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”あ”の魔女⑤

「古代ウルク人の国の話ですね。」

人族の中でもいくつかの民族がある。

ウルク人の国は当時たくさんあって、そのうちの一つ、魔女が暴れたことで没落した国だ。

兄は錬金術師が当時トップクラスの実力を持つ魔術師を圧倒するこの話をよく話していた。


その時はおとぎ話として聞いていたが、今日は先生として歴史の話しているのだ。


「魔女に欺かれた愚かな王の国として語られることが多いね。あのまま本当に国が滅んでいたら魔女に滅ぼされた悲劇の国として語られたかもしれない。あばれる魔術師なんてどの国にもいくらかはいるけれど、ここまでの大規模な事件は歴史上でも数えるほどしかない。」

と先生は答えた。


錬金術師はもちろん魔術師だって、簡単に事件を起こしたりしないことも付け加える。

他の出来事ならもっと魔術師の悪行を強調するのだが、多くの人の死亡した事件だけにそのようなことはしなかったのだろうし、自分自身も王に使える宮廷魔術師なことも関係あるだろう。


今は議会制を取り王に実権はないが昔からの名残で、王とその王の側近、参謀として、宮廷魔術師が残る国は多い。


兄は錬金術師だが知らない人からすれば魔術師も錬金術師も同じなのだ。


「魔女は結局自殺だったんですか?」


獄中での魔女についてはわかっていない。

魔術師ならば脱獄など簡単にできるが彼女は魔法を封じられていた。

錬金術師は自殺はしない。

死ぬのが怖くて怖くてたまらないから錬金術師は生まれるのだ。魔術師はどうなのだろうか。


「自殺と考えられている。ただその死には不審な点も多い。というよりも。魔術師協会の動きはいまだに謎とされている。当時は事件を起こした魔術師を裁くのは魔術師協会だ。一応国の司法機関の刑を魔術師協会に伝えるが、それを魔術師協会が修正し確定する。その魔術師が協会に属していなかろうが罪を起こしたのが魔術師なら魔術師協会は口を出す。そしてかなり刑は軽くなる。」


魔術師への嫌悪感が表情や声色に出ている。

魔術師の権利を守るための協会という名目だが、魔術師の増長を呼んでいる。魔術師は力であり、豊かさでもある。


一時期を除いて魔術師は何万の軍にも勝てたし、食料も医薬の充実はもちろん、文明、文化も魔術師により差がつく。


魔術師が離れればその国は他国に大きく後れを取るため、統治者はただでさへ魔術師に頭が上がらない。協会は王を通して間接的に国を支配しているともいえた。


協会ににらまれたら、もし自国によい魔術師が育たなくても、魔術師を派遣してもらえない。最新の魔法の知識も魔術師協会が握っている。


「さすがに事件が大きすぎたのかな?それとも魔術を封じられたから・・・魔術師として認められなかった?魔術師にも被害が出たからかな?」


当時は人族は小国が乱立し、近隣の国と協調体制を築いていた。

魔族は人族に比べればすでにいくつかの国、勢力にまとまっている。


今回の事件の国も小国とはいえ近隣では最大の国だ。十万を超える死者が出た。

普段の師匠なら魔術を封じたから見捨てたと言うだろう。今回はそれだけでは済ませられない事件だ。


「そうだね、諸説あれど一晩で一国の大人が2割とか3割死んだといわれているし、子供だって魔女の名を知っていて死んでしまった子はいるだろう。その後の影響も考えればさらに被害も広がったはず。とても許されることではないね。これにはいろんな考えがある。でもシオンが魔女の魔法を封じたことは魔術師に恐怖を与えた。シオンがその気なら魔術を封じることができる。殺された魔術師長がシオンの親友だったことは知っている人なら知っている。魔術師協会の体質を考えると、脅迫か忖度があったのだろうね。」


と兄はいった。

私のもつおとぎ話のイメージのシオンならきっと魔術師協会にひょうひょうと一人乗り込んだ。

そして協会幹部何人かは実際に魔法を封じてみせただろう。


私も学園時代のシオンと後の魔術師長となるザルスの男と男の友情話に胸をときめかせた一人だ。

夢中になるとじっとしていられないシオンと、それをうまくコントロールする優等生のザルス。


兄の恋人はザルス派であり、私はふたりセットだからよいというとズルいと言われる。

なんにしてもシオンが何もせずに待っていたとは考えにくい。するべきことを迷いなくするのが私のイメージの中のシオンだ。


シオンは協会に刑の内容への非介入のみを言い渡したが、シオンの力を恐れた魔術師協会が忖度で暗殺者を送り込んだというのが私の考えだ。


師匠は忖度ではなく、協会として今後の影響を考え死刑になる魔術師を出したくなく暗殺者を送ったと考えているようだったけれど、私の考えは変わらなかった。


王様は愚王といわれているが近年は評価が改められてきている。

魔女の災厄の後の混乱は最小に抑えられたといわれているし、復興は目を見張るものがあった。

王の次の代にその国は最盛期を迎えたといわれているが、前代にその基礎が築かれたと近年はいわれている。

最も若き宮廷魔術師とシオンそして二人の子が優秀な錬金術師として国を支えた事も大きかっただろう。

ザルスだけでなくシオンの心まで射止めた魔術師は世界中の彼らのファンに嫉妬されている。


世の魔術師たちはふたりの子は魔術師だったというのだが・・・。私の考えでは錬金術師だ!


この話の後悔

適当につけたウルク人

実際にある言葉なんですね・・・


感想アドバイス等待ってます

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