3流魔術師②
顔がいいだけの彼はどうやら最近、真面目に授業を受けているらしい。
この前の盗撮盗聴事件で怖くなったのかもしれない。魔術師や錬金術師が悪さをしても捕まることは少ない。魔法を封じたとして解かれたらどうなるかわからない。
ぶつぶつつぶやく女、カトリーナは退学にもなっていない。
女神正教の教祖は死刑になったが、死ぬ間際
「魔術師は解放される。」
との言葉を残したという。処刑の際には新たな教祖との取引により、女神正教との反乱や暴動は起こらなかったが、それには世界を滅ぼすレベルでは。という注釈がつく。
極端な人族以外の種への差別主義者の彼をいかしていたら、外の世界から何が来ていたかわからない。
数百年大きな分裂の起きなかった女神教と比べ女神正教は異端を生み続ける。
魔術師は女神に選ばれた存在人々を救わなければならない。
救うとはどうすることか、誰を救うのか、そこに埋めきれない違いが生まれたのだ。
救うはずの魔術師が恐怖の対象になった今、自己矛盾を抱えた女神正教は矛盾を埋められず、
分裂をくりかえす。
女神正教の暴走を止める為、女神正教の一人の男が、死して人々を守った。弟子の暴走の贖罪。争いを止めるため女神正教に入った男ウォルター。
彼を聖人とすることで女神正教の暴走は一応は落ち着いている。
魔族や他の種族についても意味もなく殺すことはいけないこととされるようになった。
ただ0ではないし、魔術師に勝てるのは魔術師だけ、魔術師の起こす事件はもう、誰もさばかなくなった。
それでも、皆は普段は忘れている。脅かしはしたけれど、毎日のように身近に事件が起きるという程でもない。善良とまではいわなくとも、事件を起こす魔術師の数が多いわけではない。
彼の両親は魔術師と錬金術師の戦いに巻き込まれ死亡した、一度目は魔術を嫌う事だった。次は魔術により身を守る事を考えた。彼には守りたい人ができたのだ。
「ニアさん、さっきの授業でわからないことがあったんだけど」
彼が話しかけてくる。話しかけられただけで顔が熱くなる。
昔の魔法学園は研究がメインだったけど、今は授業がメインとなった。
彼にはっぱをかけられてやる気になった人が何人もぞろぞろと集まってくる。
「ニアさん俺もいいですか」
「私もお願いします。」
「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」
「うまい。毒うまい、錬金術師になれたよかった。毒うまい」
「私もお願い」
「バウワウ、バウワウ」
頼られるのはうれしい
「OK、ケインとトリシャのどちらが錬金術師だったかの話だね。確かに授業だけだと、わかりにくいね。前提となる知識が求められる問だし。まぁそういう問いをあえてするのも先生の意図なんだけど」
と答える。




