フィギュアスケート実況中継ーーギリー選手(異世界代表)
コンセプト:なし(落書きのため)
文字数:2400程度
執筆時間:2時間
「4年に1度のスポーツの祭典オリムピック冬季!
フィギュアスケート男子フリーを実況生中継致します。
実況はわたくし水戸、解説は池井戸元プロです。
よろしくお願いします、池井戸先生」
「よろしくお願いします」
「さて今回は記念すべき第100回目の大会になりますが……
池井戸先生が注目している選手はどなたでしょう?」
「まず、前年王者のミルコ選手(ロシア代表)。
南国からの伏兵マッド選手(バヌアツ代表)。
そして、SP演技で高得点のギリー選手(異世界代表)も見逃せません」
「ギリー選手、ルール無用のパフォーマンスが逆に高評価でしたね」
「異世界をアピールするためにルールも分からぬまま参加したんでしょう。
ただそれだと困るので昨日委員会がルールを1から説明したと」
「どうやらそのようですね。
その件に関して先ほどインタビューをしてみたところ……
『完璧! ルール全部覚えた! ボクちゃん天才きゃはきゃは♪』
との答えでした」
「大丈夫そうですね」
「わたしは恐ろしく不安なんですが……」
っと、間も無くギリー選手の滑走順です」
「異世界代表ですからね。異次元の演技を期待しています」
「楽曲は……ジブ◯映画『となりのト◯ロ』より『さ◯ぽ』。
リンクの上を優雅に歩き回れるのか、注目の演技です」
音楽スタート。
「最初はコンビネーションジャンプです」
「大きな大会ですからね。初めが肝心ですよ」
2-2-1(バック転)
「ダブルルッツ、ダブルトーループ、シングルバック転。
見事です。幸先のいいスタートになりました」
「……あの池井戸先生」
「はい?」
「最後のジャンプ、ちょっとおかしくないですか?」
「いいところに気付きましたね。
確かに、着氷がわずかに乱れていました」
「そういうことではなく」
「でも軸はしっかりしていましたから、点は伸びると思います」
「体操の技ですよねバック転は」
「ええ。でもいいじゃないですか、異世界人らしい発想です」
「そういうものですか……。
と、単発ジャンプはシンプルなダブルアクセル。
ここから見せ場のステップシークエンスです。……が」
ステップシークエンス(酔っ払いのような足取り)
「池井戸先生これは」
「目が回ってますね。千鳥足になってます」
「フィギュアの選手は目が回らないハズでは……」
「慣れない環境と大勢の観客ですからね。
目が回ってもムリはありません」
「痛い減点になるでしょう。
おっとギリー選手、ようやくまっすぐ滑れるようになりました。
さてこのままでは表彰台は厳しいかという内容ですが……」
「まだわかりません。後半のジャンプは得点が1.1倍ですから」
「なるほど。ギリー選手、前半はジャンプを多用しませんでした。
後半にジャンプを集中させて得点を稼ぐ作戦かもしれません」
「では次のジャンプですが……こ、これは⁉︎」
1-1-1-1-1-1-1-1-1-後方1伸身宙返り4回ひねり
「いや、まさかオリムピックでこんな大技を観れるとは」
「……先生、もしかしてこれは」
「はい。バック転9連続からのシライです」
「完全に体操じゃないですか」
「素晴らしい発想ですね。軸もまったくブレていません」
「さっきから発想と軸しか褒めてませんよね?」
「バック転9回そして……シライも成功! 完璧です!
底なしのフィギュアスケートセンスを感じますね」
「今のところ体操センスの方が遥かに上だと思うんですが……」
「と、ここでもジャンプが入ります
次は一体どんな度肝を抜く大技が……」
2回転半
「…………」
「…………」
「先生、普通すぎて拍手すら起きませんよ」
「ここでのダブルアクセルはミスチョイスですね。
残念ながら構成点に響いてしまうでしょう」
「フィギュアの技なのに」
「さて演技も大詰めですね。
スピンを終えてフィニッシュに選んだ技は……」
カッシーナ(G難度)
「鉄棒」
「ギリー選手、持参した鉄棒でフィニッシュ!」
「いいんですかこれ」
「もう細かいこと気にするのやめましょう!
素晴らしい! ただただ素晴らしいの1言に尽きる!
他に言葉が見つからない最高の演技です!
この一戦でわたしは彼の大ファンになってしまいました!
きゃー、こっち手を振ってー!」
「先生のテンションと裏腹に、審査員は頭を抱えて悩んでいます」
「フィギュア界の超新星誕生にショックを受けているんでしょう」
「体操界の超新星になった方が彼にとって幸せなのでは……」
「特にバック転。あれは流行りますよー」
「……と、演技直後のギリー選手がkiss and cryに座りました」
「やりきった笑顔ですね。自分の演技に満足した表情です」
「そしてもう間も無く得点が……」
TES(技術点) 75.34
PCS(構成点) 124.67
「おお、これはっ⁉︎」
「200点超えがーー」
Ded(減点) -150.00
TSS(総得点) 50.01
「ーーでしょうね」
「ギリー選手、猛抗議です」
「観客がドン引きするような汚い言葉で審査員を侮辱しています。
先生、この猛抗議と審査員たちの判断、どう見られますか?」
「この抗議は当然です。わたしもちょっと文句言ってきます」
「どうして先生は終始そっち側なんですか……
ええと、以上が異世界代表のギリー選手の演技でした。
ここから先は諸事情により解説不在での中継となりまーー」
「ふざけんな今すぐ審査しなおせコラー!」
「先生、これ公共の電波ですんで」
★★★★★★★★★★
一方その頃、オリムピック別会場。
体操、ゆか。
「先生、フラッシモ選手(異世界代表)の演技なのですが……」
「ええ。踏み切りで4回転サルコウを入れてましたね、見事な」
選手の取り違えがあったことは、この後すぐ明るみになったという。
終わり




