんのがムカつくのよ』


『クスクスクス。心が揺さぶれることに同じじゃて……。虚空白を生ず。もっと精進し、真理を目指すがよい。フォー、フォッフォッフォッ』


『その言い方。誰の真似よ』


『クスクスクス、フォッー、フォッフォッフォッ』


『なんかムカつく……。なるほど、私もまだまだね』


 神谷立ディスケイニ修道院での一件以降。私は毎日、幽体離脱をして雄一に会いに行った。

 雄一で動揺する精神を鍛えるためだ。

 そこで私は、見たこともない雄一をの強さを見て、興奮し、死にかけた。見たくもない、優しい雄一を見て嫉妬し、死にかけた。そうやって、何度も死にかけ、その度、ディアーナに救われ、叱られた。


『クスクス。でもあんた、見違えるほど強くなったよ。あたしゃあんたに教えることは、何もない』


『そう。ありがと』


 そう、それは、私も感じる。最近、本当に何があっても動じなくなった。イガグリ頭によるリンチシーンだって、微塵も動揺しなかった。あのララでさえ、逆上したのに、私は平気だった。

 ムーンの様子を見に行った時もそうだ。

 どう言う訳かムーンは、ウェディングドレス姿で大暴れしていた。そこでムーンが、ララと同じく、神谷・ムーン・カオスになったことを知る。

 そこでもやはり、動揺はなかった。その話をディアーナにすると、むしろ、そこは嫉妬するべきだと言われた。だが、それすら私は耐えたのだ。

 

 つまり私は、修行の果て、遂に何も感じない、虚空を手に入れたのだ。完璧だ。今の私なら、たとえ雄一が死んだとしても、何も気にならないだろう。


 あれ だったら私 なんで こんなこと してるんだろう……。


『いよおおしティア。時は満ちた。いざ敵陣に向かい出撃じゃあ~!!』


『……なんで?』


『にゃっ! にゃにぃっ?!』


『……。雄一を救ったところで、虚しいだけだわ』


『虚しい? ティアお前、自分が何を言ってるのか分かってんの?』


『……。無論分かっている。これ即ち……虚空白を生ず……。私、悟ったの。この世は何もかも虚しい虚無だってことに』


『ティア。あんた、まさか……』


『ぶつぶつ……、愛など、快楽が生み出す幻想に過ぎない。ぶつぶつ……』


『こっ、これは、思春期によくある鬱状態。愛の燃え尽き症候群ラブ・バーンアウトだ! おいっ! しっかりしろティア! あんた、世界を救う使命を持ってんだろっ!?』


『ぶつぶつ……、私が雄一を救い、雄一が世界を救ったとて、何になろう。ぶつぶつ……、生きとし生けるものは皆、等しく死ぬのだ。ぶつぶつ……、雄一が救った未来もまた、生と死を繰り返すだけの、無意味な世界が続いていくのが自明の理』


『何この子。急に語り出しちゃったよ。ウザいよ~、たっく~ん』


『ぶつぶつ……、そしてその生命の営みも、永久に続くものではない。ぶつぶつ……、始まりがあれば、いずれ必ず終わりは来る。ぶつぶつ……、ただそれが、早いか、遅いかだけの違い……ぶつぶつ……』


『思想まで、若いころのあたいにソックリだ。うへぇ~、同族嫌悪って、まさにこれのことね。あわわ、最悪。顔まで当時のあたいになっちまってるよ』


『ぶつぶつ……私は、解脱し、もう、世俗のことでは、何も感じやしない……。私は、くうを手に入れたのだ。ぶつぶつ……』


『んなもんくうと呼べるか! って、自分の妄想に浸っちまって、全然聞いてねえ。うううっ、だめだコリャ……。ええいっ、来いっ、ティア!』


『ぶつぶつ……、私を無理矢理幽体離脱させて、どこへ連れて行く気だ。ディアーナ』


『決まってんだろ! あんたのダーリンの所だよ!』


『ぶつぶつ……。ふん、ソコもまた空だ。雄一も私も、存在していない。どうなったっていい……』


 ひゅるるる……ボカン!


『あーっ!! ばかっ! なんてことしやがるっ!澪標を破壊しやがって。これでもう、肉体へ戻れなくなったぞっ!?』


『……ふふふ……。見ろ、ディアーナ。こんな絶望的状況でも、平常心を保っていられるぞ。ふふふふふ、……ぶつぶつ』


『真剣にダメだコイツ……。たっくんごめん。あたい、娘の育て方を、間違えたみたい……』

 再投稿を始めてから、投稿分の手直しにばかり追われ、次章の投稿に間に合いませんでした。必ず完成させますが、再び長期充電期間に入ります

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