表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋だもん  作者: 妖狐♂
151/169

#147 魂魄魔法 ティアシナリオ6/8

 ディアーナの丘 ティア視点 


 魔女ディアーナ曰く。通常魔法は、陰陽エネルギーを具現化するもの。対し魂魄魔法は、魂のエネルギーを操るもの。

 魂のエネルギーは、別次元の力。なので、異次元魔法とも呼ぶ。

 次元の数は、最大十一に及ぶと言うが、干渉できる次元と、干渉できない次元があると言う。

 ディアーナ自身は、五次元まで干渉できるが、六次元以降は無理なんだって。って、どこよソコ。

 のっけから理解の範疇を超える。


 魔女ディアーナ曰く。森羅万象、ありとあらゆる物質には、大なり小なり魂の器なるモノが内在していると言う。

 そして、その器に魂が宿り、生命活動が始まるのだと。

 魂は、結ばれた第五、第十異次元空間から、出ては現れ、現れては消える神秘のエネルギーで、精霊の類だそうだ。

 そしてこれは、意志に近いエネルギーで、物質ではないと言う。

 五次元と十次元の関係性は、試験に出る程、重要らしいがゴメン。ぶっちゃけ、聞き流した。


 魂魄魔法の基本は、器への干渉。即ち魂の器をすげ変えたり、変形させることにあった。

 マスターすれば、誰かと誰かを入れ替えたり、違う生物やモノに変える。

 ここからは、ちゃんと聞いた。だって、基本でできることがヤバイんだもの。


 そして上級能力が、精霊との会話。即ち魂魄を直接操ることだ。

 誰かから器と魂を抜き取り、傀儡を造ったり、魂を入れ替えて、別人へ変えることもできる。

 当然、魂を異次元へと還し、殺したりもできる。

 

 しかも、魂魄魔法は適性の無い者は、防御不能だそうだ。こんな魔法が流行ったら、世界はパニックね。


『魂魄魔法の適性率って、どれくらいなの?』


『あたい以外には、たっくん……んっんっ! この千年では、一人しかいなかった』


 目の前が暗くなる。私には、とても無理だ。そう思っていたら、ディアーナの丘に張られた結界を破った時点で、私は適性者なんだそうだ。

 ほんと大丈夫? 都合良過ぎない? 買ってもいない宝くじの高額当選とか、補助金やるやる詐欺みたいな不安感が消えないんだけど。


『まぁ、習うより慣れよ、だ。まずは、器を捉える練習から、始めよう』


『お、お手柔らかにお願いします』


『ぽぽぽぽ~、たんぽぽぽ~。ぽぽぽぽ~、はとぽっぽ~……。ほれ続けて?』


『あ。やっぱりするのね。そのふざけた詠唱』


 ◇◇◇◇◆◆◆◆


 ぽぽぽ~を続けること丸三日、やっと花が蝶へと変わった。


『金碧のアゲハか……。う~む、こうも簡単にこなすとは。さすがはあたいのぉ~……んっん、我が弟子』


『簡単じゃないわよ。不眠不休の修行に、ついて行くだけで精一杯よ。それよりディアーナ。花から蝶へと変わった、この命は、どうなるの?』


『は? 何も変わらんが?』


『え?』


『これまで花として生きてきたように、これからは蝶として生きる。ただ、それだけだ』


『まるで別の生物に、変えてしまったのに?』


『生体が置換されただけだ。魂には、何も影響していない』


 それだけ聞くと、少し安心した。

 でも本当に、それだけのことだろうか。

 この行為は、ゲノム・イン・ゴッドを乱用した、かつての人類に同じだ。

 なんと罪深き力だろう……。


 せめて……。うっ。

 せめて? せめてなに? こんな考えは、私の思い上がった正義で、神からすればむしろ卑賤な大罪。そう……そんなことは、分かってる。それでも、こうせずには、いられない……。


『ほう。すぐに復習とは、感心だねぇ……って、ティア? あんた今、詠唱無しで魂の置換をしてなかった!?』


 私は、隣に咲いていた花も蝶に変え、放ってやった。

 すると二匹は、小さな楕円を繰り返し描き、金と紺を混ぜ合わせながら、どこかへと、飛んで消えた。


 雄一……。私は、この身に鉗梏けんこくを重ねつつ、あなたに向かって、進むわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ