転生
佐藤悠真は、地球ではずっと病院にいた。
地球の空の下、25歳を迎えたものの、動くことができなかった。
白い部屋の天井を仰ぎ、息絶えようとするその瞬間――
世界は闇に包まれ、星の光が渦を巻き、悠真の魂は虚空へと引き上げられた。
世界は闇に包まれ、星の光が渦を巻き、悠真の魂は虚空へと引き上げられた。
目覚めた時、そこは無限の星空に浮かぶ広大な空間だった。
周囲は霧のようにぼんやりと輝き、中心に一柱の壮大な存在が立っていた。
その姿は光の塊のようにぼやけ、声は穏やかだが威厳に満ちて響いた。
「ようこそ、迷える魂よ。君の人生は終わろうとしている。私は君を異世界に転生させようと思う。何か望みはあるか?」
悠真は戸惑いながら、弱々しく答えた。
「地球に……戻りたいです。病気の体じゃなく、健康に」
神の声が静かに返ってきた。
「それはできない。地球への帰還は、定められた掟に反する。他の望みはないか?」
悠真は目を閉じ、思い浮かべた。
ベッドの上から見ていた山の植物たち。
緑の葉が揺れる様子が、唯一の癒しだった。
「なら……植物が好きだから、ずっと植物の中にいたい。緑に囲まれて、静かに過ごせたら」
神は少し間を置き、頷くように声を発した。
「よかろう。植物の能力を授けよう。私の配下である緑の守護者に、君を託す。彼が詳細を伝えるだろう」
目覚めた時、そこは雲海の玉座だった。
黄金の光に満ち、風は花の香りを運び、周囲は無限の緑の森に囲まれていた。玉座の上に座るのは、巨躯の神。その姿は古木のようで、葉の冠を戴き、目は深淵のように輝く。
声は雷鳴のように、地を震わせて響いた。
「そなたの人生は病に蝕まれていたが、心は純粋だ。
私、緑の守護者は、君に新たな生を与えよう。
そなたは不毛の大地に転生する。そこは砂と風の荒野で、命の息吹が薄い世界だ。」
悠真は膝をつき、震える声で問うた。
「神よ、そんな環境はあんまりです」
神は笑みを浮かべ、玉座から手を差し伸べた。
その掌に、輝く緑の光球が現れた。
「そなたの故郷、地球の植物を操る力を与えよう。いかなる環境――灼熱の砂漠、凍てつく雪原、毒の沼地――であっても、地球の植物を確実に育て、繁栄させる能力だ。その種は、私に祈りを捧げれば、いつでも授かる。そなたの心に念じよ。『緑の守護者よ、種を賜れ』と。そうすれば、君の掌に種が現れる。これが、君の恩寵だ。静かに暮らしたまえ」
光球が悠真の胸に吸い込まれ、暖かな力が体を巡った。
「この力で……俺は生きられるのか」
神は頷き、玉座を立ち上がった。
虚空が裂け、悠真の体は光に包まれ、落ちていった。
神の声が遠くに響く。
「緑の守護者よ、種を賜れ……その言葉を忘れるな、さすればそなたに一つ贈り物を授けよう」
目覚めた時、悠真は赤茶けた砂の上に横たわっていた。
体は動く。息は深く。
掌を握り、祈る。
「緑の守護者よ、種を賜れ」
小さな種が、掌に現れた。




