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吐瀉物  作者: 未名
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絵を描く理由

僕はなぜ絵を描いているんだろう。


一年半ほど前絵を描くためにペンタブレットを買った。

絵を描きたいと最初に思った理由は自分の中にある創造した物を表現したかったからだ。

この文章を書いている理由に似ている。


最初のころはろくなものが描けなかった。小学生に鉛筆を握らせて絵を描くように言ったら出来上がるようなそんな絵だった。けれど自分の中にあるものを形にできたことはうれしくてそれを原動力にして次の絵を描いていった。

前に描いた絵と比べて何が悪かったか、それを反省して次の絵を描いていけた。

単純な僕はそれだけで天狗のように鼻を伸ばしていった。でもそれは長くは続かなかった。



絵を描くことがつらくなったのはなぜだろう。



人と比べるようになったからだろうか。

比較するようになったのはイラスト投稿サイトに絵を投稿して、その反応を気にするようになったせいかもしれない。

絵を投稿してからその絵を見てくれた人、気に入ってくれた人の数を気にしてしまっている。

でもそんな評価をされるような絵を描いているわけじゃない。


せいぜい百人い見られればいいようなろくに評価されないような絵を投稿している。

気に入ってくれる人は十人を超えることもない、道に落ちている小石ほども見られないような絵だ。

同じサイトには一万回以上見られている絵やお気に入りが千を超えるような絵がごろごろと転がっている。

そんなイラストと比べてそれを描いた人と比べて、まったくもってダメに自分を自覚させられることが嫌だからか。


自分の中に生まれたものを否定されている気分になるのだ。もちろんそれは自意識過剰が生み出した幻想で世界は僕のことなんで認識しているのかすら怪しいけど、自身を侮蔑する思考を止める手だてが存在しない。


それのせいかはわからないが表現をすることが楽しいと思えることが少なくなったおもう。



そもそも表現したいと思ったのはなぜだろう。



アニメや漫画・ゲーム・小説でいろんな物語を見てきた。

自分では体験できないような出会いや物語をしている人たちに憧れて、自分もそんな輝かしい人になりたいと思ったからだ。


夢広がる冒険をしたかった。

出会う人にやさしく接することができる人柄でありたかった。

大きなことを成し遂げることができる能力を持っていたかった。

本音を言い合える友人がほしかった。

互いの心が通じる理想の恋人がいてくれたらよかった。


現実居るのはどこにでもいる平凡な人間にすら劣る自分でしかない。


冒険なんかやろうと思わない臆病な人間だ。

困っている人がいても見て見ぬふりをして通り過ぎる人間だ。

大きなことはおろか誰にでもできるようなことでもろくにできない人間だ。

友人と呼べる人は自分を攻撃してくるかもしれない存在だと思ってしまう人間だ。

理想の恋人は自分の中の都合のいい部分を押し付けた末にできた欲望の塊だ。でもそんな存在であってほしいという考えを現実に押し付けようとする人間だ。


どうしようもない自分を忘れるためにやった思考の塊が表現したい物でしかない。



くだらない自分を忘れるために妄想をして、それを自分のオリジナリティー溢れる作品だと錯覚して、

ほんの少しだけできた絵を描くことができた自分にすがって、絵を描いている。



結局絵を描くのは現実の僕を救済してくれる物語を欲しているからだ。


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