番外編 エリー10番勝負⑤
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大勇者エリーは絵描き男との勝負に挑む。
「お前が俺たちより未来の人だという事はわかる。そして、まともに戦えばオレに勝ち目がないこともわかる。ここは絵で・・・」
「ダメです。」エリーは言葉を遮る。
「いや、ここは絵で・・・」
「ダメです。」
「いや・・・」
「ダメです。」
「はい」
絵描き男は悲しそうだ。
絵描き男は地面に衝撃で光る石を投げつけ身を隠す。
屋内のにそんな場所はなく。勝負はすぐについてしまった。
勇者タリアはグリフィンに甘えている。トリシャとケインが仲良くしているのをみてうらやましくなったのだ。グリフィンもついついタリアを甘やかしてしまう。修行以外では。
「グリフィンさん、大悪女サラを弟子にしてあげてください。あの子も探検家になりたがってます。」タリアが頼む。グリィフィンはタリアの頭をなでる手を止め考える。
「あの、タリアさん?サラ殿もすでに大分私よりつよいのですが・・・?」
「お願いします。」タリアは甘えていた時とは打って変わって真剣な顔だ。
「グリフィン様、私からもお願いいたします。」話を聞いていたウォルターだ。
「ウィルター殿、御高名はかねがね伺っております。」二人は握手する。ウォルターもドラゴン退治により勇者の称号をもっている。
「私は師としてあの子には何もしてやれなかった。私があの子を帝国に縛り付けてしまった。大戦以降あの子は月の民以外にはほとんど敵として自分を狙うものとしか出会っていない。帝国の戦争は誰も殺さなかったはずのあの子に多くの罪をかぶせてしまった。あの子を育てる事は私にはもうできない事なのです。私の生前の無数にある後悔の一つです。」
というウォルターに「私は構わないが・・・」グリフィンはそう答える。
「ありがとう」ウォルターの瞳から一粒の涙がこぼれる。
「勝手なこと言わないでく今更そんな事はできません。」話を聞いていたサラはウォルターにいう。もう後戻りできないと思っているのだ。表面上はとりつくろっていても、世界中のすべてに悪と断罪されたサラの心はもう傷だらけなのだ。サラの頭をタリアが撫ぜる。
「あなたは、この世界にできないことがあると思っているようね。私に勝ったあなたでも勝てないエリー様、それでももし私がエリー様に勝てたら、そんなことはないと少しは信じてくれるかしら」といって微笑んだ。地力は確かにサラよりもタリアが上だっただろう。それでもタリアに勝ち目がないことは誰の目にも明らかだ。
エリーがやってくる。
「話は聞かせてもらったよ、勇者タリア、全力でかかってきなさい。」
エリーに話しかけられ、タリアは顔を真っ赤にしている。それをみたサラはタリアはあんなこと言ってたけどやっぱり無理かもねとおもった。