私ってこんな顔してたっけ。後で写真を見て思ったこと。
私ってこんな顔してたっけ。後で写真を見て思ったこと。
「そこのお嬢さん、よければ写真を一枚撮らせていただけませんか?」
踏切で待ちぼうけていたら突然声をかけられた。
周りを見回してもほかに誰もいなくて、自分を指さして小首をかしげると、声をかけてきた男の人がうんうんとうなずく。
「僕は一応プロの写真家なんです。こうして街中でお嬢さんのような方を探して写真を撮らせてもらってるんですよ。いつか数がまとまったら写真集を出すつもりで」
そう言いながら名刺を示してくる。
正直それが本物かどうかわからないけど、嘘を言ってるようにも見えない。
「ご迷惑はかけないと約束しますから、どうかお願いします!」
男の人が勢いよく頭を下げる。
まぁ写真ぐらいなら悪用されることもないだろうし、写真集にも興味がないといえば嘘になる。
こくりとうなずいて承諾の意思を示すと、早速撮影が始まった。
「そうですね、立ち位置はそのままで少し目を伏せて……ああ、こちらで調整するんで足元は気にしないで。じゃあ撮るから、そのまま動かないで。3、2、1――」
撮影が無事に終わり、写真集ができたら必ず見せに来るからと約束して男の人が立ち去るのを見送った。
それからしばらくたち、律儀にもあの男の人が出来上がった写真集を手に訪ねてきた。
「いやぁ、その節はありがとう。おかげでいい作品になったよ」
見せてくれた写真集のタイトルは『心霊少女写真集』。
私ってこんな顔してたっけ。
もうほとんど忘れかけていた自分の顔は、久しぶりに見るとまるで知らない人みたいだった。




