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要塞

――不毛の大地から遠く離れた、闇の要塞の奥深く。

薄暗い部屋に、かつての威光を失った影が座していた。

闇の魔導士、アークス。

百年前の災厄を起こした張本人だが、今は力を失い、痩せ細った体で玉座に寄りかかっている。




肌は灰色に枯れ、目は濁り、息遣れ遣れだ。

周囲を黒い霧が薄く覆い、辛うじて命を繋いでいる。

残党の部下たちが、怯えながら跪く。

アークスは弱々しい声で、しかし威厳を保とうと命令した。




「不毛の大地に……。

緑の気配が増している…。

あの霧が、弱まっているのか?

お前、偵察に行け。

月影狼の残党などいないはずだが……確認せよ。

報告を待つ。失敗は許さん」

跪く残滓の一人が、黒いローブを翻して立ち上がった。

「はっ、主の意志のままに……」

影は霧に溶け込み、要塞を離れた。




アークスは独り、玉座で呟く。

「私の霧は…永遠のはず…」



――そして、荒野の偵察へ。




そのころ、月狼たちの進化が完了し、荒野に静かな夜が訪れていた。

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