プロローグ
どうも、初めての方は初めまして、いつも見てるという方は、毎度ご愛顧ありがとうございます、秋冬です。
今回はV・Lの異世界バージョンです。
ちなみにV・Lの細かい設定に関しては、同シリーズの短編を見ていただくと分かると思います。
簡単に言うと、処女の証が鎖骨辺りにある世界、というだけの話です。
その代わり、所謂膜はありません。(ある人は先祖がえり)
他にも色々と、この世界とは関係ない物語も描いております。
もし、お時間とご興味がございましたら、見ていただければ幸いです。
赤い――実に、紅く赤い宝石のように魅惑の輝きを放つそれは、赤子の眼差しだった。
「あなた……この子の眼に付いて、何か分かったのかしら……?」
自身の腕に可愛いわが子を抱きながら、愛しい夫に向かい尋ねる。
「ああ、やはりライン活性化……魔眼のようだ……」
「そう……ごめんなさいね……」
私は涙を流し、腕の中でぐずり出す我が子に構わず、ただ謝る。
我が家に伝わる逸話。
『ライン活性化』の魔眼スキルは退廃の王たる力……。
その身をも滅ぼしかねない悪魔の能力である。
もし、発現すればその存在を秘匿し、無効化せよ。
悪用すれば世界は傾くであろう。
そんな予言めいたその言い伝えは、我が家の掟でもあった。
農民である私の家系に、掟などというものがあることを、子どもの頃は滑稽な話だと思っていた。
昔はここら一帯を支配した王族であったとも、親から伝え聞いたが、先祖がただ箔をつける為にほらを吹いていたのだと――
そう思っていたのだ。
しかし、自身の愛し子が、そのような訳の分からないスキルを持って生まれれば、他人事ではいられない。
「君のせいではないよ。私も君も事情を知って結婚し、この子を授かったんだ。誰も悪くない、君も私も……その子もね」
夫の言葉に頷きながらも涙は止まらない。
掟など、破ってしまいたい気持ちもある。
でも、それでこの子が不幸になったらどうする?
そんなリスクは負えない。
親が子より先亡くなるのは自然の摂理。
いつまでもそばにいてあげられるわけではないのだ。
「……幸い、このスキルは一般的には知られていない。魔眼を防ぐ道具があれば隠し通すこともできるだろう。近くの町にエルフの魔道具の店があったはずだから、そこをあたってみよう」
「この子は幸せになれるかしら……?」
「いや、この子は幸せにするんだ……必ずね」
そう言って、私を腕に抱く夫へと身を委ねつつ、ただ我が子の安息を願うばかりであった。
今日は二話投稿するつもりです。
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