番外編 エリー10番勝負⑥
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「では、エリー様、ここは絵で・・・」
「ダメです。」
「では互いに剣も使える魔法使い同士、戦いにより決めましょう」
勇者タリアは魔力を開放する。サラと戦った時とは確実に違う。2次魔法となったものは2.5から
1.5次魔法を使う。格だけ高い魔法よりも練りこまれた魔法のほうが強い。格が高くなるほど練度が落ちる為自分の力を最大限発揮できる魔法は格と密度のバランスが大切となる。同じことをするための道具でも精密な道具より自分の能力で使いこなせる道具を選ぶ方がよいようなものだ。
それでもタリアは無数の世界を出現させる。1.5次魔法それも1次魔法寄りの技術、彼女の使う魔法の中でもぎりぎりまで格を高めた。これも間違ってはいない。魔法使いの戦いはルールの押し付け合い。それは1.5魔法に達することで意味を変える。いや、より意味が強まる。ただ相手を攻撃する、そのためだけに、世界の法則を捻じ曲げるのが2.5次魔法だったものが1.5次魔法になり世界そのものを破壊し、創造する。大勇者エリーはそのさらに上をいっていることはわっかっている。数に差があるだけなら一つ一つの精度を上げることが有効だった。ただエリーは本当に無限に出せる。より1次魔法に近い性質だ。限界を超えなければ何もできない。差を埋めるでは足りない。格の差を埋めるには無限か奇跡がいる。大勇者エリーもさすがに1次魔法には達していないはずであり奇跡でなく奇跡的なことで大勇者エリーの普通の魔法には対抗できると信じるしかない。
自分を慕う後輩の急激な進化をエリーは嬉しそうに眺めた。タリアの加速度的に数を増やす世界。それがたった一つの魔法に込められる。
そこまでしても大勇者エリーはまともにやれば勝てることがわかっていた。
それでも勇者タリアの一撃は自分に届き得る。3女神以外では人族、魔族では初めてのこと。今日出会ったばかりのサラのためにここまでの覚悟を見せた勇者タリア、会場すべてのモノが息をのむ。それは自分に届き得る魔法を一発分用意しただけ。複数の魔法にはまだ対処できないし、決着がつくまでの勝負なら確実に勝てる。
だからこそエリーは一発の魔法で勝負することに決めた。
タリアの巨大な魔法をエリーのわずか数十センチの魔法が逆に飲み込みタリアまでも飲み込んだ
「いい魔法だったよ。だから全力で応えた。魔法は完全に制御するなら、どれだけ力を込めても50センチくらいにおさまる。次はそこを目指しなさい」といった。
大悪女サラには気持ちが伝わったのだろう。タリアを抱き起し感謝の言葉をつぶやいていた。
勇者タリアはこの勝負の勝敗にあまり意味がないことはわかっていたのだろう。当たり前のようにサラがグリフインの弟子入りを決めたものだと思っている。




