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蹂躙

闇の魔導士アークス様の残滓軍団の一員




主の命令でこの不毛の大地に派遣された時、内心で嘲笑っていた。

緑の異変? そんなもの、霧の呪文で一掃すれば終わりさ。

百年前の災厄でこの土地を砂漠にした主の力だ。

月影狼や影蜘蛛の痕跡? 笑わせるな。あいつらは絶滅したはずだ。

俺たちは数百の影兵、霧を纏い、呪文を携え、森の入り口に迫った。





「異変の源を潰せ! 主の命令だ!」

先頭の俺は火球を構え、傲慢に笑った。

あの小さな森など、焼き払って終わりだ。

火球を放った瞬間、予想外のことが起きた。




空中に張り巡らされた何かに、火球が絡め取られた。

不可視の銀糸――月影の実で進化した糸だなんて、知るよしもなかった。

魔力が吸い尽くされ、火球はただの煤に変わり、地面に落ちる。

「なんだこれ……糸か? そんなもので俺の魔法が……」

驚きが絶望の始まりだった。




次の一手を打とうとした瞬間、足元から影潜みの蜘蛛――シャドウ・ストライダーたちが浮上した。

影に引きずり込まれる悲鳴が、次々と上がる。

隣の仲間が突然沈み込み、闇に飲み込まれる。

陣形が内側から崩壊し、俺の足も影に絡まる。

「くそっ、離せ! こんな虫けらが……」

さらに、アラクネの指が一本立った。

糸が俺たちの魔力回路に干渉し、魔法を制御できなくなる。





味方に誤射が始まり、隣の兵が俺の火球で焼かれる。

「やめろ! 俺じゃねえ、敵だ!」

傲慢だった俺の声が、震えに変わった。

「なんだこの蜘蛛たちは!以前の比じゃないくらい強いぞ」

これは戦いじゃない。檻だ。逃げ場なき絶望の檻。



混乱の極みに達した時、背後から嵐が来た。

堂々とした巨大な狼が、群れの先頭に立って突進してきた。

体長は優に5メートルを超え、月狼王のオーラが銀色の嵐を巻き起こす。

堂々とした足取りで敵陣に踏み込み、爪の一振りで十数人の兵を吹き飛ばす。

牙を剥き、霧の障壁を噛み砕き、魔導士の首を一瞬で刈り取る。

「怪物だ……あれはただの狼じゃねえ……」




俺は後ずさりながら見た。ルナの金色の瞳が、俺たちを獲物のように見据え、堂々と軍団を屠っていく。

一族の狼たちがそれに続き、銀の嵐が敵を蹂躙する。

逃げ惑う兵士を追い、霧を切り裂き、容赦なく倒す。



「まさか、伝説の存在、月狼王か……」

俺は途切れかける意識の中でそう思った。

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