狂錬金術師④
だます者といったん、私の家に向かう。
生命単所の素を探すため小屋だ、今必要なものだけが置かれている。
今日はもう遅い、準備を済ませてから大魔境に向かう。
魔法により一部屋を増築し、騙す者を案内する。
「精霊様に部屋が必要なのかはわかりませんが、人型をしているとつい用意してしまいます。」
といった。
「どうもありがとう」一瞬目を離したすきにだます者はカニの形になっていた。
私は研究室に向かう。入り口ではミラが目を回して倒れていた。研究を盗まれてはいけない。忍びこもうとでもしたのだろう。罠にひっかかったのだろう。ミラにお説教をする。私だからよかったが、殺されても文句を言えないことをしたのだ。未熟なものが使うと身を亡ぼすことになりかねない。それは自分ひとりとは限らない。多くの人を巻き込むような事態もあり得るのだ。2人と1体で食事をとる。
「言ってくれれば見せられるものは見せるから、勝手に忍び込むんじゃないよ」と私が言うとミラは泣きながらうなずいた。だます者は怒りを示す色に変化している。呪いにまみれた手でミラをなでようとしたのを私は止める。
だます者は「だれよ、その女!」といったので、恩師の孫だと教える。ミラをにらみつける、その視線が徐々に呪いを帯び始める。私が慌てて止める。
ミラの父を迎えに呼ぶ。転移の魔法でやってくる、ミラはおこられて泣いてる。
ミラの父は私に「君が悪いわけではないという事はわかっている。父のことでは感謝をしている。それでも、もう娘には近づかないでほしい。だます者を家に入れる者など異常すぎる。君とはもうかかわりたくない」といった。ミラは何かを言おうとしたが何も言わなかった。
私はうなずく事しかできなかった。それを見たミラの顔には絶望の顔が浮かんでいた。自分の軽はずみな行動の結果という事は本当はわかっているのだろう。だます者はきっかけに過ぎない。私はしょせんサイボーグ、人間とは違う。だます者もミラの父に退治され、私はまた一人になった。
私は研究室のおく、師匠が作りかけた恋人の元へ向かう。まだ姿は決まらない。生命誕生の素を宿せば人の姿を取るだろう事だけはわかる。
生命誕生の素を探し、宿し、適合させる。あとは頃合いを見て時を止める結果に魔力を流し止めることで人となる。時は止まっているが生命誕生の元を宿すと姿は変わっていく。止まっているが変化は起きる、魔法とは矛盾の克服。
今はまだ生命誕生の素も手に入れられていない。
「だれよ、その女!」不意に聞こえた声に振り向く。だます者は生きていた。ミラの父は見事にだまされたのだ。




